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希少がんMeet the Expert 第1回 悪性黒色腫(メラノーマ)書き起こし~講演 前編~

[公開日] 2017.02.17[最終更新日] 2017.02.17

スピーカー 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科、希少がんセンター 山﨑 直也 ■開会挨拶講演 前編講演 後編ディスカッション閉会挨拶

山崎) 皆さんこんばんは。国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科の山崎です。ほかの方々からご挨拶がありましたとおり、記念すべき希少がんセンターのMeet the Expertの第1回のテーマに、メラノーマ・悪性黒色腫を選んでいただき、これだけたくさんの方々が来ていただくなかで、お話をさせていただく機会をいただけたこと大変光栄に思っています。時々、患者さんにお話をする機会をいただいて、沢山のことを伝えたくて、さまざまなことをディスカッションをしたいのですが、いつもどれだけ時間があっても、どういうふうに時間配分を使っても、いつも時間が足りないなと思ってます。今日は、その中で40分という時間、なかなか厳しい時間配分です。言いたいことがたくさんありますが、なるべく皆さんにうまく伝わるようにお話をして、後半、有意義なディスカッションができるようにと思っています。それでは、はじめたいと思います。 まず希少がんですね。悪性黒色腫、希少がんの仲間に入れていただいています。これは大きく世界中で見たときに、悪性黒色腫は、決して希少がんではないという、これは地図の上の数字なんですね。日本では、非常に患者さんが少ない。10万人あたり1人のがんと書いてありますが、例えば、世界中で一番、悪性黒色腫の患者さんの多いオーストラリアは、10万人あたり35人と、これはオーストラリアの中でも、特にクイーンズランドっていう州に限ると、70人から80人ぐらい、日本の70倍から80倍の患者さんがいると言われておりますし、アメリカでも日本の15倍ぐらい患者さんがいますね。これがアメリカの白人の人に限れば、もっと患者さんの数が多いという、かなり疫学的に人種差の特徴のある腫瘍です。日本では患者さんが少ないために、長い間患者さんにとっては不利なことが、たくさんあったと思います。このところ、それが改善されてるとともに、このような希少がんセンターのような組織の中に入れてもらっているところで、なんとか患者さんに利益になることが、もっとたくさん出てくるといいなと思っています。 日本人の皮膚悪性腫瘍の悪性黒色腫は、3番目の患者さんの数で12%を占めます。それが皮膚悪性腫瘍っていうのが、これで見ていただくとわかるように、患者さんの数が随分増えているんですね。2000年、皮膚悪性腫瘍の患者さんの数が、1年間に6900人であったのに対して、それから15年後の2015年には、3倍以上です。皮膚悪性腫瘍の患者さんの数が増えています。メラノーマは、その中の12%ですから、今、推定およそ3000人ぐらい、日本人が1年間に新しくメラノーマにかかる方が3000人ぐらいというふうに推定されています。メラノーマは、非常に怖いがんと言われています。患者さんが、残念ながら亡くなる患者さんの数は、この40年間を見ると4倍に増えています。一番新しいデータは、2014年まで、だんだん患者さんの亡くなる数が増えて、700人に迫ってきました。だんだん増えてしまうのかなと思ったら2015年、590何人かに減ってるんですね。これが一時的なことなのか、もしかしたら、ここのところの薬の治療の進歩ですね。それを反映して患者さんの数は増えているけども、亡くなる患者さんの数が減っているとしたら、大変うれしいなと思っています。この推移を、もうちょっと見守りたいと思っています。 悪性黒色腫は、先ほど人種によって疫学的な大きな差があると、患者さんの数の差のお話をしましたけども、病気の型、病型にも大きな違いがあります。日本人の悪性黒色腫の型は、4割以上の型が、足の裏、手のひら、爪に起こる末端黒子型(まったんこくしがた)ALMというメラノーマの型が非常に多い。対してアメリカの患者さんは過半数の人が、表在拡大型という体の表面、体幹っていうとこですね。