監修:日本医科大学 勝俣範之 先生
新規がん患者の7割を占める高齢者。がん以外の病気を抱える場合も
「地域がん登録」制度によると、2011年にがんにかかった人のうち、約7割は65歳以上の高齢者であると推計されています。人口の急激な高齢化に伴い、この傾向は年を追うごとに高まっており、高齢のがん患者さんは増えています。
米国・NCCN(National Comprehensive Cancer Network)の「高齢者のがん治療ガイドライン」では、全身状態が良好である高齢者は若い患者と同様の治療効果が期待できるため、高齢という理由だけで治療の対象外にすべきではないとの見解を出しています。一方で、高齢になればなるほど生活習慣病を中心に複数の病気を抱えていることが多く、それはがん患者さんも例外ではありません。このような場合、肝臓や腎臓などの臓器の機能がすでに低下していることもあり、がん治療によって合併症が発生しやすい、副作用が起こりやすいこともわかっています。
こうしたことから、高齢者はがん診療連携拠点病院のうち、がんの専門医が揃っていて、がん以外の病気にも対応が可能な大学病院や総合病院を選んだほうがよいといわれています。ただ、病期や身体状態によっては、家族が通いやすい病院や在宅医療に取り組む診療所で治療やケアを受けたほうがよいこともあります。
受診先に迷うときは、がん診療連携拠点病院に設置されている「相談支援センター」に相談してみましょう。電話による相談も可能で、その病院にかかっていなくても誰でも無料で利用できます。