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シリコンバレー在住 がんサバイバージャーナリストがつづる欧米がん事情最前線No.2 ~スタンフォード・メディカル入院からアイスランドへ~

[公開日] 2017.12.28[最終更新日] 2017.12.28

前回記事:がんサバイバージャーナリストがつづる欧米がん事情最前線No.1はコチラ  私の腫瘍が良性から悪性だと分かる前に、夏休みプランを夫が考えておりました。冬の厳しいスウェーデン出身の主人は、瀬戸内海出身の私と違い、半年前、いや1年前から計画を立てたりします。  ちなみにお互いに共通する趣味?といえば、旅と卓球が好きなことでしょうか。今年の夏休みはアイスランド、スイス、スウェーデンを旅行すると予定でしたが、悪性腫瘍のがんだと判明した頃から、旅をキャンセルするのか、行くのかで悩みました。  スタンフォード・メディカルでサルコマを専門とし、化学療法を担当されるドクター・ブイが「行ってくれば!」と後押し下さり、杖をつきながら、傷を見せながら旅することになりました。サンフランシスコからWOWエアラインズというアイスランド行きの格安航空会社があり、早めに予約すると片道約300ドルでサンフランシスコからレイキャビックに飛べるのです。山歩きの多いスイスは残念ながら、行くのは次の課題として今回は外すことにしました。 写真1:手術ロボットのダビンチを使う宮川絢子先生 写真2:血管新生を研究する保坂佳代子医師  最近の治安事情もあってかWOWのフライトに杖を含めた医療道具を持ち込むには、ドクターの事情説明書が必要とのことでしたので、 旅行に行く前にドクター・ブイに「飛行機の中で杖の使用が必須」というレターを書いて頂きました。 8月18日の外科手術から31日の旅行と結構無茶振りな手術後約2週間経ってからの旅でした。でも、あちこちの国で人の思いの暖かさを感じ、勇気が出ました。  がん患者の皆さん、お医者さまとご相談の上、痛みに負けないで旅行して下さいね。ちょっとしたことですが、旅で使う杖を買うこと一つにしても薬局のウォールグリーンには服似合いそうな空色で花柄付きの杖や、大手小売り店のウォールマートには四つ足付きの黒い杖とかがあって、動くのが痛いながらも、楽しみながら探せました。  レイキャビクに着いた時はWOWエアの2人のフライトアテンダントが「足が悪いの?」と一緒に腕を組んでタラップを降りてくれたり、乗り継ぎの多い格安チケットの個人旅行でしたが、手紙のお陰であちらこちらでVIP待遇を受けました。杖を使うより、イケメンのお兄さん達にエアポートカートで送ってもらったり、車椅子で入国手続きや税関検査を足早に通り抜けたりしました。 写真3:Wowエアラインのピンクの制服に身を包んだフライト・アテンダント  ただ、右足にある30センチの手術傷を見せないパンツ姿だと若く見えがちのアジア人のためか、「何でなのアンタ!健康そうなのに!」という対応とか、隣の人が意図せずとも傷に触れたりとかがありました。ですので、恥ずかしくても出来るだけスカートやワンピースで傷を見せながら旅しました。  最初に訪れた火山や温泉のあるアイスランドではゲイシール間欠泉や世界最大のブルーラグーンの露天風呂などもあったのですが、一番印象に残ったのはレイキャビク市郊外にあるクリーンな地熱発電所です。アイスランドでは再生可能エネルギーを推進していて、原子力発電所が皆無で、国内の電力は水力と地熱発電からです。 写真4:レイキャビク市郊外のクリーンな地熱発電所  以下は地熱発電所の施設内の写真ですが、東芝や三菱など日本のメーカーが多く使われ、貢献していました。ですが、何故お膝元の日本で地熱発電が増えないかというと、「温泉協会とかが反対する」ので出来ないそうです。 写真5:地熱発電所内の東芝の設備  アイスランドで5日過ごしてから、スウェーデンに飛び、夫の家族と楽しく過ごしました。で独立精神が旺盛で働くことを良しとするスウェーデンでは、何か自分でやらないとダメと鼓舞されます。そのためかがんの本を書くことを生涯のテーマワークにしたくなり、 日本人でがん研究をなさっていらっしゃる方がいないかと、現地でいきなりリサーチし、無理矢理許可もなしにバスに乗ってカロリンスカ研究所を訪れました。  病院や研究所は巨大な施設でしたが、杖をついてあちこち動いて聞きまくりました。同研究所に手紙を残したりし、お会いできたのが、 血管新生を研究する保坂佳代子医師と、同病院で手術ロボットのダビンチを使い、年間前立腺全摘術で100例以上なさる泌尿器科の宮川絢子先生です。お二人ともご多忙な中、快くお会い下さり色々お話頂きましたので、この先インタビューとして今後書かせて下さい。  スウェーデンでは夫の妹夫婦の家でココバンというチキンの赤ワイン煮込みをご馳走になったりして過ごしました。元文部大臣の義理の母は、郊外から電車に乗り、ストックホルムのホテルまで訪れて魚料理をごちそうしてくれました。日本の私の母はすでに膵臓がん、父は心臓病で亡くなっていますが、こうして心配してくれる姻戚がいてくれ、生きてて良かったです。 写真6:義母にごちそうになった魚料理 次回記事:がんサバイバージャーナリストがつづる欧米がん事情最前線No.3はコチラ
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Ayako Jacobsson

広島市で育ち、東京都立大学、英ケンブリッジ大学、コロラド大学ボルダー校で学ぶ。卒業後は「ウォール・ストリート・ジャーナルを読む」などの番組制作ディレクターを担当後、読売新聞英字新聞記者として通信、コンピュータ、テレビ、映画、ホテル、旅行業界を取材。99年からシリコンバレーに拠点を置き、取材・執筆活動を行っている。

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