この辺りにできて、薄い平たいメラノーマ、この型が過半数を占めるという、違いがあります。そして、病型が違うから発生部位が違うわけですけども、日本人の患者さんは、ほぼ足の裏に3分の1の人ができるんですね。アメリカでは、こうばらけて、いろんな場所に満遍なくできます。日本の患者さんで注意しなければいけないのは、この粘膜っていうところですね。粘膜というのは、この目の白目とか、結膜、口の中、鼻の中、あとは外陰部、お尻とか、お小水の出るところですね。そういうところに発症するメラノーマの患者さんがとても多いんです。こういう患者さんは皮膚の患者さんよりも、さらに数が少なくて、適切な治療がどういう治療なのかっていうところから、ずっと置いて行かれてたんです。非常に治療法がないことで気の毒な、そして知識がないために発見が遅くなるというような特徴があって、病気の見通しが非常に暗いっていうことが多かったんですけども、そういうことがわかってきましたので、日本での治療開発の中では、是非、皮膚の悪性黒色腫の患者さんと共に、粘膜のメラノーマの患者さんを同じように治療して、同じように治療成績を上げていきたいです。ですから、僕は皮膚腫瘍科ですけども、自分ではずーっと皮膚腫瘍、粘膜のメラノーマは、皮膚に全然限らないわけですから、自分では皮膚腫瘍科というよりはメラノーマ科だと思っているし、皮膚科のチームのお医者さんたちは、みんなそんなふうな意識で患者さんの診療にあたっています。 後は進行、最初に患者さんが病院に来られた時の、病気の進み具合ですね。これ見ていただくとわかるように、アメリカの患者さんに比べて、日本の患者さんの初診の時の、進行の具合が進んでるんですね。日本の患者さんのメラノーマのほうが、こういう点でも予後が悪いというふうに言われています。これが日本の皮膚悪性腫瘍学会というところで、統計を取っている病気の時期別ですね。ステージですね。病気の時期別の治療成績です。すごく簡単に言うと、ステージⅠっていうのは、薄いメラノーマをして、そこにしかできてなくて、しかもでき始めの薄いメラノーマの人です。ステージⅡっていうのは、それが厚くなったけども、その場所にとどまっているメラノーマの方です。ステージⅢっていうのは、そこから残念ながら皮膚の転移や、リンパ節転移が起こっている方。ステージⅣっていうのは、遠隔転移って言って、内臓転移が起こってる方。大体大ざっぱに言うと、こういうことです。そうするとステージⅠの方、5年のとこで見ていただくと60カ月、ここですね、ここで見ていただくといいと思いますけども、薄いメラノーマだから、早期発見されれば、ほぼ治るんですね。 ステージⅡの、厚くなっても、どこかに転移していない方はよく治るんです。全体でいうと80%、85%の方が治るんです。ただし、このステージⅡcっていう人がいらっしゃいますね。とても分厚くて潰瘍って言って、皮膚の表面がむけているような人ですね。簡単に言うと、そういうふうな方っていうのは、返って転移している方と同じか、少し悪いぐらい治療成績が落ちてしまうというところも問題で、こういうところを、気を付けながら、治療をしていかなければいけないっていうふうに思っています。きちんと治療していかなければいけないのに、長い、長い間、悪性黒色腫の治療法っていうのは、本当に進歩しませんでした。がんの治療っていうのは患者さんの数が少なくて、そして治療法がわからなくて進歩しない場合には、往々にして、じゃあ切って取りましょうと、手術でなるべく体から、いったん切り離して、見かけ上、体の中にあるがんがないようにしましょうっていう治療にせざるを得ないんですね。放射線がどれぐらい効くか、お薬がどれぐらい効くか、っていうことがわからなければ、手術で取り除きましょうってことが主体になるんですね。それが、もう長いこと、そういう時代が続いてたんですけども、ここのところ、とうとうですね。アメリカでこの5年ぐらい、日本ではこの3年ぐらいですね。免疫療法っていう治療法と、それから新しい薬物療法、分子標的薬っていうお薬がたくさん出てきて、突然、お薬の治療が進歩して、それが今日まで、ずっと続いてるし、まだまだ続くというふうに考えられています。悪性黒色腫の薬物治療は急激な進歩をして、さらにそれが続いています。 