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シリコンバレー在住 がんサバイバージャーナリストがつづる欧米がん事情最前線No.1 ~スタンフォード・メディカル入院からアイスランドへ~

[公開日] 2017.11.12[最終更新日] 2017.11.12

アメリカでビジネス・ライターをしているAyakoと申します。学生時代はかつて東京の朝日新聞社内にあった、アソシエイティッド・プレスことAPでバイトしてました。APでは「極楽トンボ」と呼ばれる軽いフットワークと明るいノリで動き回り、卒業後は読売新聞で記者として働くようになりました。後々縁あって欧州出身の方と結婚し、現在はカリフォルニアのシリコンバレー地域に住んでおります。猿のように欧米を駆け周り、興味の赴くまま取材してました。 そんな折、2年前の雨のサンフランシスコで、ひょんなことから道路で滑って自転車から転び、右足太ももを打撲致しました。しばらく経つと膝の上の撃ったところがグングン腫れて、育って参ります。サンノゼ市にあるジャパンタウンのドクターから、MRI撮影のお達しが出ました。その分析の結果、スタンフォード・メディカル・センターで更に専門的な治療へと回されました。スタンフォード・メディカルはシリコンバレーのあちらこちらに建物があるのです。が、整形外科のオンコロジー(腫瘍科)はレッドウッドシティにあります。そこのナースさんから「今まで、ここを強く撃ったことない?」と聞かれました。思い起こせば、その数年前にも家の屋根枠の点検で梯子から落っこちて、同じ辺りを撃っておりました。 モーラー外科医が右腿のシコリを5箇所ほどバイオプシー(生体組織診断)で取り、病理学者に回しました。6月に出てきた組織診断結果は「がんではない!良性腫瘍」とのこと。欧州からの親戚がカリフォルニアに来たりとかで、全然痛くもないし、2, 3ヶ月ほっておいたところ、真夏の青春の盛りのようにシコリが倍々に大きくなって行きました。ついに直径15センチ(悪性腫瘍部約5㎝)になったところで、「切りますか!」 大腿部断面図 直径部15cm(悪性部約5㎝)、重量約500g以上(1 pound弱)の腫瘍(左上の白部分) 忘れもしない8月18日、モーラー先生筆頭でパロアルト市のスタンフォード・メディカルで手術致しました。モーラー先生は麻酔が切れた私に「手術は大成功!綺麗に取り出せた」と話しかけられましたが、主人には「ソーセージを取り出した」と言っていたと親戚に話してました。取り出した約500g以上(1 pound弱)のソーセージを病理学的に分析すると、リポサルコマ(liposarcoma)という脂肪腫のがんで、グレード3とか。「えー!がん!!!」そうなんです。母も膵臓がんで亡くなっているのです。しかし、私の場合できた場所が足の腿なので「酒場で話の種になるかも」と、最初、本当に軽く考えておりました。 しかし、知れば知るほど、奥が深いというか、がんは手強い。私の希少がん、サルコマはタチの悪いPleomorphicという軟部多形性悪性腫瘍でございました。モーラー先生によると、しこりの大部分が脂肪だったのは「不幸中の幸い」だったようです。18日 金曜の手術から日曜に退院できたのですが、入院中肺がん、乳がんなど他の患者さんと一緒になり、シリコンバレーでもがんと共に生きている人の多さを実感致しました。ちなみに入院中の食事に関しては、メニューが豊富で色々と選べます。当たりはメキシカン料理と肉料理です。でもビーフがとても小さく、 慎み深さと健康への配慮を感じました。退院後は杖を使ったり、右足が腫れ、スタンフォードの救急病院でお世話になったりとか色々ありましたが、8月31日にはサンフランシスコ国際空港から旅立って、アイスランドと夫の実家のあるスウェーデンに行くことにしました。 次回記事:がんサバイバージャーナリストがつづる欧米がん事情最前線No.2はコチラ
体験談 肉腫 欧米がん事情最前線

Ayako Jacobsson

広島市で育ち、東京都立大学、英ケンブリッジ大学、コロラド大学ボルダー校で学ぶ。卒業後は「ウォール・ストリート・ジャーナルを読む」などの番組制作ディレクターを担当後、読売新聞英字新聞記者として通信、コンピュータ、テレビ、映画、ホテル、旅行業界を取材。99年からシリコンバレーに拠点を置き、取材・執筆活動を行っている。

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