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骨髄異形成症候群(MDS)とは(疾患情報)

骨髄異形成症候群(MDS:myelodysplastic syndromes)とは

血液中の様々な細胞は、骨の中心部にある骨髄という場所で、造血幹細胞から作られます。造血幹細胞は、成長が進むと骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞の2つに分かれ、骨髄系幹細胞からは、赤血球、血小板、また白血球の中の顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)および単球ができ、リンパ系幹細胞からは白血球のうちリンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)が作られます。

骨髄異形成症候群MDS)は、骨髄系幹細胞に生じた異常が原因と考えられる病気のことで、複数の病態を有します。

骨髄異形成症候群(MDS)の罹患率と生存率

骨髄異形成症候群診療の参照ガイド令和4年度改訂版によると、日本で新たに骨髄異形成症候群と診断される患者さんは、1年間に約6,000人とされていますが、約10,000人とする報告もあるため、正確な数は不明です。年齢とともに罹患率が高くなる傾向があり、特に70歳以上で急激に上昇することが知られています。

骨髄異形成症候群(MDS)の原因

高齢になるほど発症頻度が上がるため、加齢はひとつのリスク因子と考えられます。また、MDSの半数以上で染色体異常が認められ、ほぼ全例で何らかの遺伝子異常が認められることから、造血幹細胞に起きる遺伝子異常が発症に関与していると考えられています。

骨髄異形成症候群(MDS)の症状

MDSの患者さんの血液細胞は、未熟なまま成長が止まったり、成長後に細胞が壊れていたり、形態や機能に異常が生じている状態です。そのため、正常な血液細胞が少なく、貧血症状として息切れや動悸がしたり、血小板が少なくなるために細かい点状の皮下出血が出てきたり、鼻血や歯ぐきからの出血がみられることがあります。また、倦怠感や発熱などの症状があらわれることもあります。

特に自覚症状がないまま健康診断の血液検査でたまたま異常が見つかり、MDSの診断につながるケースもあります。

骨髄異形成症候群(MDS)の予後

MSDは、白血病の中でも進行が遅い特徴を持つため、数カ月から数年にわたって緩やかに進行していくと考えられています。リスク分類や併発疾患によって、予後は大きく異なります。

また、MDSは急性骨髄性白血病(AML)への移行リスクが高いため、注意が必要です。

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