[公開日] 2023.01.01[最終更新日] 2023.01.01
子宮とは
子宮は女性の骨盤内にある臓器で、下部の筒状の「子宮頸部」と、上部の袋状の「子宮体部」に分けられます。子宮頸部の下は腟につながり、子宮体部の左右は卵管につながります。また、子宮の左右には卵巣があります。
子宮は妊娠したときに胎児を育てる器官です。筋肉でできており、子宮頸部の周囲にある基靱帯という組織によって支えられています。
子宮にできるがんのうち、子宮の入り口にあたる子宮頸部から発生するがんを子宮頸がんと言います。
子宮頸がんの罹患率と生存率
日本において、子宮頸がんと診断された患者数は、2019年の報告で10,879例です。病期毎の5年相対生存率は、I期:96%、II期:80%、III期:65%、IV期:26%(国立がんセンターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」より)となっています。
子宮頸がんの原因
子宮頸がんの大部分は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染が原因であることが分かっています。このウイルスは性的接触を通して子宮頸部に感染します。HPVは男性にも女性にも感染する可能性のある一般的なウイルスであり、性交経験のある女性であれば、約80%の確率で一度は感染機会があるといわれています。
HPVに感染しても、その約90%は自身の免疫力でウイルスを排除しますが、10%の人ではHPV感染が長期間持続します。そして、そのまま自然治癒しない場合に、異形成とよばれる前がん病変を経て、数年以上かけて子宮頸がんに進行していきます。
また、頻度は低いですが、HPVとは無関係な子宮頸がんもあります。
子宮頸がんの症状
子宮頸がんは、がんになる前の状態を何年か経てから発症するため、初期には自覚症状がなく、おりものや出血の異常も気づきにくいのが特徴です。
子宮頸がんが進行すると、月経中でないときや性交時の出血、異常なおりもの(濃い茶色や膿のようなおりもの、水っぽいおりものなど)などが見られるようになります。
更に進行すると、下腹部や腰に痛みを感じたり、尿や便に血が混じったりすることもあります。
気になる症状があるときは、ためらわずに早めに婦人科を受診することが大切です。
子宮頸がんの種類
子宮頸がんには、異形成と呼ばれるがんになる前の状態が存在します。さらに異形成には、軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成・上皮内がん(CIN3)の3つの段階があります。
そしてCIN1、CIN2までは定期的な検診で対応しますが、CIN3になると「前がん病変」と呼ばれ、治療を開始する必要があります。
子宮頸がんには扁平上皮がんと腺がんのふたつの組織型があります。子宮頸がんの大部分が扁平上皮がんですが、一部の腺がんは悪性度が高く予後が悪いと言われています。ただし、組織型によって、治療法が変わることはありません。
(詳しくは【子宮頸がんの薬物療法】の項目を参照ください)
子宮頸がんの予後
子宮頸がんは、早期に発見すれば比較的治療しやすく予後のよいがんと言われていますが、進行すると根治が難しくなることから、早期発見が極めて重要です。
子宮の入り口付近に発生することが多いので、婦人科の診察で観察や検査がしやすく、比較的発見されやすいがんです。早期発見のために、定期的な検診を心がけていきましょう。
がん種一覧
子宮頸がん
子宮頸がん