膵臓がんとは(疾患情報)


  • [公開日]2017.10.13
  • [最終更新日]2023.01.23

膵臓とは

膵臓は、胃の後ろ側にある長さ15~20cmほどの細長い臓器です。膵管と呼ばれる細い管が、網の目のように全体を取り巻いています。

膵臓の主な働きは、①食物の消化に必要な酵素を含む膵液(すいえき)を作り分泌すること(外分泌機能)、②血糖値を調節するインスリン、グルカゴンなどのホルモンを作り分泌すること(内分泌機能)のふたつです。

膵臓がんとは膵臓にできるがんのことで、浸潤性膵管がん、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍、漿液性腫瘍などがあります。膵臓がんの約90%は、膵管の細胞から発生する浸潤性膵管がんが占めています。

また、膵臓は大きく膵頭部、膵体部、膵尾部の3つの部位に分けられ、そのうち膵頭部が最も発現率の高い部分となっています。

膵臓がんの罹患率と生存率 

日本において、膵臓がんと診断された症例数は、2019年の報告では43,865例(男性22,285例、女性21,579例)であり、死亡数は2020年の報告で、37,677人(男性18,880人、女性18,797人)となっています。

また、病期毎の5年相対生存率は、I期:52%、II期:23%、III期:7%、IV期:1%(国立がんセンターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」より)となっています。

膵臓がんの原因

膵臓がんの危険因子には、膵臓がんの家族歴、肥満や合併疾患(糖尿病、慢性膵炎、IPMNなど)、嗜好(喫煙、飲酒)などが挙げられます。特に糖尿病は、膵臓がんの半数以上に認められるため、糖尿病と診断された際には注意が必要です。

膵臓がんの症状

膵臓がん発見のきっかけとなる症状は、腹痛・黄疸・腰背部痛・消化不良、また糖尿病の悪化などが挙げられます。膵頭部がんでは黄疸が生じやすいため、膵体部・膵尾部にできるがんよりも早期に発見されやすいとされています。

しかし、膵臓がんは初期には無症状のまま進行していくため、危険因子を持っている場合には、早期発見のために定期検査をすることが大切です。

膵臓がんの予後

膵臓がんは、早期発見が難しく、根治切除後であっても再発しやすいという特徴があるため、他のがんと比べて予後が悪いと言われています。
膵がんの根治治療である手術を受けられるのは全体の20%程度と言われています。また、膵臓がんは早期に転移・浸潤を起こしやすく手術後も再発しやすいため、術後の補助化学療法標準治療となっています。また、手術不能症例に関しても、5年生存率は決して高い数字ではありませんが、薬物療法の進歩により、長期生存を得られる症例も増えてきました。また近年では、切除不能と判定された場合でも、薬物療法により腫瘍が縮小することで、手術に持ち込める症例も出てきています。

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