馬場先生のお話
・なぜ、がんになるのか ・どのように治療は決められていくのか 自分が受けている治療が最適なものであるのかという不安が、常に患者家族にはつきまといますが、馬場先生のお話は、患者が知りたい出発点から、臨床試験のこと、そしてゲノム医療に至るまで、とてもわかりやすく、理解が深まるものでした。 医師は何を根拠に診断し、治療を考えていくのかという視点で、さまざまなデータや画像を含めながら、丁寧にお話してくださったことは、患者家族の理解につながり、さらに、医療への信頼に結びついていくものであると感じました。 質疑応答にも、ひとつひとつ丁寧にお答えいただいたことで、セミナー終了後も、患者さんが残り、セミナー開催への感謝と、次回への期待の声もいただくことができました。馬場先生の講義をうかがって、気づいたこと
『標準治療を理解する』 このことは、このキャラバンを通じての大きな目標です。藁をもすがる想いの患者、家族だからこそ、「がんが自滅する」「末期がんが治る」などの言葉にすがり、科学的根拠の乏しい医療にすがってしまう傾向があります。 このキャラバンを通じて、どの先生方も、臨床試験での比較などを示し、標準治療は、現段階のベストなのだということをお話してくださっています。そのことは、毎回、セミナー終了後、患者家族の理解につながっていることを感じてきました。 さらに、今回、馬場先生のお話の中で、「ガイドラインは全国どこにいても、同じ治療が受けられるためのもの」であり、そこに、患者さんの個別の状態、社会的背景などが加わって、個別に最適な治療に繋がっていくのだということが話されていました。 『ガイドライン』への理解は、病気、治療への理解に繋がり、さらに医師とのコミュニケーションにより、『後悔しない選択』に至るのだという2点が、このキャラバンで、患者家族の方々に伝えていく柱なのだということを、私自身が整理できました。 青森でも、患者参画について考えるきっかけをいただきましたが、まず、患者家族が、病気を、そして治療を理解することが基盤にないと、患者参画は、ただ、ナラティブな患者の声が届くことになりかねません。医療の進歩を支えるためにも、患者家族、そして一般の方々の科学への理解が大切なのだと感じたセミナーでした。今後に向けて
遠方からセミナーに参加される方が毎回いらっしゃることが、全国キャラバンに踏み出す理由でした。ニーズがあることを肌で感じていますが、今回も、遠方からの参加者が複数いらっしゃり多くのかたに届けていくには、キャラバンだけではまかないきれないことも感じています。動画配信など、違う方法も模索する必要を感じています。次回は、9月28日。慶応大学医学部との共催。『どんな質問にも答えます』シリーズです。 今回は、抗がん剤治療と生活をテーマに、浜本康夫先生、押川勝太郎先生とともに、腫瘍内科であり緩和医でもある西智弘先生にもご参加いただきます。 がんに向き合う患者家族の毎日に届く内容になるよう、取り組んでまいりたいと思います。 次回『どんな質問にも答えます』シリーズのお申し込みはコチラ 文:認定NPO法人希望の会 理事長 轟 浩美(編集;中島 香織)