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退職後の生活設計、保険料や税の支出をどう軽減する? 社会保険労務士が教える - お金にまつわる制度の使いこなし方 -Vol.5

[公開日] 2025.06.02[最終更新日] 2025.05.28

治療のために会社を退職することになった場合、治療費だけでなく、健康保険料や年金保険料、税金といった日々の支出が大きな不安要素となります。しかし、利用できる制度や選択肢を知り、適切に手続きを行うことで、これらの負担を軽減できる可能性があります。ここでは、退職後の社会保険や税金に関する選択肢と、知っておきたいポイントについて解説します。
【監修・解説】 社会保険労務士事務所Cancer Work-Life Balance代表 千葉大学医学部附属病院がん相談支援センター特任研究員 清水 公一氏

退職後の健康保険:あなたに合った選択肢は?

会社を退職すると、それまで加入していた健康保険の資格を失います。その後、どの健康保険制度に加入するか、主な選択肢は以下の3つです。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の状況に合わせて検討することが重要です。

国民健康保険(国保)に加入する

お住まいの市区町村が運営する健康保険です。保険料は前年の所得や世帯構成などによって決まります。家族が多い世帯では保険料が高くなる傾向があります。また、退職前の所得が高いと、翌年の保険料が高額になる可能性があります。 ただし、ただし、倒産・解雇などや、正当な理由のある自己都合退職(特定理由離職者)など、非自発的な理由で退職した場合、前年の給与所得を30%とみなして保険料を計算する軽減措置が適用される場合があります。この減免制度の有無や内容は自治体によって異なるため、退職前に必ずお住まいの市区町村役場に保険料の見込み額や減免の適用について確認することをお勧めします。

任意継続被保険者になる

退職日まで継続して2ヶ月以上被保険者であった場合、退職後も最長2年間、それまで加入していた会社の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に加入し続けることができる制度です。保険料は退職時の標準報酬月額に基づいて決まりますが、上限額が定められているため、収入が高かった方にとっては、国保よりも保険料が安くなるケースがあります。 また、扶養家族が何人いても保険料は変わらないため、扶養家族が多い場合にもメリットがあります。 さらに、加入していた健康保険組合によっては、高額療養費の自己負担限度額がさらに低くなる「付加給付」制度がある場合があります。この付加給付は任意継続でも引き続き受けられる健康保険組合や共済組合があるため、該当する場合は大きなメリットになります。 以前は一度任意継続を選ぶと途中でやめることができず、2年間継続する必要がありましたが、現在は2年の途中でも国保への切り替えなどが可能です。

家族の被扶養者になる

配偶者や子どもなど、家族が加入している健康保険の被扶養者になる方法です。これが認められれば、ご自身の保険料負担はありません。 ただし、被扶養者になるには収入要件があり、一般的には年収130万円未満(60歳以上、障害年金受給者は180万円未満)である必要があります。この収入には、傷病手当金や障害年金なども含まれる点に注意が必要です。 また、扶養してくれる家族(被保険者)の収入が高い場合、その世帯の高額療養費の自己負担限度額が高く設定されるため、結果的に医療費の自己負担が増えてしまう可能性もあります。そのような場合は、あえて扶養に入らず、ご自身で国保に加入(退職により収入が減れば自己負担限度額は低くなる)した方が有利なケースも考えられます。 なお、通常、夫婦間での世帯分離(住民票の世帯を分けること)は認められにくいですが、親子間などであれば世帯分離が可能な場合があり、それによって保険料や自己負担限度額が変わる可能性もあります。

年金保険料・住民税の負担を軽減する

退職後は、国民年金保険料や住民税の支払いも発生しますが、一部免除・減免の仕組みが存在します。

国民年金保険料の免除・猶予

退職などにより収入が減少し、保険料の納付が困難になった場合、申請により保険料の全額または一部が免除されたり、納付が猶予されたりする制度があります。 ただし、配偶者や世帯主に一定以上の収入があると、免除が認められない場合があります。とはいえ、比較的認められやすい制度ですので、対象となる場合は申請を検討しましょう。

住民税の減免

住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職して収入がなくなっても、翌年は高い税額を請求されることがあります。住民税の減免制度を設けている自治体もありますが、実施している自治体は少なく、また減免の要件もかなり厳しいのが実情です。 減免を受けるのはハードルが高いと考えておいた方がよいでしょう。期待しすぎず、まずは自治体に確認してみる、というスタンスが良いかもしれません。

大切な心構え:制度は「申請主義」

最後に、最も重要な心構えとして、社会保障制度は基本的に「申請主義」であることを覚えておいてください。つまり、自分が利用できる制度があったとしても、自ら「利用したい」と手を挙げなければ、誰も教えてくれないし、手続きも進みません。 退職や病気は、経済的な不安を伴いますが、利用できる制度を知り、積極的に活用することで、その不安を少しでも和らげることができます。それは、患者さんが治療に専念し、自分らしく生きていくことに繋がるはずです。ぜひ、諦めずに情報を集め、必要な手続きを行ってください。
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