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【オンコロな人対談】株式会社インテリム顧問 西條 長宏先生(日本臨床腫瘍学会 特別顧問)・浮田 哲州社長(株式会社インテリム代表取締役)~中編~

[公開日] 2017.02.16[最終更新日] 2017.02.16

目次

オンコロのがん用語辞典作成に協力を頂いている、インテリム社の浮田 哲州社長と同社顧問で日本臨床腫瘍学会 特別顧問の西條 長宏先生との対談です。前編ではインテリム社の成り立ちやオンコロジー領域のCRO業界の現状について伺いました。中編はCROがグローバルで戦ってくために求められることについてお話いただきました。 前編はコチラ 後編はコチラ ファシリテーター(以降F):浮田社長、このような制度を取り入れたインテリムのオンコロジー領域における現在の認知度についてお聞かせ下さい。 浮田社長: 特に今、各大学の薬学部にリクルート等で訪問すると、学生さんから「インテリムの特色って何ですか?」と必ず聞かれます。そこで「最近はオンコロジーとかグローバル、再生医療に実績、強みを持っています」と答えても、「他のCROの方もみなさんそうおっしゃいます」って言われます(笑)。ただ、実際はほとんどのクライアントから「Bid Defense」というところで声を掛けていただけるようになってきているのと同時に、国内大手で上場しているCROや、メガグローバルCROとコンペで競合しても、我々が受託するケースが最近は増えてきています。 F:インテリムは他のCROとは違うと思われるところはありますでしょうか? 西條先生: こういう見方は正しいかどうかわかりませんが、製薬メーカーでMRを経験された方がCROを立ち上げているケースが結構あります。その場合の問題はクローズドサーキットの中で物事を考えることが多く視野がわりと狭いという点があげられますね。あまり多くのCROを見たわけではありませんが、開発のところ(モニター)だけやっていて他の部門にはなかなか目を向けない傾向がありますね。そこはインテリムと他のCROとの大きな違いだと思います。これはやはり社長の経歴が他のCROの社長とは違うという点にあるのではないかと思っています。 F:インテリムではCRAの方々も自己研鑽のため積極的な学会参加を推奨していると伺いました。 浮田社長: オンコロジー領域は先端科学領域のひとつになりますので、ドクター等のステークホルダーは一番フレッシュな情報を持っている組織や、フレッシュな情報を提供してくれる人間と一緒に仕事をしたいのではないかと思っています。  ここで先ほどの話に戻りますが、CROは全体的に自社での研修回数は多くないと聞いています。しかし、インテリムは最近でこそ平日に研修をやることが多くなりましたが、当時は土曜日を使って研修をやっていました。すると他のCROから転職された方からは、「研修やりすぎじゃないですか?」というようなことは結構言われました。ただ、そこは常に情報をアップデートした組織であり続けないと意味がないと思っていますので、今でも変わらずに続けていますね。やはり医薬品開発に携わる人たちが学会に参加しないとか自己研鑽しないというのはありえないと思います。平日の学会に出るとその分の売り上げが下がるとか、一人あたりの経費が掛かるとかいう考えもありますが、私はそうは思わないですね。中長期的に見てその人が得た知識というのは、本人だけでなく、得た知識を社内で共有することによって会社全体がレベルアップすると考えますので。ただ、参加者や人数については各ラインマネジャーの判断に委ね、ある程度特定の人間に集中しないようにバランスよく参加させるように指示しています。 F:インテリムに転職してこられたモニター、PLさんからこんなに研修の機会があるのかというようなことは言っておられますか? 浮田社長:インテリムは協会の研修ではなく医学・薬学系の学会に積極的に参加してもらっています。また、国内だけでなく海外の学会であるASCOにも数名の社員を派遣しています。最初はインテリムのような知名度が低いCROがなぜここに居るんだという空気がありましたが、現地でオンコロジー領域に関わる製薬企業の方たちや、日本、アジアで開発を考えているベンチャー企業の方たちと情報交換をすることで、海外での認知度も最近は高まってきました。 F:インテリムの研修についてのこのような取り組みについてどう思われますか? 西條先生: オンコロジーの領域は分子生物学の研究成果が創薬に直接結び付くとともに、開発された薬が市場に出るスピードが特に速く、しかも数も非常に多いと言えます。私は雑誌や教科書を編集しているので良くわかるのですが、2~3年もすれば情報が古くなってしまいその本は使えなくなることが多いです。従って、新しい知識を入手する方法を会社としてもあるいは個人としても常に念頭に置いておかないといけないと思います。たとえばある新薬の開発を依頼された時にその化合物がどういうカテゴリーに属するのか、どのような作用機序を持つのかということがわからないようでは話にならない。メーカーの開発、MA、営業の人たちも大挙してASCOや日本臨床腫瘍学会に参加していますのでCROからも当然参加すべきと思います。  古い話ですが日本臨床腫瘍学会の前身である研究会の時は大学やがんセンターからの参加者数よりメーカーからの参加者数のほうが多いこともありました。また、得られた情報を自分自身でどのように考えるかということを整理しておく必要があると思います。僕は毎年ASCO等、海外の学会に行った後、インテリムの社員に話をする機会を設けています。その話を聞くと僕の考え方はわかると思いますが、知識を共有するだけではなくその時聞きに来られた方が自分自身の考え方を整理することが非常に重要じゃないかと思っています。 