少し前、これは皮膚科学会で2007年に作った治療方針の図ですけども、病気の、進行のしている方のお薬は、ほぼ、このDTIC・ダカルバジンというお薬しかなくて、いきなり遠隔転移があると緩和ケアっていう、もう痛い、苦しいを、取りましょうっていうような方針にせざるを得ない人たちもいたわけですね。お薬の治療、ほぼこれしかなかったのに比べて、随分と治療が変わってきています。アメリカのメラノーマの治療方針、年に大体3回ぐらい変わります。もう月単位で変わります。これ去年の暮れぐらいのもの持って来てますけども、複雑なので日本語に変えたときにも、日本語に変えても複雑なんです。 第1選択治療ってね、先ほどお薬が突然たくさん出てきて進歩が続いてるっていうふうに言いました。だからこの状態なら、この状態ならこれっていうふうな治療が、ピシッっと、誰がみても決まるわけじゃなくて、いろんなお薬をいろんな条件で、お医者さんのある程度裁量で、こういうふうに使いましょうっていう選択肢がすごく広がっていて、そこに、1対1対応がないんですね。だから、最初にこれを使っても、これを使っても、それを併せて使っても、いろんなことしていいよってのが最初にあるんですね。それが効けばいいけれど、それが進んでしまった時に、また、じゃあその時に使わなかった、先ほどたくさん並んでいたお薬の中で一つ使わなかったのは除いて、別のやつ使いましょうみたいに、第2選択薬だっていっぱいあって、こうなると情報が非常に多くて治療する側も、とても専門的な知識がないと、きちんとした治療ができない状態になっていて、とても、ここのところ専門性が求められています。 それともう一つ大事なことは、こうやってお薬がいっぱいあるから、どこまでも頑張るかっていうと体調の悪い人、体力が落ちている人って意味です。これ、PSの3と4というのは。PS、0から2というのは、簡単に言うと元気な人です。そこで、副作用があるかもしれないお薬を、いつまでもやみくもに使うよりは、体調を維持するような治療に頭を切り替えましょうということも考えてかなきゃいけない。たくさん治療方針があるのに考えていかなきゃいけないことがあって、その辺りトータルで診療できる必要があるわけですね。 さて、とはいえ積極的な治療法がたくさん出てきたので、そういう話をしていきますね。今から5年前。アメリカでヨーロッパで、新しい治療がいくつも、まずは二つですけども、それからいくつもどんどん増えてきたわけですね。まず二つ増えたのは、一つ、新しい免疫療法、免疫チェックポイント阻害薬という、イピリムマブという薬と、もう一つは分子標的薬、BRAF阻害剤ベムラフェニブというお薬、この二つの柱、新しい免疫療法と、それから分子標的薬というお薬の2本立ての柱が、今でも、その柱が長く伸びているようなかたちで治療が進歩しています。日本では少し順番が違って2014年、免疫チェックポイント阻害薬はイピリムマブじゃなくてニボルマブ、皆さんよくご存知かもしれませんオプジーボっていう薬ですね。これがなんと治療がずっと遅れていた日本が、世界で初めて悪性黒色腫で、日本で使えるようになったお薬が、オプジーボ・ニボルマブなんですね。で、分子標的薬も使えなきゃ行けないですから、同じ年内に分子標的薬ベムラフェニブも使えるようになりました。これとても簡単に言いにくいんですけど、とても簡単に言うと、免疫療法、免疫チェックポイント阻害薬イピリムマブや、オプジーボ・ニボルマブは、がん細胞そのものに効くというよりは、Tリンパ球っていう体の中の抵抗力を持った、強い本来敵をやっつけてくれる細胞ですね。その細胞がきちんとがん細胞をやっつけてくれるようにしようというお薬ですね。Tリンパ球を介して、がんをやっつけることを、そのちからを強くして、さらに、がんがやっつけることができるようにしようっていうお薬ですね。 もう一つ、分子標的薬いうのは、がん細胞の中にですね。がん細胞に刺激が加わると、がんが大きくなったり、育ったり、活性化っていって、元気になったりするようなルートがあるんですね。そこのルートの信号、がんが盛んに育ってしまうような信号が出るのを止めるお薬ですね。分子標的薬はそういうお薬と、この二系統のお薬があります。そして、今、思っていることは、その免疫チェックポイント阻害薬ってやつ、オプジーボとか、イピリムマブ・ヤーボイとかいう薬は、メラノーマのお薬としてできましたけども、実は、がん全体、抗がん治療、お薬と言えば抗がん剤だったがん治療全体に、免疫療法っていう自分の抵抗力を上げて、そのちからで、がんをやっつけるんだというですね。