あなたは医師ですか。
岩瀬 哲先生に聞く“緩和ケアとは”
[公開日] 2016.12.09[最終更新日] 2016.12.09
2016年5月にオンコロ主催のセミナーOncolo Meets Cancer Expert(OMCE)で緩和ケアについて講演、また2016年12月よりオンコロの科学ディレクターに就任いただいた東京大学医科学研究所附属病院緩和医療科 特任講師 岩瀬 哲先生に“緩和ケアとはについてご自身の意見含めて伺いました。
緩和ケアとは何か。一言で語るには難しく、いろいろな組織が緩和ケアを定義しています。 世界保健機構(WHO)は緩和ケアを次のように定義しています。
<WHOの定義>
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を改善するアプローチである。
http://www.who.int/cancer/palliative/definition/en/
WHOは2002年に緩和ケアをこのように定義付けしました。最近では「早期」というところが特に注目されており、わが国の厚生労働省は緩和ケアを次のように説明しています。
<厚生労働省の定義>
「がん対策推進基本計画(平成24年6月閣議決定)」において、緩和ケアについては、「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」が重点的に取り組むべき課題として位置付けられています。がん患者とその家族が、可能な限り質の高い治療・療養生活を送れるように、身体的症状の緩和や精神心理的な問題などへの援助が、終末期だけでなく、がんと診断された時からがん治療と同時に行われることが求められています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_kanwa.html
このように、WHOも厚労省も「がん」によって引き起こされた苦痛を「早期から緩和することが大事」と云っています。一方、転移性がんの患者さん..担癌状態の患者さんにとっては、目下の症状がコントロールされても、次に起こってくる苦痛/症状が不安になります。
米国のNCCN(National Comprehensive Cancer Network)は、先の2つの定義と違って「苦痛(症状)の予測と予防が大事」だと云っており、より実践的な観点から緩和ケアを定義しています(下記)。
<NCCNの定義>
緩和ケアは患者とその家族を中心に据えたケアであり、疼痛その他のつらい症状に対する有効な管理に焦点を当てながら、患者/家族のニーズ、価値観、信念、および文化に応じた心理社会的および精神的ケアも組み込んでいく。
緩和ケアの目標は、病期やほかの治療の必要性に関わらず、苦痛の予測、予防、および緩和であり、患者とその家族にとって可能な限り最良のQOLを支援することにある。緩和ケアは、がん治
以上のとおり、緩和ケアの定義はいろいろとありますが、
1) 生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族のQOLを改善するケア
2) 診断時から治療とともに提供されることが求められるケア
3) 患者さんの苦痛を予測し、予防を考えるケア
4) 医療チームがエキスパートと連携して提供されることが望まれるケア
というようにまとめることができると考えます。
特集
治験・臨床試験
一覧を見る
リサーチ・調査
一覧を見る
ニュース
一覧を見る
イベント
一覧を見る
患者会
一覧を見る
ログインいただくと特定のがん種の最新情報をお知らせしたり、チャットでご相談していただけるようになります。