2020年11月30日、アストラゼネカ株式会社主催、公益財団法人日本対がん協会(以下 日本対がん協会)・日本肺癌学会・Lung ambition alliance後援にて、「新型コロナウイルス感染症流行下におけるがん検診の重要性」をテーマとしたメディアセミナーが、オンライン・オフラインにて同時開催された。
新型コロナウイルス感染症が、がん検診にどのように影響されているのか、早期発見の大切さのプレゼンテーションが、発表された。
また、ゲストとして肺がんサバイバーでおられる三遊亭円楽氏によるトークセッションも展開された。
がん検診の受診者が大きく減少
登壇者:小西 宏 氏(日本対がん協会 がん検診研究グループマネージャー)日本対がん協会が2018年から2020年の1月から7月の各月がん検診受診者の月別推移を追跡調査した結果、2018年から2019年は上昇傾向にあったが、今年はコロナの影響で大幅に減少した。
2020年の1月から7月の検診受診者は、2018年の1月から7月の累計より1,329,550人減少しており、コロナが大きく影響していることを危惧している。
特に、緊急事態宣言が発表された4月からの検診者は、著しく減少している。
今年の4月、新型コロナウイルス感染症拡大の対応を優先させるため、厚生労働省はがん検診の延期を要請したことが、大きく影響した。
その結果、多くの自治体や企業でがん検診が中止となった。
日本対がん協会の調査によると、国が推奨するがん検診(胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がん)を受けた人は、今年の3月以降大きく減り、1月から7月の累計は前年に比べて約55%減っていた。
がん検診の遅れにより、将来の死亡増加を懸念
登壇者:光冨 徹哉 先生(近畿大学、世界肺癌学会 理事長)がんの診断数が減ると、がんを患っているにも関わらず、治療されない人が増加する。
そして今後、より悪化した状態でがんが見つかることになり、その時には治療法も生存できる期間も限られてしまう。
なかでも、肺がんは5年生存率(5年後に生存している割合)が低く、日本人では、がんによる死亡原因の1位を占めており、早期発見が非常に大切である。
1.国立がん研究センターがん情報サービスがん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計 2.公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計’19」p.15 部位別がん死亡数(2018年)特に肺がんの5年生存率は顕著に低下しており、落ち込みが激しい。
早期診断、早期発見が、生存率に大きく影響している。
国が検診を推奨する 5つのがんに関して、がんが進行する毎に5年生存率が顕著に低下していることがわかる。
直近のがん診断数の減少は、がんを患っているにも関わらず治療されない人が増え、将来的にがんによる死亡の増加が懸念される。
中でも肺がんは 5年生存率が低く、日本人のがんによる死亡原因の1位を占めているため、早期発見が重要であり、がん検診・診断数減少によるがん患者さんの予後への影響を危惧された。
肺がんは、早期発見・早期治療が重要
登壇者:弦間 昭彦 先生(日本医科大学、日本肺癌学会理事長)肺がんには肺門型肺がんと肺野型肺がんがあり、非喫煙者や女性に多い肺がんもある。
また、深刻化するまで症状が出にくいが、比較的早い段階から人間ドッグやがん検診で見つかる種類も存在する。
アストラゼネカ運営サイト:肺がんとともに生きるHPより肺がん検診について、「新型コロナウイルス流行下で検診を受けることが怖いと思われる方もいらっしゃると思いますが、新型コロナウイルスの実態も明らかになりつつあり、検診を行う施設では、日本肺癌学会の出しているガイドラインに沿って、然るべき新型コロナウイルス対策を行っているところがほとんどですので、ぜひがん検診を受けていただきたい」と、本メディアセミナーのメッセージを発信された。
検診で早期発見を
加えて、トークセッションでは、2018年9月に肺がんステージⅠと診断され、治療・復帰のご経験をお持ちの三遊亭円楽師匠をスペシャルゲストとして登壇された。
ご自身の経験に関して、「定期的に人間ドッグに通っていて、早期の段階で肺がんが見つかった。自覚症状もなかったので、非常に驚いたことをよく覚えている。早期発見ということもあり、1週間で日常生活に戻ることができ、今も楽しく活動できている」と、検診の重要性を熱弁された。
また、「がん検診をテーマにしたなぞかけ」という要望に対し、「がん検診とかけて、拍手もない下手な芸と解く。その心は、受けないと手遅れです」と、流石のなぞかけを披露され、会場を和ませた。
参照元: アストラゼネカ株式会社 プレスルーム