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治療費負担どうする?医療保険制度と高額療養費制度をフル活用するには 社会保険労務士が教える - お金にまつわる制度の使いこなし方 -Vol.2

[公開日] 2025.06.02[最終更新日] 2025.05.28

病気や怪我に見舞われた際、治療費の負担は誰もが直面する大きな悩み。特に、長期にわたる治療や高額な医療費が必要となる場合には、経済的な不安が心身の負担をさらに増大させることも少なくありません。知っておくと役立つ社会保障制度について詳しく解説する本シリーズ。今回は、公的医療保険制度の基本と、高額療養費制度について解説します。
【監修・解説】 社会保険労務士事務所Cancer Work-Life Balance代表 千葉大学医学部附属病院がん相談支援センター特任研究員 清水 公一氏

公的医療保険制度の基本

大前提として、日本は国民皆保険を採用しており、基本的には皆さん何らかの保険に入っています。それによって自己負担金額は抑制され、高額療養費制度も利用できますが、後述の通り、加入している保険によって受けられる支援が一部異なる点には注意が必要です。 保険証を見ればご自身の加入している保険は分かると思いますが、主な保険の被保険者数の内訳は、次のようになっています。

医療費の自己負担割合

医療費の自己負担割合は、年齢によって以下のように推移します。
  • 6歳まで: 2割負担
  • 6歳から70歳まで: 3割負担
  • 70歳から75歳まで: 2割負担
  • 75歳以上: 1割負担
ただし、子どもの医療費は多くの自治体において無料であったり、、自己負担額を数百円とするなど、独自の補助制度を設けています。これは、自治体が医療費を負担しているためです。そのため、高校生まで無料、中学生まで無料など、自治体によって補助の範囲は異なります。 原則、18歳~69歳までは3割、70歳~74歳までは2割、75歳~1割となります。ただし、70歳以上で一定以上の所得がある場合は自己負担割合が3割となり、75歳以上で一定の所得がある場合は2割、3割となります。

医療保険別に異なる「支援制度」

医療保険別にどのように支援が違うかを整理してみるとこのようになります。それぞれの保険制度の概要に合わせて解説すると、次のようになります。

国民健康保険

国民健康保険は、主に自営業者や退職者など、職場の健康保険(社会保険)に加入していない方が加入する医療保険制度です。市区町村が運営しており、加入者は保険料を納めることで、病気やケガをした際に医療費の一部負担で診療を受けることができます。国民健康保険には、加入者の所得や世帯構成に応じて保険料が計算されるという特徴があります。

国民健康保険組合(職業別国保)

国民健康保険組合は、特定の同種または同業の事業に従事する人を対象とした国民健康保険です。医師国民健康保険組合(医師国保)、弁護士国民健康保険組合(弁護士国保)などが代表的です。これらの組合は、それぞれの職業の特性に合わせた医療給付や保険料を設定しており、通常の国民健康保険とは異なる運営が行われています。

協会けんぽ

協会けんぽ(全国健康保険協会)は、主に中小企業の従業員とその家族が加入する医療保険制度です。以前は国(社会保険庁)が運営していましたが、現在は全国健康保険協会が運営しています。保険料は、加入者の給与や賞与に応じて計算され、事業主と従業員が折半して負担します。協会けんぽは、医療給付のほか、健康診断や保健指導などの事業も行っています。

健康保険組合

健康保険組合は、大企業や同業種の企業が集まって設立する医療保険制度です。協会けんぽと同様に、従業員とその家族が加入します。健康保険組合は、協会けんぽよりも手厚い給付や独自の付加給付を提供している場合があります。保険料は、各組合によって異なります。

共済保険(共済組合)

共済保険(共済組合)は、主に公務員や教職員などが加入する医療保険制度です。国家公務員共済組合連合会や地方公務員共済組合などが存在します。共済保険は、他の医療保険制度と比較して、給付内容が充実していることが多いです。例えば、医療費の自己負担額が少なかったり、独自の給付金が支給されたりすることがあります。

後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度は、75歳以上の方(または65歳以上で一定の障害がある方)が加入する医療保険制度です。保険料は、所得に応じて計算され、原則として年金から天引きされます。後期高齢者医療制度の自己負担割合は、原則1割ですが、一定以上の所得がある場合は2割または3割となります。

高額療養費制度の仕組み ※2025年4月現在

いずれの医療保険においても利用でき、多くの方の関心が高い高額療養費制度について解説します。高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。

