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尿路上皮がん
未治療の進行尿路上皮がんに対するエンホルツマブ ベドチン(製品名:パドセブ)とペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の併用:EV-302/KEYNOTE-A39試験【Abstract#LBA6】 未治療の進行尿路上皮がんに対するニボルマブ(製品名:オプジーボ)と化学療法の併用:EV-302/KEYNOTE-A39試験【Abstract#LBA7】
今回の2つの第3相試験は、20年以上にわたりプラチナ系化学療法が第一選択であった進行性尿路上皮がんの初回治療を塗り替える結果であり、特に高い効果を示したEV-302試験では、スタンディングオベーションが起きるほどのインパクトを与えた。近い将来、進行尿路上皮がんの一次治療変わることが期待させる。 一方、新規の一次治療の登場によって、二次治療以降の治療の検討が必要になること、免疫療法と抗体薬物複合体(ADC)の併用では経済毒性の懸念があることなど、次なる課題もありそうだ。FGFR既治療(抗PD-1抗体を含まない)のFGFR遺伝子変異陽性の進行尿路上皮がんにおけるエルダフィチニブ対ペムブロリズマブの結果:THOR試験【Abstract#2359O】
FGFR既治療(抗PD-1抗体を含む)のFGFR遺伝子変異陽性の進行尿路上皮がんにおけるエルダフィチニブ対化学療法の結果:THOR試験【Abstract#2362MO】 線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)は、進行尿路上皮がんの約20%に遺伝子異常が見られることが知られており、有望な治療標的である。 THOR試験の結果から、抗PD-1抗体を含む複数の治療後に進行した場合、化学療法と比較してFGFR阻害薬エルダフィチニブ治療で有意な生存期間が示された。一方、抗PD-1抗体未治療の場合には、抗PD-1抗体ペムブロリズマブと比較してエルダフィチニブの有意な生存期間延長効果が示されなかったことから、進行尿路上皮がんに対するエルダフェチニブ治療の位置づけは、抗PD-1抗体治療後が適していると示唆された。「治療歴のあるFGFR遺伝子変異陽性進行尿路上皮がんに対するエルダフィチニブ単剤療法、全生存期間を有意に改善」
前立腺がん
タキサン系抗がん剤未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がんに対する177Lu-PSMA-617とオラパリブの併用療法177Lu-PSMA-617:PSMAfore試験 【Abstract#LBA13】
ルテチウム-177(177Lu)–PSMA-617(177Lu-PSMA-617)は,前立腺特異的膜抗原(PSMA)発現細胞と周辺の微小環境にベータ粒子を放出する放射性リガンド療法。PARP阻害薬オラパリブとの併用により、奏効率及び腫瘍評価項目である無増悪生存期間の優越性は示されたものの、全生存期間の有意な延長は見られていない。これは、試験における対象群の大部分が177Lu-PSMA-617にクロスオーバーしていることに起因すると考察されている(クロスオーバー率84.2%)。 177Lu-PSMA-617は、昨年の2021年のASCOで発表されたVISION試験で、複数の治療歴を有する前立腺がんに対する有効性が示され、海外では既に承認されている薬剤。今後より早い治療ラインで使われるようになるのか、注目されるところである。「治療歴のあるPSMA陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんに対する放射性リガンド療法177Lu-PSMA-617、無増悪生存期間を有意に改善」