■この記事のポイント
・SLAMF7抗体エロツズマブが治療を受けたことのある多発性骨髄腫にて米国で承認
・エロツズマブはナチュラルキラー細胞活性を有する。多発性骨髄腫適応として、初の免疫刺激抗体となる。
・日本では希少疾患用医薬品に指定済。早期承認申請が待たれる。


11月30日、アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)は、過去に1~3次治療を受けた多発性骨髄腫患者に対してSLAMF7抗体エロツズマブをレナリドミド(レブラミド)とデキサメタゾン(デカドロン、レナデックス等)との併用使用を承認したことを発表しました。米国商品名はEmpliciti(エンプリシティ)。

エロツズマブは抗SLAMF7抗体となります。95%以上の多発骨髄腫細胞上にSLAMF7というタンパク質が存在し、エロツズマブはそれと結合することにより抗腫瘍効果を発揮します。また、免疫細胞の1種のナチュラルキラー細胞表面にもSLMAF7が存在しており、エロツズマブが結合するとナチュナルキラー細胞が活性化し、がんを攻撃するようになります。この2つのメカニズムにより多発性骨髄腫細胞に抗腫瘍効果を示します。2014年に米食品医薬品局(FDA)は、再発多発性骨髄腫治療のためエロツズマブ+レナリドミド+デキサメタゾンの併用療法を画期的治療薬に指定していました。
*SLAMF7:シグナル伝達リンパ活性化分子ファミリー7の略。

本承認は、「再発多発性骨髄腫に対して、標準治療であるレナリドミドとデキサメタゾンに分子標的薬エロツズマブを追加時の効果を比較する第3相臨床試験(ELOQUENT-2試験)」の結果に基づいています。本結果は以下をご参照ください。

再発多発性骨髄腫 分子標的薬エロツズマブ 死亡リスクを30%低下 ASCO2015(オンコロニュース150605)

なお、ニューイングランドジャーナル誌にも掲載されています。
Elotuzumab Therapy for Relapsed or Refractory Multiple Myeloma

日本でも、先日、希少疾病用医薬品指定されており、通常より承認までの審査機関が短縮されます。現在、承認申請がなされていませんので、第一段階として承認申請が待たれます。

再発又は難治性の多発性骨髄腫 エロツズマブ 希少疾病用医薬品指定

なお、現在、無治療の多発性骨髄腫の第3相臨床試験が実施されています。
新しく診断された多発性骨髄腫患者を対象としたエロツズマブの臨床試験(JAPICにとびます)

FDA approves Empliciti, a new immune-stimulating therapy to treat multiple myeloma
米ブリストルマイヤーズ・スクイブ社のプレスリリースはコチラ
*日本訳のプレスリリースもブリストルマイヤーズ社から間もなく発表されると考えられます。

antiSLAMF7Ab

記事:可知 健太


この記事に利益相反はありません。

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