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多発性骨髄腫 免疫調整剤ポマリストが発売

[公開日] 2015.05.27[最終更新日] 2015.05.27

5月25日、セルジーン株式会社が難治性の多発性骨髄腫治療薬ポマリドミド(商品名:ポマリスト)を5月21日に発売したと発表した。適応はレナリドミド(商品名レプラミド)や分子標的薬ボルテゾミブ(商品名ベルケイド)の治療歴がある方に対して使用歴がある多発性骨髄腫患者となります。 ポマリストはサリドマイド誘導体(サリドマイドを改良した薬剤)であり、免疫調整薬となります。サリドマイドといえばサリドマイド事件(奇形の副作用)が有名ですが、1999年に難治性の多発性骨髄腫に効果があるとわかりました。それにより、サリドマイドの効果を増強し、副作用を抑えた薬剤にレナリドミドがセルジーンから発売されています。 今回のポマリストもサリドマイドの効果を増強し、副作用を抑えた薬剤となるわけです。 ポマリストは「サイトカイン(免疫系の細胞をコントロールするタンパク質)産生調節作用」、「腫瘍細胞に対する増殖抑制作用」、「血管新生阻害作用」により、骨髄腫瘍に対して効果を示します。 日本での多発性骨髄腫の総患者数は14,000 人程度とのことで、ポマリストは厚生労働省により希少疾病用医薬品(オーファン・ドラッグ)の指定を受けています。 <オンコロスタッフコメント> 多発性骨髄腫はかつて診断時の余命が3年といわれていましたが、レナリドミドや分子標的薬ボルテゾミブにより4年生存率が約80%に達しています。しかしながら、約20%の方はこれらの薬剤の効果が乏しいです。また、治療効果が高まっているとはいえ、多発性骨髄腫は完全治癒が難しいため新しい治療法が求められていました。 それだけに、ポマリストの発売の意義は高いといえます。 なお、多発性骨髄腫の臨床試験は多く実施されています、日本医薬情報センター(JAPIC)に掲載されている臨床試験のリンクを示しますのでご参照ください。
日本人再発・難治性多発性骨髄腫患者を対象としたLY2127399とボルテゾミブ及びデキサメタゾンの併用投与による第I相臨床試験
移植非適応の未治療の多発性骨髄腫患者を対象にcarfilzomib,メルファラン及びプレドニゾンとボルテゾミブ,メルファラン及びプレドニゾンを比較する無作為化非盲検第3相試験
Afuresertibの日本人再発性多発性骨髄腫患者を対象とした第I相試験
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象としたONO-7057の第1相試験
再発又は再発かつ難治性の日本人多発性骨髄腫患者を対象としたパノビノスタットとボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの併用療法に関する有効性及び安全性を評価する単群,非盲検,多施設共同第II 相試験
造血幹細胞移植の適応とならない未治療多発性骨髄腫に対するメルファラン・プレドニゾロン・FPF300(サリドマイド)併用療法(MPT療法)の第1/2相試験
未治療の多発性骨髄腫患者を対象とした、Elotuzumab/レナリドミド/低用量デキサメタゾン併用療法とレナリドミド/低用量デキサメタゾン併用療法のランダム化オープンラベル国内第2相臨床試験
可知 健太(各社と利益相反はありません)
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3Hメディソリューション株式会社 執行役員 可知 健太

オンコロジー領域の臨床開発に携わった後、2015年にがん情報サイト「オンコロ」を立ち上げ、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げる。一方で、治験のプロジェクトマネジメント業務、臨床試験支援システム、医療機器プログラム開発、リアルワールドデータネットワーク網の構築等のコンサルテーションに従事。理学修士。

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