【乳がん体験談】子供を持つという夢のために。~標準治療をしない選択~


  • [公開日]2017.09.27
  • [最終更新日]2018.06.07

病気を見つけるまで

初めまして。今回オンコロさんに体験談を掲載させていただくことになりましたボーマン 三枝と申します。埼玉県在住、現在36歳の自営業です。

右胸のしこりが気になりだしたのは、30歳になる少し前。

不安に思い病院へ行きましたが、エコー、触診をして「大丈夫でしょう、様子を見て半年後にまた検査しましょう」と言われ、ほっとしました。

そしてまた半年後に念のための検査という事を何度か繰り返し、31歳になりました。

31歳になった私は、結婚を機に県外へ引っ越し。

生活が落ち着いた頃を見計らい、これまでとは違う病院に行きました。またきっと大丈夫だろう、と思いながら。

しかしその病院では、エコーの後に細胞診をすすめられ、これまでとは全く違う雰囲気を感じました。そしてその数日後、31歳、結婚3カ月目にして乳がんと診断されました。

乳がんになっても将来の子供がもてるのか?

告知、病気の説明、手術を受けるための転院先の紹介・・・。

聞かなければいけない事は沢山ありました。病気の状況とともに私が知りたかったのは「乳がんになっても将来子供がもてるのか?」という事。

思い切って主治医に聞いた結果、「ダメダメ、絶対ダメ!」という厳しい返事が返ってきました。

手術の後は通常5年間薬の治療があり、その間の妊娠はダメ、と言う意味だったのだろうと、冷静に今考えれば理解ができますが、当時はその言葉がショックでした。

手術を受けるため大学病院に移り、エコー、マンモグラフィー、検査した病院で採取した細胞の再検査など様々な検査を受けましたが、やはり結果は変わらず乳がん。

2つの病院で同じ結果が出たため、セカンドオピニオンは受けませんでした。

情報を得るきっかけとなった乳がん患者会

手術する病院では、石灰化が広範囲なため右胸全摘をすすめられました。心配事は残したくないとの思いから「はい、お願いします」と、迷わず答えました。

告知を受けてから手術まで、一カ月くらいだったと思います。入院する直前の2013年7月、乳がん体験者の会KSHS の存在を知り、「KSHS第3回全国大会」に参加を決めました。

会場は沢山の女性とそのパートナー達であふれんばかり。信じられませんでした。世の中にはこんなに乳がんを患った患者さんや、乳がんに興味を持つ人がいるなんて!

私よりも若いであろう方から年配の方まで、参加者は様々で…その大勢の中にいるだけで、一人ではないのだと感じました。

妊孕性温存の課題

そこで初めて「妊孕性の温存」と言う言葉を知ることになります。卵子凍結、受精卵凍結、卵巣組織凍結などの方法がある事。

妊孕性の温存について主治医に相談したところ「あなたはまだ早期発見の可能性もあるのだから、妊孕性温存については手術後に考えても良いのでは?」と言われ、結局そのまま手術に臨むことにしました。

治療の選択肢

手術の結果、ステージ0の非浸潤乳がんである事が分かりました。抗がん剤は必要ないが、再発転移の可能性を減らすために5年間のホルモン療法はした方が良い、との事。

再発転移はもちろん避けたい、けれど5年間は長い・・・。主人とよく相談した結果、主治医には、将来の妊娠・出産を優先するためにホルモン療法は受けたくない、と正直な気持ちを伝えました。

標準治療をしない選択」。こんな事言ったら先生に怒られるのではないかと思っていましたが、「そうだね、あなたの人生のためにはホルモン療法しない選択も良いのかも知れないね」と、言っていただけました。

主治医に受け入れてもらえた事で、私達夫婦は子供を持つ夢を持っていて良いのだ、と希望が持てました。

例え望み通りにならなくても、多少の不安はあっても 、前向きに生きていけるような気がしました。

娘達に恵まれた今

その後、2015年33歳の時に長女、2017年36歳で次女に恵まれました。

新しい家族と過ごす日々に幸せを感じていますが、ホルモン療法をしないという決断が本当に正しい事なのか、今でも分かりません。

しかし、妊孕性温存やホルモン療法について主治医に相談し、メリットやデメリットを理解した上で、納得して決めた事。不安よりも感謝の気持ちで前向きに過ごすと決めています!

もし、私と同じように悩んでいる方がいるとしたら、病気の事だけでなく自分の将来設計(妊娠出産の希望、働き方、優先したい事など)についても、身近な医療者 (主治医に相談しにくい場合は、看護師やがん相談センターなど)に相談してほしいと思います。

特に妊孕性の温存については期間やタイミングが限られる可能性があるので、なるべく早く相談できたら良いと思います。

私は気になる事が出てくる度にノートに箇条書きにしておいて、診察の時に主治医に相談していました。

今後の夢

転んでもただでは起きぬのが私のモットー!

乳がん手術後に自分が下着選びで困った経験から、乳がん経験者に向けた下着屋さん、「下着屋Clove(クローブ)」を立ち上げ、肌着の開発・販売を始めました。

下着屋Cloveの“サラッと肌着”は毎日のパットの出し入れの利便性やホットフラッシュによる汗対策などの工夫が満載のブラトップタイプの肌着です。

開発には、若年性乳がんサポートコミュニティ Pink Ring のメンバーにご協力いただき、試着・モニターを行い「乳がん経験者の声」をカタチにしました。

胸元をストレッチレースで安定させ、痛みの原因となる締め付けをなくした点も大きな特徴の一つ!特に手術・再建をされた方に喜んでいただいています。

サラッと肌着を身に着けて、少しでも毎日が快適になるお手伝いができれば嬉しいです!

また、乳がんになっても働きたい!ママになりたいと言う思いで病気と闘っている人たちの事を知ってほしい、応援したいと言う気持ちから、自分の経験をBlogで発信し、乳がん経験者オンリーのおしゃべり会なども企画しています。

病気になって良かったと言うつもりは全くありません!ですが、この病気がきっかけとなり、素敵な出会いや思いがけない感動に恵まれた気がしています。

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