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国際肺癌会議 速報版レポート ~Impower133試験~

[公開日] 2018.09.27[最終更新日] 2018.09.27

Impower133試験 フェーズ3試験 #PL02.07 未治療進展型小細胞肺がんへのアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)と標準化学療法併用臨床試験結果  未治療の進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対して、抗PD-L1抗体テセントリクと標準化学療法の併用は、プラセボと化学療法の併用よりも有意に無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を延長することが示された。

試験概要

 IMpower133は多施設無作為化プラセボ対照フェーズ3試験。 化学療法未治療のES-SCLC患者403人を、テセントリクと化学療法(カルボプラチン+エトポシド)群201名とプラセボと化学療法の群プラセボ群203名に1対1に割り付けられた。 患者には導入療法として、21日を1サイクルとして1日目にテセントリク1200mgまたはプラセボ、化学療法(1日目にカルボプラチンAUC 5mg/mL/分、1日目、2日目、3日目にエトポシド100mg/m2) を4サイクル投与し、その後、維持療法としてテセントリクかプラセボを投与された。

評価項目

主要評価項目 研究グループ臨床医の評価による無増悪生存期間と全生存期間の2つ 副次評価項目 奏効率、治療奏効期間、安全性

試験結果 – 有効性

OS中央値(観察期間中央値13.9カ月) テセントリク群12.3カ月 プラセボ群が10.3カ月 死亡リスクがプラセボ群に比べテセントリク群で30%有意に減少 12カ月OS率 テセントリク群51.7% プラセボ群が38.2% PFS中央値 テセントリク群5.2カ月 プラセボ群が4.3カ月 病勢進行または死亡リスクがプラセボ群に比べテセントリク群で 23%有意に減少(HR=0.77) 6カ月PFS率 テセントリク群30.9% プラセボ群22.4% 12カ月PFS率 テセントリク群12.6% プラセボ群5.4% 奏効率 テセントリク群60.2%(完全奏効2.5%含む) プラセボ群が64.4%(完全奏効1.0%を含む) 両群に差はなかった。 奏効期間中央値 テセントリク群4.2カ月 プラセボ群が3.9カ月 治療期間は有意にテセントリク群で長かった(HR=0.70) 6カ月無イベント率 テセントリク群32.2% プラセボ群17.1% 12カ月無イベント率 テセントリク群14.9% プラセボ群6.2%だった。

試験結果 – 安全性

副作用プロファイルは事前に予想されたものであり、血液学的な副作用発現率は両群同様で、テセントリクの追加投与で化学療法の投与が影響を受けることは示されなかった。

まとめ

今回のImpower133試験結果は、進展型小細胞肺がんの現在の標準治療から20年以上の時を超えて示された全生存期間など有意に改善し、臨床的意義のあるものであり、新たな標準治療選択肢の1つと結論付けられた。 なお、IMpower133試験には日本も参加している。
オンコロブログ 肺がん イミフィンジ

前原 克章

大学では英文科を専攻し、在学中に3度米国シカゴ大学へ留学。20年間医薬品・医療機器総合商社勤務。がん疾患の医療・治療にかかわって12年が経過。2018年4月から株式会社クロエへ転身、がん情報サイト「オンコロ」にも携わる。米国臨床腫瘍学会(ASCO)、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)、米国癌学会(AACR)、日本臨床腫瘍学会(JSMO)など会員。

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