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コロナとは 

※この情報は令和2年9月19日時点の物です。

新型コロナウイルスががんの診療に与える影響

 中国の国立疾病予防管理センター(中国名:中国疾病預防控制中心、略称・中国CDC)が発表した新型コロナウイルス感染症患者4万4672人の解析データでは、持病の無い人の致死率は0.9%ですが、がん患者では5.6%と高めになっています。

 そもそもがん患者さんは一般の人と比べ、新型コロナウイルスに感染しやすい可能性があります。それは、がん細胞自体が免疫細胞の働きにブレーキをかける機能があることと、細胞障害性抗がん剤と呼ばれる種類の抗がん剤を使う場合は、体外から侵入してきたウイルスなどと闘う白血球が抗がん剤の副作用で減少することがあるためです。手術に関しては手術後1カ月以内に新型コロナウイルス感染症に罹ると重症化しやすいという報告がありますが、放射線療法に関しては局所への照射治療では、抗がん剤治療のように白血球の数が減少して免疫が低下するという科学的な根拠は現時点ではありません。

 治療に関しては、薬物療法や放射線療法はそれぞれ科学的根拠に基づくスケジュールで治療が行われているため、自己判断で通院や内服を止めることは、新型コロナウイルスへの感染とそれに伴う症状の重症化のリスク以上に、がんの進行というより深刻なリスクにさらされる可能性があります。必ず主治医と十分な相談を行ったうえで、どのような治療を行っていくか、決めるようにしてください。

検査や治療方針に与える影響は?

 新型コロナウイルス感染症の主な感染経路は「接触感染」、「飛沫感染」です。胃や大腸の中を調べる内視鏡検査では、経口・経鼻で行う際に咳を誘発し医療従事者への飛沫感染が危惧されています。また大腸カメラなどは糞便からのウイルス排出の可能性も指摘されています。そのため、緊急性の高いケースなどを除き、検査の実施が控えられる場合があります。一方で緊急事態宣言解除に伴い、患者にPCR検査を行い陰性と判断された場合など、新型コロナウイルスに罹っている可能性が低い方に対して、医療機関側が新型コロナウイルス陽性の可能性も念頭において、確実な感染防護策をとった上で各施設の判断で内視鏡検査が行われることもあります。

 また、一部の手術など医療従事者への感染の危険性が高い治療は、医療者が感染して院内感染を広げる恐れがあるので、内視鏡と同様に手術の実施が控えられる場合もあります。このため手術を延期したり、手術と他の治療方法との成績がほぼ同じ場合には他の治療への変更を勧めたりする場合もあります。

 一般的に進行性のがんは手術の緊急性が高い場合も多く、その際は手術が予定通り行われます。しかし、進行性ではない多くのがんの場合は、手術後でコロナウイルスに感染した場合に、症状が悪化して致死的になる危険性を考慮し、治療を延期する方が好ましいと考えられる場合もあります。そのため、早期がんの場合は治療を延期する場合が多いと考えられますが、必要以上に不安に感じる必要はありません。主治医は、がんの種類や患者の体力、治療の目的や状況などにより、治療と感染のリスクを考慮して判断しています。

 また、薬物療法を続けている場合でも、通院間隔の延長や通常なら慎重を期すために入院で行っていた薬物治療を外来で行う場合もあります。これらの場合は主治医や看護師から理由などの説明が行われていると思われますが、分からないことや不安なことがある場合は遠慮せずに医療者に質問しましょう。

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