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本庶 佑先生ノーベル賞受賞 VOL.2 ~免疫チェックポイント阻害薬を理解している一般人の割合は27%程度~

[公開日] 2018.12.12[最終更新日] 2018.12.12

オンコロの可知です。

12月10日、スウェーデンのストックホルムにてノーベル賞授賞式が開催されました。本庶 佑先生、ジェームス・アリソン先生、本当におめでとうございます。

https://twitter.com/i/status/1072168180842487808


そして、本庶 佑先生がノーベル賞を受賞発表より2か月以上経過したということで、早いものです。

そして、1か月後に「本庶 佑先生ノーベル賞受賞から1か月 ~Nivolution trialに関わって~」というブログ形式の記事を書きました。

この記事では、オンコロ(主に私)と免疫チェックポイント阻害薬との関係を書くという、とりとめのないものとなりましたが、その最後に「この一か月で思うことについては後編に示したいと思います。内容は10月1日発表から1週間のオンコロの裏側を赤裸々につづり、思うことを記したいと思います。」と付け加えました。

が、全く書けていませんでしたし、今更、一般メディア対応の酷さを書いても仕方がありませんので、我々が調べた「一般人」の免疫チェックポイント阻害薬の認知状況と、「患者」だからできるプロジェクト「グリーンルーペプロジェクト」、そして「本庶先生へ送るために集めているメッセージ」について書いていきたいと思います。

ノーベル賞受賞報道を受け、一般の方に免疫療法の認識を聞いてみた

がん免疫療法の認知率は約6割だが、正しい内容認知は約3割

今回の本庶先生のノーベル賞受賞を受けて、免疫チェックポイント阻害薬、特にオプジーボについて「副作用なくがんを治す夢の新薬」ということでフォーカスされました。

「その夢の新薬を使いたい、もっと知りたい」と、オンコロにも様々な種類のがん患者さん・そのご家族の方から問い合わせがあり、その数、1週間(5営業日)で100名以上となりました。

しかしながら、オプジーボは(言葉が適切かはわかりませんが)ホームランバッターのような薬剤です。たしかに、メラノーマや非小細胞肺がんでは2~3割の方が奏効し、効果がない方は全く効かないといわれている薬剤です。その点は、かなり誤解が増長してしまったことは否めません。

ただ、私見としては、大げさであるものの、一般の方ががん治療が進歩していることを知るのきっかけとなり、そんなに悪いことではないと思っています。問題なのは、「免疫チェックポイント阻害薬」と「エビデンスのない免疫療法」が誤解なく認識されてるか?ということです。

そこで、我々は10月5日~10月15日に1613名の方に「がん免疫療法」に対する認識調査を行いました。なお、一般の方の認識をしるために、治験情報サイト生活向上Web(オンコロの姉妹サイト)を利用して調査しました。

調査サマリーは以下の通りです。(詳細はコチラ

「免疫療法」の認知率は63.4%だが、本庶佑特別教授をきっかけに開発された「免疫チェックポイント阻害薬」を理解していたのは、27.3%にとどまった。

Q:あなたはがんの「免疫療法」についてどの程度ご存知ですか?

Q:今回のノーベル医学生理学賞を受賞した本庶先生の発見で実現した「がんの治療法」は、以下のどれかにあたるかご存知ですか?

 

保険適用外である理由について質問したところ、「最新治療のため」44.7%、「高価なため」41.7%との回答が最も多かった。

Q:がんの免疫療法には保険適用外(自費)のものがあります。何故だと思いますか。あなたの考えにあてはまるものを全てお選びください。(複数選択可)

自由診療の「免疫療法」の広告に接触したことがある方は30.0%であった。また自由診療の広告を見て治療を受けてみたいと回答した方は21.0%となった。

Q:がんの治療方法について等インターネットで調べた際、「自由診療」による治療の広告が表示されましたか。

Q:インターネットで見かけた「自由診療」によるがん治療の広告を見て、治療を受けてみたいと思いましたか。がんに罹っていない方も、想像でお答えください。

これらの結果から、一般の方は「免疫チェックポイント阻害薬がどういったものかよくわからないけど、とにかく免疫療法はすごいもの」と認識していると思われます。

一番の懸念は、それらの一般人がオプジーボやキイトルーダなどの適応がないがんを発症した時に、その違いがわからずに標準療法ではなく自由診療の免疫療法を受けてしまう可能性があることだと思います。

一般人への認知が課題であるのは間違いなさそうです。

グリーンルーペ・プロジェクトが自由診療に対して警鐘

認定NPO法人 希望の会、NPO法人 肺がん患者の会 ワンステップ、一般社団法人キャンサーペアレンツの3団体にて発起されたグリーンルーペ・プロジェクト。「グリーンルーペは、がんを、もう少し近くで見るための “虫めがね”」とたとえ、「がん体験者や家族が、がんになる前に知っておきたかった!」を発信しています。

