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患者さんが知るべき「お金の悩み」との向き合い方 社会保険労務士が教える - お金にまつわる制度の使いこなし方 -Vol.1

[公開日] 2025.06.02[最終更新日] 2025.05.28

患者さん向けのサポートは年々充実している半面、その申請ハードルは複雑化している現状があります。このシリーズでは、病気になったときに知っておくと役立つポイントについて清水公一氏に解説いただきます。
【監修・解説】 社会保険労務士事務所Cancer Work-Life Balance代表 千葉大学医学部附属病院がん相談支援センター特任研究員 清水 公一氏

「知っているかで大きく変わる」お金の話

まず、簡単に自己紹介をさせてください。私は現在社会保険労務士として働いていますが、私自身もがん患者として、治療とお金の面で苦労をしたことがありました。障害年金を受給した時に社会保険労務士という仕事を知り、それがきっかけで社会保険労務士の資格を取得し、疾病を抱えながらお金のことや就労のことに悩む多くの方の相談を受けています。 お金の問題をケアできるかどうかは、生き方を大きく左右すると実感します。制度を知っているかどうかで治療と仕事の両立、ひいては生き方の選択肢も変わってくるので、今回はそのポイントについてお伝えできればと考えています。

大病を患ったときの悩みの構造を理解する

具体的な制度の話をする前に、大病を患ったときの「悩み」について掘り下げてみたいと思います。 私たち社会保険労務士は、労働法と社会保険法の専門家として、がん患者さんの就労支援や社会保障制度に関する情報提供、手続きのサポートを行います。仕事やお金に関する悩みを解決するにあたって大事なのは、「自分の人生において何が大事なのか」という問いに向き合うこと。これが、患者さんが自分らしい生活を送る上で非常に重要になってくると思います。 「人生の何が大事なのか」という問いと深く関連するのが、病気を抱えながら働く場合の「働く目的」です。日本人の「働く目的」について、内閣府が2021年に集計した『国民生活に関する世論調査』の結果によると、「お金を得るために働く」が56%。しかし、『生きがいのため』『自分の能力を発揮するため』といった目的で働く人もおり、考え方は人それぞれだと言えるでしょう。 私自身もがんを患ったとき、「働く目的」についてよく考えさせられました。 当初は自分に残された時間が短いのであれば、「自分の時間を大切にしたい」と考えていましたが、実際に休職をして自宅で過ごす時間が長くなると、再び働きたいという気持ちが湧いてきて、会社の制度上は1年間休職できたところ、10ヶ月で職場復帰を決めました。 本当に重要なのは「就労するか否か」というより「自分らしく生きること」であって、そのために必要であれば仕事をすればいい。そのうえで、治療と仕事を両立させることがご自身にとって大切であれば、社会保障制度はもちろん、就業先企業の制度を理解し、最大限活用していくことが必要だと考えています。

傷病時の扱いは「会社によって大きく異なる」

なお、就労という視点でいうと、企業によってかなり対応が異なってくるので、企業にお勤めの方は就業規則をよく確認しておくことをお勧めします。 労働者が傷病した場合に利用できる法的に認められた権利は、基本的には有給休暇のみです。 会社独自で病気休暇・休職などの制度がなければ、「有給を消化したら欠勤扱い」になってしまいます。欠勤が長期にわたったときの対応も企業ごとに異なり、長期間の欠勤となると給与がなくなりますし、その状態が続くと解雇事由になり得るので、この点も注意が必要です。 ただし、ここでいう治療と仕事の両立のために利用できる制度とは「就業規則に明文化されている」という意味であって、企業によっては人事や経営層と相談し、特別な配慮(合理的配慮)が行われているケースも多数存在します。就業規則をよく確認したうえで、個別に相談する余地もあることを念頭に置いておきましょう。 合理的配慮とは、『事業者の過重な負担にならない範囲で、障害のある人が職場で働くにあたり支障になっている事象を改善するために必要な措置をとること』です。その対象は、『身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む)があるため、長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難な者』とされています。 障害者手帳を持っている人だけではなく、継続的に日常生活や社会生活に相当な制限を受けている全ての人が対象となり、がん患者も対象となり、厚生労働省は次のような「合理的配慮」の事例を示しています。
  • 出退勤時刻・休憩に関し、通院・体調に配慮すること
  • 本人の負担の程度に応じ、業務量を調整すること
  • 本人のプライバシーに配慮したうえで、ほかの労働者に対し、障害の内容や必要な配慮などを説明すること
合理的配慮を得るための交渉方法として、いまある社内制度を応用する形で、会社と話し合うと、1から制度を作るより、会社側も応じやすい傾向にあると思います。例えば、産休・育休制度の時短勤務などは就業規則にて制度化している企業も多いので、それらをご自身に合った形で利用できるよう会社と交渉していくような方法があります。 ただし、合理的配慮は、あくまで『事業者の過重な負担にならない範囲』での措置である点に注意が必要です。大企業であれば異動やキャリアパスの選択肢を提示しやすい反面、そこまでの配慮をできない企業も多いのが実情です。
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