5月18日、米メルクはPD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)について、「局所進行性または転移性の尿路上皮がん(膀胱がん等)」の対象患者に対する以下の2件の承認を新たに米国食品医薬品局(FDA)から取得したことを発表した。

・シスプラチン併用化学療法が適さない患者の初回治療

・プラチナ製剤併用化学療法(初回治療)に対して疾患進行が認められた患者、またはプラチナ製剤併用の術前または術後化学療法から12 カ月以内に疾患進行が認められた患者の二次治療

疾患進行が認められるまで、または容認できない毒性が認められるまで、または疾患進行のない場合は最大24カ月まで、キイトルーダを3週間ごとに200 mg の使用となる。

シスプラチン併用化学療法が適さない患者の初回治療として適応取得

初回治療は、シスプラチンによる化学療法が適さない局所進行性または転移性の尿路上皮がん患者370 名を対象としてキイトルーダを評価した多施設共同非盲検単一群試験(KEYNOTE-052、NCT02335424) のデータをもとに承認された。

本試験では、キイトルーダによる治療は、許容できない毒性または進行が認められるまで、あるいは進行の認められない患者は最大24カ月まで、1回200 mgを3週間ごとに投与された。有効性の主な評価項目は、独立した審査機関が判定する客観的奏効率(ORR)のほか、奏効期間であった。

有効性の解析では、客観的的奏効率(ORR)は29%で、完全奏効(CR)は7%、部分奏効(PR)は22%だった。奏効期間の中央値は未到達だった。フォローアップ期間の中央値は7.8カ月だった。

KEYNOTE-052試験では、有害事象により11%の患者がキイトルーダの投与を中止した。キイトルーダの中止に至った主な有害事象(≧20%)は倦怠感(38%)、筋骨格痛(24%)、食欲減退(22%)、便秘(21%)、発疹(21%)、下痢(20%)だった。疾患の進行以外の理由で18 名(5%)の患者が死亡した。

キイトルーダを投与した5名(1.4%)の患者が敗血症により死亡し、3名(0.8%)が肺炎により死亡した。22%の患者が有害事象によりキイトルーダを中断した。主な有害事象(≧1%)は、肝酵素の上昇、下痢、尿路感染症、急性腎障害、倦怠感、関節痛、肺炎だった。重篤な有害事象が42%の患者に認められ、主なもの(≧2%)は尿路感染症、血尿、急性腎障害、肺炎、尿路性敗血症だった。

現在、全身化学療法未治療の局所進行性または転移性の尿路上皮がん患者対象の国際共同第3相臨床試験(Keynote-361試験、NCT02853305)が、日本でも実施中である。

プラチナ製剤併用化学療法に対して疾患進行した進行性尿路上皮がん患者において化学療法と比較して全生存期間を改善した唯一のPD-1抗体

二次治療は、プラチナ製剤による化学療法の治療中または治療後に疾患が進行した局所進行性または転移性の尿路上皮がん患者を対象として、キイトルーダを評価した多施設共同無作為化比較対照試験(KEYNOTE-045、NCT02256436)のデータをもとに承認された。

本試験では、キイトルーダによる治療は、許容できない毒性または進行が認められるまで、あるいは進行の認められない患者は最大24カ月まで、1回200 mgを3週間ごとに投与された。有効性の主な評価項目は、独立した審査機関が判定する奏効率(ORR)のほか、奏効期間であった。

本試験では、キイトルーダ1回200 mgを3週間ごとに投与する群(270名)と、パクリタキセル(商品名タキソール)175 mg/m2(84名)、ドセタキセル(商品名タキソテール)75 mg/m2(84名)、ビンフルニン(日本未承認)320 mg/m2(87名)のうち治験責任医師が選択する化学療法を3 週間ごとに静脈投与する群(272名)に無作為に割り付けられた。治療は、許容できない毒性または疾患の進行が認められるまで、または疾患進行のない場合は最大24 カ月まで継続した。

有効性の主な評価項目は、全生存期間(OS)および独立且つ盲検された審査機関(BICR)が判定する無増悪生存期間(PFS)だった。

キイトルーダは化学療法より優れた生存期間を示した。結果では、中間解析時点での死亡患者がキイトルーダ群では155名(57%)に対し、化学療法群では179名(66%)と、化学療法と比較して死亡のリスクが27%減少した(HR, 0.73, p=0.004)。

全生存期間の中央値はキイトルーダ群では10.3 カ月、化学療法群では7.4 カ月だった。キイトルーダは中間解析で試験の対象患者全体において全生存期間の優越性を示したため、2016 年10月に、独立データモニタリング委員会により、試験を早期終了している(有効中止)。

無増悪生存期間に関しては、キイトルーダと化学療法で統計学的に有意な差異は認められなかった。キイトルーダ群では218名(81%)、化学療法群では219名(81%)だった(HR, 0.98,p=0.833)。無増悪生存期間の中央値はキイトルーダ群2.1 カ月、化学療法群3.3 カ月だった。

奏効率は、化学療法と比較してキイトルーダで統計学的に有意な改善が認められた。奏効率はキイトルーダ群で21%(完全奏効7%、部分奏効14%)、で化学療法群では11%(完全奏効3%、部分奏効8%)で統計学的にも有意であった(p=0.002)。キイトルーダ群の奏効期間の中央値は未到達(範囲:1.6+〜15.6+カ月)で、化学療法群では4.3カ月(範囲:1.4+〜15.4+カ月)だった。本試験のフォローアップ期間の中央値は9.0 カ月だった。

KEYNOTE-045 試験において、8%の患者が有害事象によりキイトルーダを中止した。キイトルーダの完全な中止に至った主な有害事象は肺臓炎(1.9%)であった。また、20%の患者が有害事象によりキイトルーダを中断している。

主な有害事象(≧1%)は、尿路感染症(1.5%)、下痢(1.5%)、大腸炎(1.1%)だった。キイトルーダ群と化学療法群で見られた主な有害事象(≧20%)は、倦怠感(それぞれ38%、56%)、筋骨格痛(32%、27%)、掻痒(23%、6%)、食欲減退(21%、21%)、吐き気(21%、29%)、発疹(20%、13%)だった。重篤な有害事象がキイトルーダ群の39%の患者に認められ、主なもの(≧2%)は尿路感染症、肺炎、貧血、肺臓炎だった。

なお、本試験の結果は、2017年2月17日のNew England Journal of Medicine(NEJM)に掲載されており、日本でも4月28日に、MSD株式会社により「局所進行性または転移性の尿路上皮がん」に対する効能・効果について製造販売承認事項一部変更承認申請がなされている。

尿路上皮がん キイトルーダが二次治療で有効、初回療法では化学療法より有望な可能性 NEJM&ASCO-GU2017<動画有>

進行・転移性尿路上皮がん(膀胱がん、腎盂がん等) キイトルーダ 承認申請 ~免疫チェックポイント阻害薬として同領域初となる~(オンコロニュース2017/4/28)

記事:可知 健太


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