自己負担上限額は年収によって異なる

まず、高額療養費制度の自己負担の上限額は、一律ではありません。加入者の年齢(70歳未満か、70歳以上か)と所得水準に応じて、複数の区分に分けられ、それぞれ異なる上限額が設定されており、所得が高い方ほど上限額も高く設定される傾向にあります。 例えば、70歳未満で一般的な所得区分の方の場合、ひと月の上限額の目安は8万円台後半となるケースが多いのですが、これはあくまで一例です。正確な上限額は、ご自身の所得区分や実際にかかった医療費総額によって計算されるため、加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、市区町村の国民健康保険、後期高齢者医療制度など)にご確認ください。

70歳未満と70歳以上で制度が異なる

高額療養費制度の適用ルールは、70歳未満の方と70歳以上の方で一部異なります。 70歳未満の場合、注意点として「合算対象基準額」があります。同じ月に複数の医療機関を受診した場合や、同一医療機関でも入院と外来で支払いが発生した場合、それぞれの自己負担額が21,000円以上でなければ、高額療養費を計算する際に合算できない点に注意が必要です。 一方、70歳以上の方は、高齢者の負担軽減の観点から、多くの場合70歳未満の方よりも低い自己負担上限額が設定されています。また、70歳未満のような合算対象基準額(21,000円)はなく、少額の支払いでもすべて合算して上限額を超えたかどうかが計算されます。 ※ただし、現役世代並みの所得がある70歳以上の方は、70歳未満の方と同様の上限額が適用されます。

多数回該当について

なお、高額な医療が継続的に必要な方の負担をさらに軽減するため、「多数回該当」という仕組みがあります。これは、直近12ヶ月以内に高額療養費の支給を3回以上受けている場合に、4回目以降の自己負担上限額がさらに引き下げられる制度です。がん治療などで長期にわたり療養されている方などが対象となります。

高額療養費の計算と申請

高額療養費の計算は、月単位で行われます。医療機関ごと、また同一医療機関内でも入院、外来、歯科はそれぞれ別々に計算されます。ただし、病院から発行された処方箋に基づき院外の薬局で支払った薬剤費は、その処方箋を発行した病院の医療費と合算して計算することができます。 払い戻しを受けるための申請手続きは、加入している医療保険によって異なり、手続き不要で自動的に払い戻される場合もあれば、ご自身での申請が必要な場合もあります。特に国民健康保険などでは申請が必要なケースが多く、抜け漏れに注意しましょう。申請には時効(通常2年)があるため、対象となる可能性がある場合は、必ずご自身の加入する医療保険者に申請の要否や方法を確認することが重要です。

限度額適用認定証について

高額療養費は「事後的な払い戻し」が原則ですが、事前に手続きを行うことで、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることが可能となっています。 マイナンバーカードを健康保険証として利用登録している場合、医療機関や薬局の窓口で提示し、オンライン資格確認システムを通じて情報提供に同意すれば、原則として事前の申請手続きなしに、支払額が自動的に自己負担限度額までとなります。 なお、ご存じの方も多いと思いますが、2024年12月2日をもって従来の健康保険証の新規発行は終了し、マイナ保険証への移行が進められています(発行済みの従来の保険証には有効期限までの経過措置があります)。マイナ保険証を利用しない場合や、オンライン資格確認システムが導入されていない医療機関等を利用する場合には、従来通り、事前に加入する健康保険へ「限度額適用認定証」(住民税非課税世帯は「限度額適用・標準負担額減額認定証」)の交付を申請し、窓口で提示する必要があります。

付加給付の対象者

一部の健康保険組合や共済組合(公務員等が加入)では、国の定める高額療養費制度に加えて、独自の「付加給付」制度を設けている場合があります。 これは、高額療養費制度による支給がなされた後、なお残る自己負担額について、組合等がさらに一部を負担し、加入者の負担を一層軽減するものです。 この付加給付制度の有無や内容は、各健康保険組合・共済組合によって大きく異なります。例えば、「最終的な自己負担額が25,000円を超えた場合、その超過分を支給する」といった規定が設けられていることがあります。協会けんぽや国民健康保険には、この付加給付制度はありません。ご自身が付加給付の対象となるか、またその具体的な内容については、加入されている健康保険組合等のウェブサイトや規約をご確認いただくか、直接お問い合わせいただくのが確実です。
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