そのグリーンルーペ・プロジェクトが、今回のノーベル賞に便乗した免疫チェックポイント阻害薬と自由診療の免疫療法の併用療法に対して警鐘を鳴らす動画を作成しました。

この動画は、国立がん研究センター中央病院副院長の藤原 康弘先生にアフラックのCMでおなじみのNPO法人がんノートの岸田徹君が自由診療の免疫療法についてたずねる企画となります。(なお、藤原先生に「まじか」とタメ口で話せるのは、岸田君しかいないと思います。)

https://youtu.be/o3qE1oiY_As

具体的な内容は見ていただければと思いますが、「高い治療法は効かないと思った方がいい」とはっきり言われているのが印象的です。

グリーンルーペ・プロジェクトは、一般の方へのがん啓発という難しいテーマも題材にしています。

今年、9月1日には越谷レイクタウンにて「あなたが、大切な人が、がんになったとき」という、ショッピングモールでのがん啓発という今までにない手法のイベントも開催しています。

今回の動画により、一人でも多くの方が誤った手段をとらないことを願います。

本庶先生へのメッセージの一部を公開、メッセージはまだまだ募集中

最後に、以前から集めている本庶先生へのメッセージについて、まだまだ募集中ですのでコメントくださいませ。 【メッセージを募集】ノーベル医学生理学賞受賞 本庶 佑先生へ 現在200名程度の方から回答いただいておりますが、その一部を公開します。 ・先生の研究のお陰で沢山の患者が救われています。私は肉腫患者で治験で免疫チェックポイント阻害剤を使用しましたが残念ながら効果はありませんでした。今後私のような肉腫患者でも効果のあるPD1の開発をしてください。 ・私は悪性黒色腫のステージ4です。オプジーボが無ければ希望もなく抗がん剤治療をするしかありませんでした。希望の薬を作ってくださり有難うございます。 ・先生の研究がもとになった治療薬により、肺がん4期の私の父は、現在も治療を続けることができています。(現在は別の抗がん剤ですが)先生方が行っている研究が、がん患者の治療の選択肢の幅が広がっていくことに繋がることを祈っています。" ・"オプジーボのおかげで、肺腺がんの遠隔転移が2年ほど抑えられ、感謝しております。粘り強く研究を続け、製品化までこぎつけていただいたので、今、私は生きていられます。ありがとうございます。" ・扁平上皮肺がん、ステージⅣの患者です。オプジーボとヤーボイを併用する治験(チェックメイト227)に参加させて頂くことが出来、見事に肺がんの病巣がほぼ消滅しました。この「免疫チェックポイント阻害薬」にめぐり合えたことに感謝するのみです。オプジーボの開発、本当に有難うございます。また、ノーベル賞の受賞おめでとうございます。先生にはただただ、感謝しかありません。 ・"先生のお陰でどれほど患者・家族が勇気づけられたことでしょうか。心から御礼申し上げます。更にご精進いただきオプジーボを上回る治療効果に傾注いただきますよう ご健勝を祈念申し上げます。おめでとうございます。" ・"昨年6月肺がんが再発しキイトルーダの投与を受けています。劇的な効果が認められ副作用も現在のところはほとんどありません。3週間に一度の投与日以外は肺がんである自分を忘れている毎日です。 ・私は腎細胞がんのステージ4の患者です。2013年から分子標的薬を始めましたが副作用との闘いで毎日辛い日々でした。2016年10月からオプジーボを始め、運良く効果があり、今では副作用に悩まされることなく、健康な人と同じ生活ができてます。食事が美味しいし、下痢に悩まされてず、旅行や趣味も楽しめる!こんな生活がまた出来るとは思っていませんでした。毎日幸せを感じてます!本当に感謝の気持ちでいっぱいです。これからは、頂いた時間、幸せを噛み締めて、悔いのない人生を過ごしたいと思ってます。生きるチャンスをくださってありがとうございます!ステージ4患者の光です! ・オプジーボのお陰で、今日も生きている一人です。感謝の気持ちを表すふさわしい言葉が見つかりません。本当に本当にありがとうございました。これからも研究が進みますように心からお祈り申し上げます。 ・私は、腎盂ガンでリンパ節転移があります。ちょうど一年前から治験でテセントリクとGCの組合せを始めました。現在は治験薬だけですが、まだ生きております。仕事柄、物理学のノーベル賞を取られた先生方のお話を聞いたこともありますし、学校の先輩でも1人おられ、感動もいたしました。しかし、自分の命に関わる先生のノーベル賞は、私にとって感謝すべきとても素晴らしいものだと思いました。" ・先生が研究してくださった結果、新薬ができ、保険適用となり、治療が出来ることは幸せなことです。少しでも父の延命に繋がってくれたら嬉しいと思います。" ・がん治療の新しい革命は 私たちの希望です。すべての人に効果ある治療薬に期待します。 ・これからもがん治療に役に立つ研究を頑張って下さい。そして、是非、私の家族の病を完治できるようにして下さい。 ・患者からこう言われるのが一番嬉しいならば、何度でも言いたいです。「あんたのおかげ」と。先生のおかげで今も生きています。いつかこの恩恵を他のすべてのがん患者さんが受ける事ができるよう、願ってやみません。 ・早期発見で助かったと思った半年後に転移が発覚。絶望感に暮れながら、効果は50%以下と言われても使用しております。おかげ様で現在癌マーカーは2.8前後を推移しながらも、元気に働けるまで回復しました。本当に感謝の言葉が見つからないですが、命の恩人のと思っております。最後に受賞おめでとうございます。 ・主人は咽頭がんで、抗がん剤と放射線治療をやっていましたが、癌が再発して、抗がん剤がもう使えるのがないと言われました。しかし、担当の先生がオプジーボをすすめてくださりました。使用して、1年経ちますが、症状がやわらぎ髪の毛も黒々としたものが生えてきて、癌が縮小してきました。一度はあきらめた命でしたが、また希望を持てました。本当にありがとうございます‼そして、おめでとうございます‼ ・2018年春に肺腺癌が見つかり、拠点病院の若い医師の勧めでキイトルーダでの治療をスタートしました。若き主治医は、50代ながら新たな資格取得のために勉強中であるという私の何気ない一言に反応してくれ、まだやりたいことがある人ならQOLの維持が最優先、試薬の結果も良好であるからぜひ免疫療法をとのことでした。免疫療法の何たるかはそこから学んで知ることになりました。おかげさまで、先日念願の講師資格を取得することができ、人生は着実に前に進んでいます。主治医に感謝するとともに、日々の不安を支えてくださる関係者の方々、そしてここにつながる基礎研究をはるか昔からなさってくださっている本庶先生に、心より感謝いたします。今後も治療は続きますが、治療しながら人生が続くのであれば「御の字」です! ・こうして生きていれる事、仕事が出来る事、全てに感謝です。本当にありがとうございます。6ヶ月間点滴を受け いつ中止なるのか? ずーっと薄氷の上を歩いている様で辛かったですが、7ヶ月目にすっかり消えていました。不思議でした。 ・"非小細胞肺がん患者です。2016年、新たな転移が見つかり癌性髄膜炎と診断されました。そこで主治医より提案されたのが、オプジーボでした。使用後、奏功して寛解状態となり現在に至ります。オプジーボは生きることを諦めかけていた私と、私の家族の未来を変えてくれました。本当に感謝しています。ありがとうございました。" ・父は効果なく、悪化しました。"どんながんも治す薬を作ってほしい。大事な人の命ががんでなくされる事がないようにして欲しい。"

