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再発/転移性上咽頭がんに対する抗PD-1抗体薬カムレリズマブ+VEGFR阻害薬アパニチブ併用療法、客観的奏効率65.5%を示す

この記事の3つのポイント
再発/転移性上咽頭がん患者が対象の第2相試験
・カムレリズマブ+アパチニブ併用療法有効性安全性を検証
・客観的奏効率65.5%、病勢コントロール率86.2%を示した

2月3日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて再発/転移性上咽頭がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるカムレリズマブ+血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)選択的阻害薬であるアパニチブ併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT04586088)の結果がSun Yat-sen University Cancer CenterのXi Ding氏らにより公表された。

本試験は、再発/転移性上咽頭がん患者(N=58人)に対して3週を1サイクルとしてカムレリズマブ200mg+1日1回アパニチブ250mg併用療法を病勢進行、死亡、予期せぬ有害事象発現、患者の意思による治療中止、主治医判断による治療中止のいずれを確認するまで実施し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR;完全寛解率、部分奏効率のいずれかの奏効判定)、副次評価項目として病勢コントロール率(DCR;完全寛解率、部分奏効率、病勢安定のいずれかの奏効判定が少なくとも1週間)、無増悪生存期間PFS)、奏効持続期間(DOR)、有害事象発症率(AE)を検証したシングルアームオープンラベルの第2相試験である。

上咽頭がんは頭頚部がんの1つで、軟口蓋の上からのどの上部までを含む。上咽頭がん患者の約30~40%は病勢進行するため、再発/転移性上咽頭がん患者の治療は大きな課題がある。現在、再発/転移性上咽頭がんに対するファーストライン治療としてはプラチナ系抗がん剤ベースの化学療法標準治療として確立している。しかしながら、ファーストライン治療としてはプラチナ系抗がん剤ベースの化学療法後に病勢進行した再発/転移性上咽頭がんに対する二次治療以降の標準治療は確立されていない。

他の第2相試験では、再発/転移性上咽頭がん患者に対する血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)選択的阻害薬であるアパニチブ単剤療法の有用性が示されている。
(参考:Apatinib, a novel VEGFR-2 tyrosine kinase inhibitor, for relapsed and refractory nasopharyngeal carcinoma: data from an open-label, single-arm, exploratory study(Invest New Drugs. 2020 Dec;38(6):1847-1853. doi: 10.1007/s10637-020-00925-2. Epub 2020 May 3.)

以上の背景より、抗PD-1抗体薬であるカムレリズマブ、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)選択的阻害薬であるアパニチブの相乗効果が期待され、再発/転移性上咽頭がんの二次治療としての本治療の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はカムレリズマブ+アパニチブ併用群で65.5%(95%信頼区間:51.9-77.5%)、副次評価項目である病勢コントロール率(DCR)は86.2%(95%信頼区間:74.6-93.9%)を示した。その他の副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は未到達、無増悪生存期間(PFS)中央値は10.4ヶ月(95%信頼区間:7.2-13.6ヶ月)を示した。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は58.6%であり、主なグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は高血圧、鼻咽頭壊死、頭痛、AST上昇、クレアチンホスホキナーゼ上昇などであった。

以上の第2相試験の結果より、Xi Ding氏らは「一次治療が無効な再発/転移性上咽頭がん患者に対するカムレリズマブとアパチニブ併用療法は、有効な抗腫瘍活性を認めました」と結論を述べている。

Camrelizumab Plus Apatinib in Patients With Recurrent or Metastatic Nasopharyngeal Carcinoma: An Open-Label, Single-Arm, Phase II Study(J Clin Oncol. 2023 Feb 3;JCO2201450. doi: 10.1200/JCO.22.01450.)

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