子宮頸がんの治療


  • [公開日]2023.01.01
  • [最終更新日]2023.01.24

子宮頸がんの治療の決め方

子宮頸がんの治療は、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法を、単独あるいは組み合わせて行います。

また、合併症の有無や妊娠の希望によっても、治療法が変わってきます。

子宮頸がんの手術

前がん病変とI-II期の子宮頸がんに対する有効な治療法が手術です。がんの広がりにより子宮頸部または子宮全部を切除します。卵巣と卵管の切除は、年齢、病状に合わせて決定します。

切除した組織は顕微鏡で詳しく調べ、がんの広がりを診断し、手術後の治療方針を検討します。

円錐切除術

子宮頸部の一部を円錐状に切除する方法です。画像検査では分からないような早期がんの場合には、切除した組織を顕微鏡で観察し、がんの広がりを正確に調べる目的で行います。

単純子宮全的手術

子宮頸部のまわりの組織は取らずに子宮だけを切除する方法で、子宮筋腫など良性の場合にも行います。おなかを切り開いて切除する開腹手術、おなかを切らずに腟から切除する腟式手術、腹腔鏡下手術のいずれかで行います。ただし、腹腔鏡下手術はできる施設が限られています。

準広汎子宮全摘出術

がんの取り残しを避けるために、単純子宮全摘出術よりも少し広めに子宮を切除する方法です。子宮と一緒に、基靭帯(子宮を支えている子宮頸部周囲の組織)と腟の一部(2cm)を切除します。

広汎子宮全摘出術

準広汎子宮全摘出術よりもさらに広く子宮を切除する方法です。子宮と一緒に、基靭帯や腟の一部(3-4cm)、また骨盤内のリンパ節も一緒に切除します。

がんを完全に取りきる可能性は高まりますが、リンパ浮腫、排尿のトラブル、性生活への影響などの合併症が生じる場合もあるため、注意が必要です。

広汎子宮頸部摘出術

広汎子宮全摘出術が必要な患者さんの中で、妊娠可能な年齢かつ妊娠の強い希望がある場合に行われる手術です。妊娠の機能を保つために、子宮体部と卵巣を残す点が、広汎子宮全摘出術と違う点です。

しかし、本来取るべき子宮体部と卵巣を残すため、がんの大きさなど一定の基準を満たす必要があります。

子宮頸がんの放射線療法

子宮頸がんで行われる放射線療法は、骨盤の外から照射する外照射と、子宮頸部のがんに直接照射する腔内照射、放射線を出す物質をがん組織やその周辺組織内に直接挿入して行う組織内照射があります。

子宮頸がんでは、病期にかかわらず放射線治療を行うことができますが、比較的進行したがんの場合には、細胞障害性抗がん薬とともに放射線治療を行う化学放射線療法が多く使われています。

また手術後の再発リスクが高い場合や、初回治療で放射線治療を行わなかった場合の再発後の治療選択にもなります。

放射線治療の副作用として最初に起きてくるのは、照射開始から数週間以内の急性反応です。だるさ・吐き気や照射された部位の皮膚炎、粘膜炎、直腸炎や膀胱炎などがあります。これらは通常、治療終了とともに自然に治っていきます。

一方、治療後数カ月から数年たってから晩期合併症が出てくることがあります。消化管からの出血や閉塞、穿孔、直腸腟ろう(直腸と腟がつながって腟から便が漏れる症状)などがあります。また、尿路の障害として、出血、感染や、膀胱尿管腟ろう(膀胱や尿管と腟がつながって腟から尿が漏れる症状)、また稀に腟が狭くなったり、腟の壁同士がくっついたりすることもあります。

子宮頸がんの薬物療法

子宮頸がんでの薬物療法は、主に遠隔転移のある進行がんや再発した場合に選択されます。生活の質をなるべく高く保ち、生存期間を延ばすことが治療の目的です。

子宮頸がんにおいては、効果を発揮するメカニズムの異なる薬を組み合わせて行うのが一般的です。

細胞障害性抗がん剤に加え、分子標的薬の一種であるベバシズマブ(製品名:アバスチン)を併用することもあります。ベバシズマブは、がん細胞が新しい血管を作るために必要な血管内皮増殖因子(VEGF)VEGFをターゲットとして血管新生を妨げ、がんの増殖を抑える薬剤です。

子宮頸がんで主に使われる薬の組み合わせは以下の通りです。

  • パクリタキセル+カルボプラチン(TC)療法
  • パクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブ(TC+Bev)療法
  • ドセタキセル+カルボプラチン(DC)療法
  • ドセタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブ(DC+Bev)療法

殺細胞性抗がん剤の副作用としては、吐き気や嘔吐、脱毛、末梢まっしょう神経障害(感覚低下、痛み)などがあります。また、分子標的薬の副作用としては、傷が治りにくい、高血圧、タンパク尿、出血などが知られています。

子宮頸がんの再発後の治療

再発の治療は、再発した場所に放射線の照射歴があるかどうかによって大きく方針が異なります。

放射線をあてていない部位の再発には、まず放射線治療が選択されます。放射線治療中に細胞障害性抗がん剤を併用することもあります。

一方、既に放射線をあてた部位に再発した場合、手術や再度の放射線治療をすると合併症のリスクが高くなるため、薬物療法を選択することが多いです。

骨盤内に再発した場合、直腸や膀胱なども併せて摘出する骨盤除臓術が実施されることもあります。その場合、人工肛門や人工膀胱をつくることが必要です。

また子宮頸がんは、肺、脳、傍大動脈リンパ節(骨盤より上の大動脈まわりのリンパ節)、骨へ転移しやすい性質を持ちます。

転移部位が限定される場合には、放射線治療や手術が選択されますが、転移が複数の部位に見られる場合には、薬物療法が多く使われます。

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