がん情報サイト「オンコロ」

閉経前のホルモン受容体陽性早期乳がん患者に対するビスホスホネート製剤ゾメタ+アロマターゼ阻害薬レトロゾール併用、タモキシフェンに比べて無病生存率(DFS)を改善する

2018年10月19日~23日までドイツ・ミュンヘンで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)にて閉経前のホルモン受容体陽性早期乳がん患者に対する術後化学療法としてのビスホスホネート製剤であるゾレドロン(商品名ゾメタ;以下ゾメタ)+アロマターゼ阻害薬であるレトロゾール併用療法有効性を比較検証した第III相のHOBOE試験(NCT00412022)の結果が公表された。

HOBOE試験とは、GnRHアゴニストであるTriptorelin単剤療法を5年間投与後(その内63%は化学療法治療歴もある)の閉経前のホルモン受容体陽性早期乳がん患者(N=1065人)に対する術後化学療法として1日1タモキシフェン20mg単剤療法を投与する群、または1日1回レトロゾール2.5mg単剤療法を投与する群、または6ヶ月に1回ゾメタ4mg+1日1回レトロゾール2.5mg併用療法を投与する群の3群に無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存期間DFS)を比較検証したオープンラベルの第III相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である5年無病生存率(DFS)はタモキシフェン群85%、レトロゾール群93%、ゾメタ+レトロゾール併用群93%を示し、タモキシフェン群に比べてゾメタ+レトロゾール併用群で無病生存期間(DFS)を改善した。そして、タモキシフェン群に比べてゾメタ+レトロゾール併用群で再発乳がんまたは癌関連以外の死亡リスクを48%統計学有意に減少(HR:0.52,95%信頼区間:0.34-0.80,P=0.003)した。

なお、レトロゾール群と比較したそれぞれの5年無病生存率(DFS)はタモキシフェン群(HR:0.72,95%信頼区間:0.48-1.07,P=0.06)、ゾメタ+レトロゾール併用群(HR:0.70,95%信頼区間:0.44-1.12,P=0.22)、統計学有意な差は確認されなかった。

一方の安全性として、は下記の通りである。タモキシフェン群4%、レトロゾール群7%、ゾメタ+レトロゾール併用群9%、ゾメタ+レトロゾール併用群でグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は高率であった。

そして、治療期間5年に達成する前の治療関連有害事象(TRAE)中止率はタモキシフェン群7%、レトロゾール群7%、ゾメタ+レトロゾール併用群17%、ゾメタ+レトロゾール併用群で約5人の1人の患者が治療期間5年に達成する前に治療中止に至った。

以上のHOBOE試験の結果より、本治験の代表医師であるIstituto Nazionale Tumori・Francesco Perrone氏は下記のように述べている。”本試験により、閉経前のホルモン受容体陽性早期乳がん患者に対する術後化学療法としてのビスホスホネート製剤、アロマターゼ阻害薬の併用療法が有効であることが示されました。”

https://www.esmo.org/Press-Office/Press-Releases/HOBOE-breast-cancer-Triptorelin-Perrone

×