[公開日] 2017.12.07[最終更新日] 2017.12.07
腎臓とは
腎臓は、握りこぶしより少し大きいソラマメのような形をした臓器で、腰より上の背中側に左右ひとつずつあります。
主な働きとしては、血中の老廃物を排泄するための尿の生成、血圧のコントロール、造血ホルモンの生成やビタミンDの活性化などが挙げられます。
腎臓がんは、大部分が尿をつくる部分(腎実質)にある尿細管の細胞ががん化したもので、腎細胞がんとも呼ばれます。一方で、尿が集まる部分(腎盂)にある細胞ががん化したものは腎盂がんと呼ばれ、腎細胞がんとは性質や治療法が異なります。
ここではまず、腎細胞がんに焦点を当てて解説していきます。
腎細胞がんの罹患率と生存率
日本において、腎細胞がんと診断された患者数は、2019年の報告で年21,347例であり、男性の方が多く発症する傾向にあります。
腎がん(腎盂がんを除く)の病期毎の5年ネットサバイバルは、I期:95.0%、II期:87.6%、III期:77.5%、IV期:18.5%と報告されています。[院内がん登録生存率集計(2015年5年生存率)]
腎臓がんの原因
腎臓がんの危険因子としては、肥満、喫煙、高血圧などが挙げられます。また、長期的に透析療法を受けていることも、腎臓がんと関連していると言われています。
更に、遺伝子の変異によって発症することが知られているフォン・ヒッペル・リンドウ(von Hippel-Lindau:VHL)病も原因のひとつと考えられています。
腎臓がんの症状
腎臓がんは、早期では無症状で進行することが多いがんです。進行すると、古典的三徴とも呼ばれる血尿、腰や背中の痛み、腹部のしこりなどが見られるようになります。また、足のむくみや吐き気、便秘やお腹の痛みなども生じることがあります。
更に、発熱や倦怠感などの全身症状や、他の臓器への転移に伴う症状(例:肺転移の場合には咳や血痰、骨転移の場合には骨折や骨の痛み、など)を伴う場合もあります。
腎臓がんの予後
がんが腎臓内にとどまっている場合には比較的予後は良好ですが、がんが周囲や他の臓器に広がっている場合には、急激に予後が悪化するため、定期的な検診などによる早期発見が重要です。
また腎臓がんは、手術後5-10年経過しても再発を起こすことがあるため、長期的な経過観察も必要です。
がん種一覧
腎臓がん
腎臓がん