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シリコンバレー在住 がんサバイバージャーナリストがつづる欧米がん事情最前線No.3 ~スタンフォード・メディカル入院からアイスランドへ~

[公開日] 2018.02.07[最終更新日] 2018.02.07

目次

がんサバイバージャーナリストがつづる欧米がん事情最前線No.1 がんサバイバージャーナリストがつづる欧米がん事情最前線No.2

サンディエゴのプロトン(陽子)センターを訪問

   肉腫であるサルコマを右脚から摘出手術した後、スタンフォード大学メディカル・センターでX線による放射線治療を薦められました。ですが、なかにし礼さんのがん体験を綴った本「生きる力」を読み、非侵襲(皮膚の切開を行わない)で 後遺症が少なく効果のある陽子線治療を是非とも受けたいと思い立ちました。  通常のX線などによる放射線療法の光子線と違い、陽子線は質量があるので腫瘍の標的に達すると陽子が停まります。一方、光子は照射すると側の組織に進行し攪拌するため、後遺症や放射線から二次的ながんを発症するリスクがあります。  米国ではプロトン療法を行う場所は約25以上ですが、西海岸だとカリフォルニア初で陽子線治療を始めた ローマリンダ、サンディエゴそしてシアトルにありました。色々調べて、西海岸で最も進んでいるサンディエゴのスクリプス・プロトン・セラピー・センター(Scripps Proton Therapy Center)を訪れました。  同センターはパロアルト本社のヴァリアン(Varian)社が製造した、的確に腫瘍を攻撃するペンシル・ビーム法 採用の陽子線治療装置を備えています。90トンのサイクロトロンで陽子を光速の2/3に加速します。2014年に開設されたスクリプスは、当初患者が殺到するものと期待は高かったようです。  ところが、さらに調べると残念なことに同センターは米国破産法の第11章に基づき破産していました。地元紙によると毎月平均で12万3000ドルの電力料金で運営の経費が嵩み、保険の適応とかの問題もあって患者がそれ程伸びなかったよう です。昨年の 12月から カリフォルニア・プロトンズ・カンサー・セラピー・センター(California Protons Cancer Therapy Center)に移行し、現在も治療が続けられています(http://www.californiaprotons.com/)。  テキサス州ダラスの同様の施設も倒産しています。陽子線治療施設の運営はアメリカではなかなか困難なようです。  スタンフォードでの放射線治療を早急に決断しなければならなかったので、電話で同センターに連絡し、私の症状、 生検検査の詳細他、保険などを送られてきた書類に記入し送ってから、治療の候補者であるかどうかが調べられました。対象になりそうということで、スタンフォードからMRIなどのデータを送ってもらいました。  私が加入しているアメリカの保険会社はこの施設を訪問して陽子線治療の医者の意見を聞くことがセカンドオピニオンを求めているからと、カバーしてくれました。 サンディエゴまで飛び、レンタカーで サマーズリッジロードにある小高い丘の同施設は 近代的で明るく、風通しの良い感じでした。  看護師さんによる問診の後、サルコマ担当のライアン・グローバー医師が対応され、治療法をざっと説明され ました。期間は約2ヶ月以上で日々の治療は約40分。ただ、私のサルコマは5センチ以上で大きいため、X線による治療とあまり変わらないとのことでした。陽子線はピンポイントに的を絞るので、特に脳、脳幹や脊髄にある腫瘍を治療するのに有効なとのことでした。  結局スタンフォードで放射線治療を約6週間に渡って月曜から金曜まで受けることになりましたが、サンディエゴの陽光溢れる施設を訪れ、グローバー医師の説明を聞いたので、X線による光子線療法を受ける覚悟ができたのでした。現在スタンフォード・メディカルは施設を拡大中で、近い将来陽子線治療を開始するようです。 次回に続く
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Ayako Jacobsson

広島市で育ち、東京都立大学、英ケンブリッジ大学、コロラド大学ボルダー校で学ぶ。卒業後は「ウォール・ストリート・ジャーナルを読む」などの番組制作ディレクターを担当後、読売新聞英字新聞記者として通信、コンピュータ、テレビ、映画、ホテル、旅行業界を取材。99年からシリコンバレーに拠点を置き、取材・執筆活動を行っている。

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