【オンコロメルマガ】コロナ禍におけるがん対策とリモートワークの在り方 [vol.175]


  • [公開日]2020.08.19
  • [最終更新日]2020.08.19

オンコロの中島です。

今月初旬、都内で開催された「がん対策推進企業アクション」主催の、メディアセミナーに参加してきました。

当日のプログラムテーマは「コロナ禍におけるがん対策、がん治療」。講師は東京大学医学部附属病院 放射線治療部門長 兼 がん対策推進企業アクションアドバイザリーボード議長 中川 恵一先生です。

ご講義では、新型コロナウイルスの拡がりで、がん対策や医療環境にも大きな影響を3点挙げられていましたので、ご紹介します。

1.在宅勤務による生活習慣の悪化
在宅という環境下から、喫煙者は喫煙本数が多くなる傾向になり、また飲酒の量も増える傾向にあります。

また、座りっぱなしの姿勢が長く続くことにより、短く座っている人の1.82倍のがん罹患のリスクが生じることが、米国MDアンダーソンがんセンターの調べで明らかになりました。

座りながら運動のメカニズムを図るとすれば、足を動かすことが重要だと考えられているそうです。

30分に1回は立ってみる、座っている姿勢で貧乏ゆすり(中川先生曰く「健康ゆすり」と呼び方を変えたほうが良いのでは、と提言されていました)をすることも、身体には良いそうです。

参考サイトとして、「スポーツ庁、座りすぎ」で検索すると、日本人の座位時間は平均7時間で、世界最長という結果の記事を読むことができます。
      
2.がん検診の低下
がん細胞は健康な人の身体に毎日発生しますが、その多くが免疫力によって消滅されています。

この免疫力は、高齢になるほど弱くなっていくので、年齢が高くなるほどがん化しやすくなっていきます。

新型コロナ予防の影響により、現在がん検診を中断している施設が多く、また健康なかたや患者さんも医療機関に行くことを、感染予防のために控えている人が多いそうです。

非常事態宣言が発令された4月から5月については、全体の56%の検診が中断されたとのことから、今年のがん検診率は、前年に比べ2万人ほど減るのではないか、と言われています。

特に5月は、去年の同じ時期と比べて8%にとどまったことが、日本対がん協会の調査で明らかになりました。

がん医療の専門家は、検診の受診者数が減ることで、患者の治療に影響が出るのではないかと危惧されています。

少しでもおかしいと思う症状があれば早く病院に行き、検査を受けてほしいです。

また、医療者も、がんのリスクや感染対策など、正しい情報を発信していくことが求められています。
 
3.がん治療への影響
新型コロナウィルスは、特に肺へのダメージが深刻です。

現在、抗がん剤治療中の患者さんは、白血球の減少により免疫力が下がっていますので、感染予防に一層のご注意を払われることをお祈りしております。

良い体調を保つために、在宅勤務のかたは体調管理を徹底し、適切な治療の選択をしながら、病気の早期発見に繋げる意識を持つことが大切ですね。

遅い梅雨明けの後は、猛暑がやってきました。

家の中でも、水分補給を心がけながら、この難局な季節を乗り越えて過ごしましょう。

がん対策推進企業アクション ホームページ:
https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/

中島 香織

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