■この記事のポイント
・多発性骨髄腫全般にレブラミドが使用可能に。
・米国では初の経口プロテアソーム阻害薬であるイキサゾミブが発売。
・2015年は様々な薬剤が承認され、多発性骨髄腫治療が発展した年といえる。


日本におけるレブラミドの未治療時使用が承認

12月21日、セルジーンは、レナリドミド(商品名レブラミド)について、「未治療の多発性骨髄腫」に対する追加適応を取得したと発表しました。レナリドミドは、「再発または難治性の多発性骨髄腫」の適応を持つことから、今回の適応追加で「多発性骨髄腫」全般に使用できることとなります。
レナリドミドは、サリドマイド誘導体となり、免疫調整薬(IMiDs)と呼ばれます。

サリドマイドより1000倍強力なTNFα(骨髄腫細胞の増殖に必要なサイトカイン)の産生抑制効果があり、その他にもナチュナルキラー細胞およびキラーT細胞活性、骨髄腫細胞のアポトーシス(細胞自殺)誘導や血管増殖抑制などを有します。2010年より「再発または難治性の多発性骨髄腫」にて適応が追加されていました。

米国にて第二世代プロテアソーム阻害薬イキサゾミブが発売開始、レナリドミドとの併用にて使用

12月14日、武田薬品工業は、第二世代プロテアソーム阻害薬であるイキサゾミブ(米国商品名NINLARO;ニンラロ)の発売を開始したと発表しました。イキサソミブは、同社が発売しているボルテゾミブ(ベルケイド)の後継にあたる薬剤となり、初めて且つ唯一の経口プロテアソーム阻害薬となります。
米国では、発売が開始されたこの薬剤ですが、日本では以下の臨床試験が実施中です。
- 幹細胞移植歴のない初発の多発性骨髄腫患者を対象とした一次治療後の経口Ixazomib維持療法の第3相ランダム化プラセボ対照二重盲検試験
- 多発性骨髄腫患者を対象とした自家幹細胞移植後の経口Ixazomib Citrate(MLN9708)維持療法の第3相ランダム化プラセボ対照二重盲検試験
- 初発の多発性骨髄腫患者を対象とした経口MLN9708 とレナリドミド及びデキサメタゾン併用療法の多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照第3相比較試験

多発性骨髄腫の今後の展望

2015年は、日本における、3月にレブラミドの後継といえるポマリドミド(商品名ポマリスト)や、7月にヒストン結合に関与するHDAC(えいちだっく)阻害薬パノビノスタット(商品名ファリーダック)が承認取得され、米国では、先に述べたイキサゾミブの他、プロテアソーム阻害薬であるカルフィゾミブ(米国商品名KYPROLIS;キプロリス)やSLAMF7(CS-1)抗体であるエロツズマブ(Empliciti;エンプリシティ)が承認されました。
多発性骨髄腫 免疫調整剤ポマリストが発売(オンコロニュース15/5/27)

多発性骨髄腫 7/3 HDAC阻害薬「ファリーダック」承認取得(オンコロニュース15/7/6)

多発性骨髄腫 カルフィルゾミブをFDAが承認(レナリドミドへの上乗せ効果を評価)(オンコロニュース15/7/31)

治療歴を有す多発性骨髄腫 SLAMF抗体エロツズマブ 米国承認(オンコロニュース15/12/2)

この他にも、カルフィゾミブの後継であるオプロゾミブや、ほとんどの多発性骨髄腫細胞に発現しているCD38というタンパク質を標的にするCD38抗体ダラツムマブなどの治療薬が開発最終段階であり、その他、Bcl-2阻害薬ABT-199や汎Pimキナーゼ阻害薬LGH447などが開発初期段階としてラインナップされています。

世界的に考えると30種類以上の新しい薬剤が臨床試験が開始されており、今後も期待ができる領域といえるのではないでしょうか。

多発性骨髄腫とは

多発性骨髄腫はがんの中でも稀であり、全世界で11万4千人が新規に発症する疾患です。典型的な多発性骨髄腫では骨髄に存在する形質細胞の一部ががん化して増殖することにより、通常よりも形質細胞の数が増加します。形質細胞は体内を循環して骨、免疫系、腎、赤血球などに影響を与え、多くの重大な健康障害を引き起こす可能性があります。

記事:可知 健太


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