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局所進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんに対する周術期療法としてのキイトルーダ+化学療法、予後改善傾向を示す

この記事の3つのポイント
・切除可能局所進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんを対象とした第3相のKEYNOTE-585試験の最終解析
周術期療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ化学療法有効性安全性を比較検討
・キイトルーダ+化学療法は。化学療法単独と比較して、病理学的奏効率、全生存期間の改善傾向を示す

2024年6月26日~29日、ドイツ・ミュンヘンで開催されてた欧州臨床腫瘍学会世界消化器癌会議(ESMO Gastrointestinal Cancers Congress 2024)にて、切除可能局所進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんに対する周術期療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)+化学療法の有効性・安全性を、化学療法単剤と比較検証した第3相のKEYNOTE-585試験(NCT03221426)の最終解析の結果がNational Cancer Center Hospital East in KashiwaのKohei Shitara氏らにより公表された。

KEYNOTE-585試験は、切除可能局所進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者に対して、術前療法としてキイトルーダ200mg+化学療法(シスプラチン + カペシタビンまたはシスプラチン + 5-FU)を実施し、術後療法としてキイトルーダ200mg+化学療法を実施後さらにキイトルーダ200mg単剤療法を最大11サイクル実施する群、もしくは術前療法として化学療法を実施し、術後療法として化学療法を実施後さらにプラセボ単剤療法を最大11サイクル実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)、病理学的寛解率(pCR)、全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、安全性を比較検証した試験である。

追跡期間中央値がそれぞれ59.9か月と58.6か月時点における結果、OSの中央値はキイトルーダ+化学療法群の71.8ヶ月に対してプラセボ+化学療法群で55.7ヶ月を示した(HR=0.86、95%信頼区間:0.71-1.06)。pCRはキイトルーダ+化学療法群の13.4%に対してプラセボ+化学療法群で2.0%と、両群間で11.4%(95%信頼区間:8.0-15.3)の差が確認された。EFSの中央値はキイトルーダ+化学療法群の44.4ヶ月に対してプラセボ+化学療法群で25.7ヶ月を示した(HR=0.81、95%信頼区間:0.67-0.99)。

一方の安全性に関しては、グレード3以上の薬剤関連有害事象発現率は、それぞれ65%と63%であった。

以上のKEYNOTE-585試験の最終解析の結果よりKohei Shitara氏らは「切除可能局所進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんに対する周術期療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ+化学療法は、OSおよびpCRを改善し、中間解析と同様の傾向を示しました。免疫療法の有効性を明らかにするためには、今後の更なる解析が必要です」と結論付けた。

参照元:
Final analysis of the phase III KEYNOTE-585 study of pembrolizumab plus chemotherapy vs chemotherapy as perioperative therapy in locally-advanced gastric and gastroesophageal junction cancer(ESMO GI 2024)

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