saijo1 F:浮田社長、インテリムではCRO事業に加えてオンコロジー専門のMSL、MR派遣のCSO事業を始めたとのことですが、具体的に教えて頂けますか? 浮田社長: 90年代後半から医薬品業界の研究開発分野において研究所の閉鎖が進んだ時、そこで働く研究者が、いわゆるポスドク難民と言われて派遣会社等に集中して転職するという事がありました。一方、製薬メーカーも2000年代前半までは派遣モニターの受け入れ、さらにCROにすべてを委託する事についてはまだまだ保守的であったと思います。そのような中、GCPから新GCPに変わっていくタイミングで、従来の旧GCPでしか治験の経験がない人たちの乗り換えが上手くキャッチアップできなかった事もあり、現在のようにCROへ委託するスタイルが進んでいったと思います。また、以前はモニタリングだけの依頼でしたが今は製薬メーカーが行っていたことも全部フルパッケージで委託するというスタイルになってきましたね。その流れがこれからMSL 、MRにも来るタイミングと考えスタートしました。MSLは各製薬メーカーではPhDを持つ学術の人がコンバートされたりすることから、PhDの資格は必須という話はよく聞きます。実際MSLビジネスを行っている他社さんもPhDが必須条件となっているようです。  しかし、我々としては先行してオンコロジーのスペシャリスト、エキスパートをずっと走らせてきた中で、それと同様なシステム、フレームでやっていけば十分受け入れてもらえるのではないかと考えています。ただ、この事業が短期ですぐに多くの利益に繋がるかというとそうではないと思っています。MSLひとりをマーケットに出すのに最低半年ぐらいは掛かります。今も、結構MSLのオーダーはいろいろな会社から頂くのですが、急激に増やしても質が下がるかなと思っていますので、そこは戦略的にゆるやかに増やして様子を見ながらやっていきたいと考えています。ただ各クライアントにアクセスすると興味は持たれますね。 F:MA、MSLは各製薬メーカーさんの特質というか言い換えれば方向性が定まりきれていないという印象がありますが、実際インテリムのMSLに製薬メーカーが求めているところは何だと思いますか? 浮田社長: 一番はスピードだと思います。我々が依頼を受けるケースとしては人員が足りなくて頼まれる場合と、オンコロジー領域に新規参入して承認取得の段階でマーケティングの中長期戦略や、全国のKOLをリスト化する事を希望される場合が多いですね。インテリムはそのような要望についてコンサル、派遣からフルパッケージまで全てスピーディーに対応できるという点が強みですね。 F:なるほど。ただ、KOLをマネージメントするだけでなくその後の販売戦略までしっかりとかかわっていくということですね。 浮田社長: その通りです。 F:西條先生、MSLは口頭試問が必須ということですが、実際に口頭試問を行われてのご感想をお聞かせ下さい。 西條先生: MSLは広義のMSLと狭義のMSLがあると思います。広義のMSLにというのはMAに所属している人たちをMSLと呼ぶ場合が多いと思います。その場合はパブリケーションや臨床試験そのものを企画し行うことなどがアクティビティの中に入ってきます。一方、狭義のMSLというのはそうではなく、主なKOLに面会して得られた知識を社内のクライアント、たとえば製薬メーカーであれば営業部門、インテリムであれば社員に対して共有するのが仕事となります。また、得られた知識をKOLではない医師にディストリビュートするというのも仕事となりますね。そう考えるとKOLから知識をうるにはその人がどれくらいの事を勉強していないといけないか、そして得られた内容を社員や他の医師に話しに行くにはどれくらいの知識と考え方が必要か、そして、そこに確実にそのMSLの意見があるかどうかが重要となってきます。これは文書だけではわからないのですが、その方と話をするとここは非常に良くわかります。  一般的にはインテリム社員はよく勉強していると思います。口頭試問をすると個人の理解度の差が良くわかります。すごくよく理解してる人ともう少し頑張れよと言う人。これじゃ人には説明するのは無理だなという人もいます。従来、製薬メーカーにはMSLという職種は無くMRしかいませんでした。そのMRの中で非常に優れたMRとそうでないMRとの格差がありました。製薬メーカーの中では優秀なMRがMSLに異動する傾向にあるのは確かだと思います。また開発部門の社員がMSLになることもあるようです。一方、-MDが製薬メーカーに就職する場合、直接MA部門に配属される場合も想定されます。インテリムのビジネスは自前で養成したMSLを派遣する事と逆に製薬メーカーからのMSL候補を教育するという事なのですが今後欧米のようにMDが中心的役割を果たすMA部門を視野に入れどの方向性を目指すかが課題と思います。 ~後編につづく~

インテリム求人について

 インテリムではオンコロジー領域を含めたアンメットニーズへの対応とアジア、欧米地域への進出のため、臨床開発モニターを積極的に募集しています。ご興味のある方はリクルートページをご覧ください。 http://www.intellim.co.jp/recruit/
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3Hメディソリューション株式会社 執行役員 可知 健太

オンコロジー領域の臨床開発に携わった後、2015年にがん情報サイト「オンコロ」を立ち上げ、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げる。一方で、治験のプロジェクトマネジメント業務、臨床試験支援システム、医療機器プログラム開発、リアルワールドデータネットワーク網の構築等のコンサルテーションに従事。理学修士。

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