がん情報サイト「オンコロ」

治療歴のある転移性または再発非小細胞肺がんに対するバベンシオ単剤療法、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成できず

2018年2月15日、プラチナ製剤ベースの化学療法後に病勢進行した切除不能転移性または再発非小細胞肺がん患者に対するアベルマブ(商品名バベンチオ;以下バベンチオ)の有効性を検証した第III相のJAVELIN Lung 200試験(NCT02395172)の結果、主要評価項目である全生存期間OS)を達成できなかったことをメルクセローノ、ファイザー社のプレスリリースにて公表された。

JAVELIN Lung 200試験とは、 プラチナ製剤2剤併用化学療法後に病勢進行したPD-L1発現陽性切除不能転移性または再発非小細胞肺がん患者(N=792人)に対して2週に1回の投与間隔でバベンチオ10mg/kg単剤療法を投与する群、または3週に1回の投与間隔でドセタキセル75mg/kg単剤療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)などを比較検証した多施設共同オープンラベルの第III相試験である。

本試験の結果、PD-L1発現率1%以上の患者群における主要評価項目である全生存期間(OS)はドセタキセル単剤療法投与群に比べてバベンチオ単剤療法群で10%死亡のリスクが減少するも統計学的な有意な差は確認されず、主要評価項目を達成できなかった(ハザードリスク比:0.90,96%信頼区間:0.72-1.12,P=0.1627)。

しかしながら、PD-L1発現率50%以上の患者群(患者集団の40%を占める)における全生存期間(OS)はドセタキセル単剤療法投与群に比べてバベンチオ単剤療法群で33%死亡のリスクが統計学的有意に減少(ハザードリスク比:0.67,95%信頼区間:0.51-0.89,P=0.0052)。また、PD-L1発現率80%以上の患者群(患者集団の30%を占める)における全生存期間(OS)はドセタキセル単剤療法投与群に比べてバベンチオ単剤療法群で41%死亡のリスクが統計学的有意に減少(ハザードリスク比:0.59,95%信頼区間:0.42-0.83,P=0.0022)を示した。

一方の安全性は、バベンチオの既存の安全性プロファイルと一致しており、本試験により新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなかった。

以上のJAVELIN Lung 200試験の結果を受けて、本治験の代表医師であるAix-Marseille University and the Assistance Publique Hôpitaux de Marseille・Fabrice Barlesi氏は以下のように述べている。”治療歴のある進行性非小細胞肺がん患者さんに対する治療選択肢として、免疫チェックポイント阻害薬未投与の場合は承認を受けている免疫チェックポイント阻害薬の治療を受けている患者さんが多いです。そのため、今回のJAVELIN Lung 200試験の結果は、現在の臨床の治療を考えると少し困惑させることになるでしょう。”

×