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肝臓がん(肝細胞がん)の基礎知識

[公開日] 2014.03.01[最終更新日] 2014.03.01

肝臓とは

肝臓は、体の右側の肋骨の下にある、体内で最も大きな臓器です。主に身体に必要な物質の合成・貯蔵、体内に入ってきた有害物質の解毒・代謝します。また肝臓は、食べ物の消化に必要な胆汁を合成し、胆管から十二指腸へ分泌しています。 肝臓は、病気などによって機能が損なわれても、自覚症状が現れにくく、「沈黙の臓器」と呼ばれています。また、高い再生能力を持っていることも肝臓の大きな特徴であり、半分以上を切除しても元の大きさと機能を取り戻すことができます。

肝臓がん(肝細胞がん)の罹患率と生存率

日本の2018年の肝臓がん罹患数は、38,312例(男性26,163例、女性12,148例)であり、東日本より西日本に多いことが知られています。肝臓は、他臓器に発生したがんが転移しやすい臓器であり、転移性肝臓がんの頻度は原発性肝臓がんの約20倍とされています。 肝臓がんには、肝細胞由来の肝細胞がんと、胆管上皮に由来する管内胆管がん(胆管細胞がん)の2種類があります。肝細胞がんの病期毎の5年相対生存率は、I期:63.7%、II期:46.0%、III期:16.1%、iV期:4.2%と報告されています。[院内がん登録生存率集計(2013-2014年診断例)] 原発性肝臓がんの95%が肝細胞がんであるため、本サイトでは以下肝細胞がんに焦点を当てて説明します。

肝臓がん(肝細胞がん)の原因

肝細胞がんは、ウイルス性による慢性肝炎から肝硬変への移行を背景とするものが多く、約60%がC型肝炎ウイルス、15%がB型肝炎ウイルスに起因します。最近では、非ウイルス性の肝細胞がんが増加傾向にあり、その主な原因は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と考えられています。その他、非ウイルス性の肝細胞がんの危険因子としては、アルコール摂取、高齢、喫煙、肥満体質、糖尿病などがあります。

肝臓がん(肝細胞がん)の症状

正常な肝臓であれば、肝臓の約7割を失っても、3~4か月でほぼ元の大きさに戻るほど再生能力に優れているため、肝障害がよほどひどくならなければ症状が現れません。そのため、肝臓病は無症状のまま進行していきます。 がんに至る前段階である慢性肝炎・肝硬変に伴う症状として、肝機能低下による黄疸や浮腫、門脈圧亢進による腹水や肝性脳症、その他倦怠感など様々な症状が現れます。また、肝細胞がんは多血性のため、がんが進行すると、腫瘍破裂による腹腔内出血や腹痛をきたします。肝細胞がんは比較的多臓器への転移が少ないとされていますが、病勢の悪化に伴って転移が発現する場合もあり、主な転移先としては、リンパ節や肺、骨、副腎、腹膜が挙げられます。

肝臓がんの予後

肝臓がんは、根治的な治療を行ったとしても、高い確率で再発することが問題です。肝臓がんの肝切除後の再発率は年率10%以上で、5年後には70-80%に達します。また、穿刺局所療法後に超音波検査とdynamic CTを4か月間隔で実施した報告では、肝細胞がん累計再発率は1年で18.6%、5年で72%です。そのため、治療後も3-6か月ごとに、腫瘍マーカーと画像検査による定期的な検査を受けることが大切です。ほとんどの場合肝臓内で再発しますが、しばしば肺やリンパ節、副腎、脳、骨などに転移することがあります。転移に関する詳細は、こちらをご覧ください。 参考
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