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未治療のホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行性乳がんに対するサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬ダルピシクリブ+アロマターゼ阻害剤併用療法、無増悪生存期間(PFS)を改善

この記事の3つのポイント
・未治療のホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行性乳がんを対象とした第3相試験
・サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬であるダルピシクリブ+アロマターゼ阻害剤併用療法有効性安全性を検証
・ダルピシクリブ+アロマターゼ阻害剤併用療法が、無増悪生存期間を有意に改善

2023年5月11日、医学誌『The Lancet Oncology』にて、未治療のホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行性乳がんに対して、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬であるダルピシクリブ+アロマターゼ阻害剤であるレトロゾールもしくはアナストロゾール併用療法の有効性、安全性を検証したDAWNA-2試験(NCT03966898)の結果がChinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのPin Zhang氏らにより公表された。

DAWNA-2試験は、未治療のホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行性乳がん患者に対して1日1回ダルピシクリブ150mgを3週間投与し、1週間休薬+1日1回レトロゾール1.5mgもしくはアナストロゾール1mg併用療法を投与する群、もしくはプラセボ+1日1回レトロゾール1.5mgもしくはアナストロゾール1mg併用療法を投与する群に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間OS)、奏効持続期間(DOR)、客観的奏効率ORR)などを比較検証した多施設共同二重盲検下ランダム化の第3相試験である。

サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬は、既にホルモン受容体陽性HER2陰性の進行性乳がんにおいて標準治療薬の1つとなっている。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬は細胞周期の進行を阻害することで悪性細胞の増殖を阻止する作用機序であり、ダルピシクリブ以外にもアベマシクリブパルボシクリブ、リボシクリブなど複数のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬が上市されている。以上の背景より、未治療のホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行性乳がん患者に対してサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬ダルピシクリブ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験のフォローアップ期間の中央値は21.6ヶ月、病勢進行または死亡(PFS)のイベント数が、ダルピシクリブ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用群で103件(34%)、プラセボ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用群で83件(54%)の時点における結果は下記の通りである。

無増悪生存期間(PFS)の中央値はダルピシクリブ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用群の30.6ヶ月(95%信頼区間:30.6ヶ月-未到達)に対してプラセボ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用群で18.2ヶ月(95%信頼区間:16.5-22.5ヶ月)と、ダルピシクリブ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを49%(HR:0.51,95%信頼区間:0.38-0.69,P<0.0001)統計学的有意に改善した。

一方の安全性として、グレード3もしくは4の有害事象(AE)発症率はダルピシクリブ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用群の90%に対してプラセボ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用群で12%を示した。最も多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の有害事象(AE)は、好中球減少症がダルピシクリブ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用群の86%に対してプラセボ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用群で0%、白血球減少症が67%に対して0%を示した。重篤な有害事象(SAE)発症率はダルピシクリブ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用群の12%に対してプラセボ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用群で7%を示した。

以上のDAWNA-2試験の結果よりPin Zhang氏らは、「未治療のホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行性乳がん患者に対するCDK4/6阻害薬ダルピシクリブ+レトロゾールもしくはアナストロゾール併用療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、本疾患の新しい治療選択肢になりうる可能性が示唆されました。」と結論を述べている。

Dalpiciclib plus letrozole or anastrozole versus placebo plus letrozole or anastrozole as first-line treatment in patients with hormone receptor-positive, HER2-negative advanced breast cancer (DAWNA-2)(The Lancet Oncology 2023; DOI:https://doi.org/10.1016/S1470-2045(23)00172-9)

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