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【肺がん体験談】社会復帰出来るんだ〜無職だったがん患者が就職活動をして〜

[公開日] 2018.07.11[最終更新日] 2018.07.11

目次

名前:森田裕子 年齢:56歳 性別:女性(配偶者有り) 住所:富山市 職業:パートタイマー(製造業) がん種:肺がん(肺腺がん)現在は肺がんステージⅣ、ALK遺伝子変異陽性により、分子標的薬服用治療中

求職中に肺がん発覚!

私が最初に肺がんと診断されたのは2013年2月末、50歳の時でした。右肺下葉に約1.5㎝、1.6㎝の腫瘍が2個、リンパ節転移ありで、ステージⅢA、「手術できるかどうかギリギリの進展度」との状態でした。 当時私は無職で、正確に言えば前年の2012年8月末に前職を辞めた事による雇用保険の受給期間中=求職中の事でした。自己都合による退職だった為、すぐには雇用保険が支給にならない待機期間が3ヶ月間あり、その期間を利用して「求職者支援訓練」でパソコン関連の資格取得を目指す講座を受講していました。 元々、夫の会社の配偶者手当支給要件の関係で年収103万円未満の範囲で働いていて、次の働き先も一日5~6時間程度の事務職パートで探すつもりでした。 求職者支援訓練受講者は、修了までに就職先を決めなければならず、同時にハローワークで求職活動もしていました。窓口の人には、「年齢的に事務職に就くのは中々厳しい」と言われたりしましたが、資格取得の為に勉強しているのだから事務職でと思っていました。 1月中旬に、持病で通っているかかりつけ病院でたまたま肺のレントゲンを撮ったのですが、「肺に陰があるように見える。肺がんかもしれないから、大きな病院でちゃんと検査する方がいい」と告げられました。思いがけない「肺がん」と云う言葉、まさに青天の霹靂でした。 早々に総合病院でCT検査を受けたところ、結果はグレー、「腫瘍は認められ、エキノコックスの様な感染症の可能性が高いが、肺癌の可能性も十分にあるので、PET検査を勧める」との所見が出ました。その頃にはワードとエクセルの3級の資格は取得出来ていて、次はアクセス3級試験の準備をしていたのに、それどころではなくなってきました。 講座を運営しているパソコンスクールに相談したところ、スクールの関連先の派遣会社に登録して貰いました。これで「修了時までに就職先決定」は一応クリア出来ました。問題は、肺がんの治療を始めるとしたら、雇用保険受給要件の求職活動が出来なくなる可能性が高い事で、PET検査で肺がんである事はほぼ間違いないと云う所見が出た時点で、その旨ハローワークにも相談しました。 入院期間中に認定日が来た場合は、退院の後にずらしてもらう事になり、「早期就職支援コーナー」を紹介してくれました。カウンセラーによる完全予約制のマンツーマン相談で、ここで相談する事自体が求職活動になると云う、大変有難い制度に少し安心しました。 2月に入り、無事にアクセス3級の資格も取得出来て喜んだのも束の間、気管支鏡での生検で遂に肺がんの確定診断が下りました。資格も取得して、これから就活に励もうと云う時に余りに理不尽なという絶望感で一杯でしたが、とにかく先ずは治療に専念して、求職活動は退院後から再開することとなりました。

タクシーでハローワーク通い

3月11日に入院、13日に開胸手術、23日に退院して、週明け月曜日の25日に認定日がやってきました。退院後は夫の実家に世話になっており、ハローワークまで姑が一緒に行ってくれました。姑は運転免許証を持っておらず、私も退院直後で体調が悪くて運転できる状態ではなかった為、タクシーを利用しました。 次の認定日までには2回の求職活動が必要です。4月に入り、通院による抗がん剤治療が始まって副作用で益々体調が悪くなり、引き続き姑に付き添ってもらってタクシーでハローワークに通いました。 幸い支援コーナーのカウンセラーがとても優しい方で、抗がん剤治療を受けながらの求職活動をする大変さに理解を示してくれました。私も話を聴いて貰って、心身の辛さが少し楽になりました。最後の認定日、手続きが終わった後にコーナーに行ったところ、「これからは抗がん剤治療が終わるまで、ゆっくり療養してね。」と温かい言葉をかけてくれました。