免疫療法っていうのは、うまく使えば本当にがんに効くし、それはがん腫横断的に、いろんながんで、ここにだんだん使える。このお薬が使うことができるがん腫が増えてきてるってことが、書きたいんですけども、悪性黒色腫から始まったことが、がん全体に広まっていく。がん治療全体のお薬の治療が、変わっていくきっかけになってるっていうことですね。手術と放射線と抗がん剤が三つの治療。それに加えて免疫療法は第4の治療って言われてきました。本当に第4の治療なんてあるのかと言われてきましたが、それが本当にあるってことが証明されています。 悪性黒色腫は、なかなかお薬の治療が良くならなかったので、このダカルバジンってやつができてから、ずーっといいお薬がなかったんですけども、5年前の2011年の、こういう二つのお薬ができたことでですね。これは1年生存率と書いてありますけども、1年生存率がここで10%から20%ぐらい伸びたんですね。だけどそこからの4年間で、これ見ていただくと、そこからの4年間で40%ぐらい1年生存率が伸びるような、そういう時代が来ています。何しろ進歩が、どんどん早いもんですから、がんってよく5年生存率っていうこと、皆さんご存知だと思いますけど、そこで治る目安、どれぐらいよく治るか?ってお話をしますけども、とても進歩が早いために5年生存率が出せないまま、どんどん、どんどんお薬が良くなるんですね。なので、これ1年生存率の最近の変化を見ても、こんなに良くなってますと、いろんなお薬でね。っていうことが書いてありますけども、年月がたってきましたから、2年生存率とか3年生存率も、だんだん治療法によっては出せるようになってきました。免疫チェックポイント阻害薬とか、分子標的薬、それからその組み合わせによって、とても長い、こんな、5年生存でも34%と、ここに出てる薬がありますけども、これは悪性黒色腫では考えられなかったことなので、時代をずっと見ていただくと、1年ごとにどんどん、どんどん良くなってるものですから、もっともっとこれが良くなっていくといいなというふうに思っています。 なかでも悪性黒色腫は、昔々から、免疫療法、その抵抗力上げて、がんをやっつけるっていう治療法が本当にあって、そのターゲットになるという、がんの代表だったんですね。これ、 免疫療法が効かないとか、免疫療法やってもしょうがないって言われているがんはいっぱいあった中で、悪性黒色腫は、ずーっと前から免疫療法のターゲットだったんです。それが今の、オプジーボとか、ほかの免疫チェックポイント阻害薬の進歩につながってるわけですけども、患者さんに勘違いされるといけないなと思いながら、時々出すんですけど、どうして悪性黒色腫が免疫療法の主なターゲットになっているか?っというと、それは、悪性黒色腫は自然消退、部分消退っていう、そういう現象が起こることが知られてるからなんですね。がんが自然に消えていくことがあるということがたまにあります。数%の方であることが知られてて、これ僕の患者さんなんですけど、右手の親指のメラノーマ・悪性黒色腫です。ここに、爪に黒いのがあって、もう、ちょっと離れたとこにできちゃってます。この親指の治療、これを治すための治療は、残念ながら指、切ることなんですね。指、切るのつらいですね。そして機能的に、右手の親指取られたら、とても生活、不自由です。そういう手術が普通の治療だというふうなお話ししたわけですけども、「まあ手術したくない」と言われたので、「したくない気持ちはわかりますから、じゃあ決心着くまで通うだけ通ってと、悪くなったらいけないですからね」というふうにお話ししてたら、通ってくれたんですね。通ってくれたら、だんだん、だんだん消えていって、ここ黒い線が一つあるだけで、ここに黒い点がちょっとあるだけですね。これが部分消退で、このあと消えちゃったんですね。「10年は通って」っていう約束をして、10年通ってくれたんです。ここでもうだいぶ消えてなくなっちゃいましたけど、それからずーっと消えたままで、これは普通じゃないんですよ。こういうことは非常にまれだけどあること。僕らはそれをわかってるし、それを眺めてることの危険もわかってるんです。 