この記事の3つのポイント
・治療歴のあるPSMA陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象とした第3相のPSMAfore試験
・放射性リガンド療法177Lu-PSMA-617の有効性・安全性を検証
・アンドロゲン受容体経路阻害薬の切り替え投与と比較して画像診断による無増悪生存期間を有意に改善
2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)にて、アンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)治療歴のあるPSMA陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する標的化合物(リガンド)と治療用放射性核種(放射性粒子”lutetium-177”)を組み合わせた放射性リガンド療法の177Lu-PSMA-617静脈内投与の有効性、安全性を比較検証したPSMAfore試験の結果がMayo Clinic・Oliver Sartor氏らにより公表された。
本試験は、ARPI治療歴のあるPSMA陽性mCRPCに対して177Lu-PSMA-617静脈内投与をする群、ARPIのスイッチ療法(アビラテロン/エンザルタミド)を行う群に無作為に振り分け、主要評価項目として画像診断による無増悪生存期間(radiographic Progression-Free Survival:rPFS)を比較検証した第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値7.3ヶ月時点における結果、アンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)のスイッチ療法群に比べて177Lu-PSMA-617静脈内投与をする群で画像診断による病勢進行または死亡のリスクを59%(HR:0.41,95%信頼区間:0.29-0.56,P<0.0001)改善し、主要評価項目基準を達成した。
また、フォローアップ期間中央値15.9ヶ月時点における2回目の解析結果では、177Lu-PSMA-617静脈内投与をする群の12.02ヶ月に対してARPIスイッチ療法群で5.59ヶ月を示した(HR:0.43,95%信頼区間:0.33–0.54,P<0.0001)。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は、177Lu-PSMA-617静脈内投与をする群の34%に対してARPIスイッチ療法群で43%、重篤な有害事象(SAE)発症率は20%対28%、有害事象(AE)による治療中止率は5.7%対5.2%%だった。
参照元:
Sartor O, et al. Phase 3 trial of [177Lu]Lu-PSMA-617 in taxane-naive patients with metastatic castration-resistant prostate cancer (PSMAfore). ESMO Congress 2023, LBA134
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