富山県がん総合相談支援センターへ

雇用保険の受給も終わり、とうとう自分の収入は一切無くなりました。それまでは103万円未満とは言え定期収入があり、その中で自分の好きに使えるお金もあったのですが、それが無いとなると貯金を切り崩すしかありません。いくら療養中とは言え、ずっと家に閉じ籠もっている訳ではないので、それなりにお金は必要です。我が家には住宅ローンも残っていて、夫にはそうそう頼れないので、なるべく早く就職先を見つけたいと云う思いは日に日に募っていきました。 丁度その年の4月に、「富山県がん総合相談支援センター」が新設され、がん当事者の悩みを相談出来ると聞いたので、抗がん剤治療が終了した7月中旬に初めてセンターを訪問しました。 そこで、「抗がん剤治療の副作用が抜ける10月には働き始めたい、職種は出来れば事務が良いが拘らない」と訴えました。 相談員の方は、「まずは身体に無理がない様に、週3日勤務とか、一日5時間程度とか、短時間の勤務から始める方が良いのではないか。仕事をする上で、出来ることと出来ない事を明確にする方が良い」とのアドバイスを頂きました。 自分に出来る事は資格を持っているパソコンスキルを使った事務処理、出来ない事は接客(咳き込む為マスクが欠かせないので、接客には向かない)、力仕事、神経を使う様な細かい作業、遠距離通勤…と、事務職には拘らず軽作業も選択肢に入れました。 優先順位として一番は週3日~4日の一日6時間勤務、あとは出来れば雇用保険被保険者になれる所、車で通勤時間20分以内…と云う感じで、とにかく採用条件で就職先を探す事にしました。センターにはハローワークからの求人情報は届きますが、仕事の紹介や求職の申し込みは出来ないので、再びハローワーク通いが始まりました。

なかなか見つからない

その頃にはまだハローワーク富山には「長期療養相談窓口」が無く、通常の相談コーナーで相談・紹介をして貰っていました。求人情報が検索できるパソコンで、条件に合う企業を探し、求人票をプリントアウトしてコーナーで相談…と云う流れになります。 障がい者雇用枠の様な「がん患者(体験者)」枠は無いので、一般求人から条件に合う企業を探さないといけません。また、定期的な通院をするので、職員数が少ない会社では休みにくいと思い、求人理由が「退職による補充」ではなく、「増員」のところを探しました。 一応事務職希望は変わりませんが、やはり人気がある職種なので競争率も激しいです。その時点で既に3人以上の申し込みがある場合はすっぱり諦める様にしました。 そんな感じで求職活動をしていましたが、中々条件に合いそうな企業は見つかりません。既に9月に入り、かなり焦っていたところ、総合病院の薬剤部での補助の仕事がヒットしました。薬品卸会社が請け負っているもので、病院内なら万が一体調不良になってもすぐに手当てが出来そうだし、何より薬剤の勉強になるのではないかと思い、そちらを紹介してもらいました。 一番不安だった、「履歴書に病気の事を書く方が良いか?」と云う疑問には、「敢えて書く必要は無いのではないか。」との答えでしたので、履歴書には特段病気の事は書きませんでした。

目標の10月に

そして面接。今までの経験や志望動機、仕事への意気込み等、通常の質問が続いたところで、遂に「健康状態は如何ですか?」と訊かれました。一気に緊張感が高まりましたが、正直に「実は現在、肺がんで経過観察中です」と答えました。面接官は3人いたのですが、3人とも驚いた様子で、それでも薬品を扱っているからか嫌な顔ではなく、興味深そうな表情になった様に思えました。 「現在は治療も終わったので普通に働けるし、病気になった事により薬剤の重要性を改めて感じたので、今後も勉強したい」と必死で話しました。感触としては、そう悪い印象は与えなかっただろうと思いつつも、やはり病気は大きなハンデだなと落ち込み、余り期待は持てませんでした。 ところが「採用」の通知が届いたのです!本当に驚きましたが、とても嬉しかったです。総合相談支援センターにも採用の報告に行くと、大変喜んでくれました。何でも、求職の相談で実際に職が見つかったのは、私が初めてとの事でした。 正規雇用ではありませんが、がん体験者の雇用は、企業にとってもかなりのチャレンジだったと思います。採用してくれたからには、精一杯努めようと心に決めました。 勤務初日、車で通勤している途中に「社会復帰できるんだ」と云う喜びで胸が一杯になりました。働かない選択肢もあったとは思いますが、自分の出来る範囲の仕事が見つかったのは幸運でした。 その職場は、残念ながら2016年に再発転移が判って結局退職しましたが、その時の就活体験のお陰で、今はまた新しい職場で働いています。 現在、同じ様に求職活動をされている方へ、私の体験が少しでもお役に立てば幸いです。長文を読んで下さって、どうもありがとうございました。
体験談 肺がん 肺腺がん

大貫駿介

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