如何でしょうか、感謝の言葉を募っているのでプラスの意見が多いので注意が必要ですが、我々はきちんと本庶先生にメッセージを届けるという義務を全うしないといけないと感じております。現在、どのような形で届けられるか検討しているところですが、お待ちいただければと思います。

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【治験広告】オプジーボとキイトルーダの最新治験情報

免疫チェックポイント阻害薬は、更に研究が進むお薬です。オンコロでは免疫チェックポイント阻害薬に関する治験の情報をより多くの方に知ってもらいたいと考えております。


既治療:EGFR陽性肺がん 免疫チェックポイント阻害薬+α タグリッソがつかえない方


未治療:肺がん 免疫チェックポイント阻害薬と化学療法及び分子標的薬を併用する治験


未治療:食道がん 抗ガン剤 VS 免疫チェックポイント阻害薬+抗ガン剤 VS 免疫チェックポイント阻害薬×2

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【オンコロ】膀胱がん600_112 BCG治療後 初期膀胱がん 免疫チェックポイント阻害剤を使用する治験 ga('send','event','MSD膀胱がん','膀胱がん臨床試験一覧ページ表示','ad0010',1); --> 文:可知 健太
オンコロブログ 免疫チェックポイント阻害薬

3Hメディソリューション株式会社 執行役員 可知 健太

オンコロジー領域の臨床開発に携わった後、2015年にがん情報サイト「オンコロ」を立ち上げ、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げる。一方で、治験のプロジェクトマネジメント業務、臨床試験支援システム、医療機器プログラム開発、リアルワールドデータネットワーク網の構築等のコンサルテーションに従事。理学修士。

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