【メルマガコラム】免疫療法の最前線セミナーにふれて[vol.30]


  • [公開日]2017.03.10
  • [最終更新日]2017.11.06

コラム

オンコロの可知です。

先月開催したセミナーOncolo Meets Cancer Experts(OMCE)。今回のテーマは「がんに対する免疫療法最前線」で、
満席の開催となり有難うございました。講師は慶応大学の河上裕先生で日本がん免疫学会の理事長でしたが、河上先生のセミナーは話したい内容が多く、説明が非常に速い・・・・。少し不安でしたが、皆さんの満足度が高く、よかったと思っております。

さて、OMCEは完全クローズドで開催しております。これは後半に参加者の質問に対して率直に回答するセッションする時間があり、講師が自由に発言できるためとなります。よって、毎回、表に出ないようなコメントが多いです。

今回、質問が多かったものの1つに、最近ニュースで話題になる近赤外線免疫療法が期待できるか?ということでした。

河上先生の回答は「メディアはねずみレベルでの研究結果をよく取り上げるけど、まだ、臨床試験も実施していない段階であること。なぜここまで日本で取り上げられているかわからない。

赤外線はねずみの皮膚は通過しても、ヒトの皮膚は通過できるのか?そもそもTreg(制御性T細胞)は皮下組織以外にも存在するため、どういった理由で効果をもたらすかもよくわからない。

ただ、まじめにこの文献を読んでいないので、大きいことは言えない」ということでした。しかも、「免疫療法は、少人数の第1相臨床試験にて有効性が期待できるデータが出てきても、第2相、3相試験で失敗が目立つとのことで、やはりそれなりの大規模臨床試験で検証できないと何とも言えない」ということでした。(ちなみに、前回の勝俣先生の回答は「こたつに入っていれば治ることになる」という過激発言でしたが・・・)

その他にも、免疫チェックポイント阻害薬と高脂血症薬剤の質問では、本庶先生の研究で話題になったベザフィブラート製剤のことは勿論、スタチン製剤やメトホルミンなんかも可能性があるというのが印象的でした。(ただ、これらもねずみレベルの研究結果であることに注意)

ちなみに、打ち合わせ時に個人的に伺ったのは、グリオブラストーマや中皮腫と免疫チェックポイント阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬との併用療法(特に血管新生阻害薬)、CAR-T療法やBITE抗体についてでしょうか。

こんな感じで進めるOMCEですが、夏からは大阪で月一回の開催、秋には血液がんをテーマに1日開催する予定です。どうぞよろしくお願い致します。

がん情報サイト「オンコロ」責任者 可知健太

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