だから通ってもらうこと前提に、こうやって診ているけども、だから、がんの手術受けなくていいっていうことじゃないんですね。なかに、こういう人がいて、こういうことがあるから拠り所としての今の免疫療法ができたんですけども、これが、いつもいつもあるわけじゃありません。だけど、その人のちから、病気を治そうとするちからが、ばい菌やウイルスだけに向かうんじゃなくて、なかには、がんていうすごい強い敵に向かって、それに勝てることもあるっていうことですね。だから免疫療法っていうのは、これからも期待されるわけです。こういうふうに横から見ても消えている。 長いこと日本と欧米の間にはドラッグラグっていう、日本ではお薬が使えない。でも外国にはお薬がいくつもあるっていうことが続いてました。それは日本の患者さんにとって、とても不幸なことです。それが、でも2010年以前は、あんまり大した薬なかったわけですね。だけど2011年以降、先ほどお話ししたように、どんどんいい薬ができたので、これはこのまま日本の患者さんが、それを使えないままじゃ絶対いけないですね。だから、少し遅れですけども、どんどん、どんどん同じように日本の患者さんが、このお薬を使えるようにしてもらった。その中には悪性黒色腫が希少がんの仲間に入れてもらってることは、とても大きいですね。普通の患者さんのがん、「たくさんおられる乳がんや、肺がんや、胃がんや、大腸がんと同じような治療開発の仕方で、治療、お薬を作りなさい」と言われたらなかなかできないわけですね。患者さんが少ないから、患者さんを集めることもできないし「多くの患者さんの効果を見なさい」と言われたら、長い、長い年月かかるので、だから患者さんの少ないがんの治療開発の仕方っていうのを、患者さんの多いがんとは別に考えて、それが、とても一つ一つうまくいった結果、少し遅れですけども、どんどん、どんどん海外とのドラッグラグが埋まってきて、ほぼ、日本の患者さんは世界の最先端の、一番いい治療と同じようにできるようになっています。それが、ほぼ、この6剤なんですね。免疫チェックポイント阻害薬3剤と、それから分子標的薬3剤の、この6剤がほぼ共通して先進国で使えるようになっています。その開発の話、どんなお薬かいう話を、もうちょっとしていきますね。 日本でも1個1個のお薬を、うまく開発していきました。ニボルマブ・オプジーボっていうのは、まず、何かのお薬が効かなかった人、特にその時代、ダカルバジンですね。ダカルバジンが効かなかった人に対して使うお薬として、まず開発されました。3週間ごとに、体重あたり2mgっていう量を使いましょうっていう、3週間ごとに点滴しましょうっていうかたちで、開発の治験っていうのをしました。日本が、先ほども言いましたけども、結果的に世界で一番最初にオプジーボを使えるようになったわけですね。ていうことは、ほかの薬については、ほぼ海外の後追いをしてたのに、このお薬は日本が先頭を走っていたから、じゃあ、本当にその量で、本当にその間隔で、投与するのが一番いいかどうかっていう目安は、正直言ってなかったわけですね。学問的に計算して、体の中の血液の、お薬の濃度なんかを計算した結果、体重あたり2mg、3週ごとっていうふうに、投与するように決まったんです。 そして、日本での治療の開発の特徴は、最初に言いましたけど、粘膜の黒色腫の方って多いわけですね。これは海外では、ほぼ治療開発の対象にならないんですね。でも日本でそんなことやってたら、患者さんの数がある程度多いのに困ってしまいますから、日本では是非、粘膜のメラノーマの患者さんも開発の対象にしましょうっていうことで、一緒に入ってもらってます。その結果、皮膚の方、粘膜の方、一緒に併せて、がんに効果があった割合は奏効率22.9%と、これがダカルバジンの奏効率って7から12%ぐらいなんです。だからそれを明らかに上回ったということで、まずお薬になったわけですね。そして、スパイダープロットって言いますけども、下に向いてるほど、がんがちっちゃくなってる。そして長く、こちらに真っすぐ向いてるほど、長く効いてるってことです。これが上を向いたら効かなくなったということですね。ニボルマブの特徴をよく表してますけども、1回効いたら長く効くということがわかってるお薬なんですね。 講演 後編へ続く
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