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GIST(消化管間質腫瘍)の治療

[公開日] 2018.01.23[最終更新日] 2018.01.23

GISTの治療の決め方

GIST(消化管間質腫瘍)の治療の第一選択は手術です。 手術単独では根治が難しい場合は、術前あるいは術後に薬物療法を実施します。 また、手術が難しい進行がんの場合には、分子標的薬を中心とした薬物療法が第一選択となります。

GISTの手術

GISTは、周囲の組織への浸潤(広がり)度合いが比較的少ないがんであり、リンパ節転移も起こりにくい性質があるため、切除臓器の機能温存を重視した部分切除が行われることが多いです。 また、これまではがんの大きさや発症部位によって、開腹手術か腹腔鏡下手術が選択されていましたが、2022年のガイドライン改定に伴い、大きさや場所に関係なく腹腔鏡下手術が推奨されるようになりました。

GISTの薬物療法

GISTで使用される薬は、分子標的薬のイマチニブ(製品名:グリベック)、スニチニブ(製品名:スーテント)、レゴラフェニブ(製品名:スチバーガ)があり、いずれも受容体チロシンキナーゼであるKITやPDGFRαの働きを阻害することで、がんの増殖を抑制します。 更に2022年6月からは、HSP90阻害剤であるピミテスピブ(製品名:ジェセリ)も選択肢に加わりました。

GIST治療に用いられる分子標的薬

キナーゼ阻害薬 グリベック(一般名:イマチニブ) スーテント(一般名:スニチニブ) スチバーガ(一般名:レゴラフェニブ) HSP90阻害薬 ジェセリ(一般名:ピミテスピブ)

周術期の薬物療法

腫瘍径が10cm以上ある場合、または完全に取り切れない可能性がある場合には、イマチニブによる術前療法でがんを小さくしてから手術を実施する場合があります。 特にエビデンスが明確な胃のGISTや、肛門温存に影響してくる直腸のGISTなどで検討されます。 一方、手術によって腫瘍の破裂が認められた場合や再発リスクが高いと判断された場合には、術後療法としてイマチニブが使われます。 現在のガイドラインでは、術後の投与期間は3年間と推奨されています。

初回の手術が難しい場合の薬物療法

1次治療としてまず選択されるのはイマチニブであり、その次にスニチニブ、レゴラフェニブの順にチロシンキナーゼ阻害剤を使っていきます。 レゴラフェニブにも耐性となった場合には、4次治療としてピミテスピブが使われます。ピミテスピブはHSP90という分子の働きを阻害することで、がんの細胞死の誘導や、増殖の抑制などの作用が考えられています。 チロシンキナーゼ阻害剤とは異なる作用を持つため、チロシンキナーゼ阻害剤が効かなくなったがんに対して効果が期待されています。 ピミテスピブに関しては、『「GIST 診療ガイドライン 2022 年 4 月改訂第 4 版」部分改訂のお知らせ』が公開されており、2023年2月付で使用の推奨が明記されています。 (http://www.jsco-cpg.jp/wp-content/uploads/2023/03/20230222update.pdf) 副作用としては、イマチニブやスニチニブでは貧血・白血球減少などの骨髄抑制が出やすいと言われています。 一方、ピミテスピブでは、食欲不振や下痢が早い段階で出てくることもあるため、注意が必要です。またピミテスピブの特徴的な副作用に、夜盲症や霧視、視力障害といった眼障害が知られています。

その他の治療

転移のあるGISTの治療に関しては、薬物療法の他に、場合によっては肝転移部位への肝動脈塞栓術、その他の転移部位に対する放射線治療や手術など、局所治療が検討される場合もあります。 ただし、これらは十分なエビデンスがないため、個々の患者さんのがんの性質や場所などに応じて選択していく必要があります。
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