乳癌の新薬イブランス(パルボシクリブ)について

進行乳癌患者の約70%はホルモン受容体が陽性を示しているため、ゾラデックス、リュープリンなどの内分泌療法に効果を示します。しかし、中には内分泌療法に効果を示さなかったり、又は一度は効果を示したものの時間の経過とともに病勢が進行してしまう可能性があります。

内分泌療法に効果を示さない原因の1つとして蛋白質複合体であるサイクリンDの存在が考えられています。サイクリンDは乳癌患者50%以上に発現することが確認されており、サイクリンDが過剰発現する患者の大半はエストロゲン受容体陽性であることが判っています。

サイクリンDはサイクリン依存性キナーゼ4と6(CDK4/6)と相互に直接作用し、活性化された蛋白質複合体となります。そして、細胞周期を促進させることで細胞増殖、腫瘍増殖をさせる働きをしています。

以上のことから、ホルモン受容体陽性の進行再発乳癌患者に対してはサイクリンDを標的とする新薬が有効であると考えられ、そこで開発されましたのが、サイクリン依存性キナーゼ4および6阻害剤である

イブランス(パルボシクリブ)

です。イブランス(パルボシクリブ)は抗エストロゲン剤であるレトロゾールとの併用療法でホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳癌患者に対して有効な治療方法であることが証明されました。

イブランス(パルボシクリブ)の薬剤概要

製品名

イブランス(IBRANCE)

一般名

パルボシクリブ(Palbociclib)

用法用量

未定(パルボシクリブとして125mgを1日1回21日間連続投与した後、7日間休薬する)

効能効果

未定(ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳癌)

主な副作用

未定(好中球減少症、肺塞栓症、胚・胎児毒性など)

製造承認日

・2016年2月19日(米国)

イブランス(パルボシクリブ)の作用機序

パルボシクリブはサイクリン依存性キナーゼであるCDK4およびCDK6を特異的に阻害することで癌細胞が増殖するのを制御します。乳癌の癌細胞ではCDK4が癌抑制遺伝子のRbのリン酸化、細胞増殖、腫瘍増殖を促進することが示されておりますので、パルボシクリブによるCDK4およびCDK6を特異的に阻害することでRbのリン酸化が減少し、細胞周期停止します。

イブランス(パルボシクリブ)の最新情報

1)Palbociclib and Letrozole in Advanced Breast Cancer

概要

ホルモン受容体陽性HER2陰性閉経後進行乳癌患者に対してパルボシクリブ+レトロゾール併用療法、又はプラセボ+レトロゾール併用療法を投与する郡に分けて、PFS(無増悪生存期間)を比較検証した第三相試験。結果は、プラセボ郡に比較してパルボシクリブを併用する方がPFS(無増悪生存期間)を有意に延長することが判りました。

出典

The New England Journal of Medicine

配信日

2016年11月17日

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イブランス(パルボシクリブ)の治験情報

1)A Study of Palbociclib in Addition to Standard Endocrine Treatment in Hormone Receptor Positive Her2 Normal Patients With Residual Disease After Neoadjuvant Chemotherapy and Surgery (PENELOPE-B)

治験の概要

タキサン系抗がん剤を含む術前化学療法にCR(完全奏効)を示さなかったホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳癌患者に対してパルボシクリブ、又はプラセボを投与してその有効性を比較検証する治験

治験の期限

2020年12月

参照
1)ファイザー株式会社プレスリリース
2)患者さんのための乳がん診療ガイドライン


この記事に利益相反はありません。

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