小細胞肺がんの治療-限局型の標準治療-


  • [公開日]2020.07.07
  • [最終更新日]2020.09.24

限局型の治療

限局型の小細胞肺がんでは、I~IIA期で手術可能な場合は手術を行い、その後は抗がん剤による薬物療法を行います。I~IIA期で手術が難しい場合やI~IIA期以外でPSが0-2の場合は、薬物療法と放射線療法を同時並行で行う「化学放射線療法」が標準治療として定められています。

化学放射線療法は、抗がん剤の投与が始まった翌日から放射線療法を開始する早期同時併用療法が生存延長効果で優れているとされていますが、体力的な問題などで初めに薬物療法を行い、時期をずらして放射線療法を開始する場合もあります。 薬物療法では、細胞障害性抗がん薬である白金製剤(シスプラチン)とトポイソメラーゼ阻害薬(エトポシド)を同時に併用するPE療法が最初に選択されます。ただ、腎臓の機能が低下している場合は、白金製剤をガルボプラチンに変えてエトポシドを併用するCE療法を選択します。

放射線療法は、比較的早期のI~IIA期の場合、「定位放射線療法」を選択されることがあります。短期間ですむ反面、1回で大量の放射線を照射するため、1回の治療時間は1時間程度かかります。

I~IIA期以外でPSが0-2での「加速過分割照射法」が行われます。小細胞肺がんはがん細胞の増殖が速いため、放射線療法を1日2回、1回1.5Gy(10分程度)の放射線を照射します。各週5日間連続で照射を行い、残り2日間はお休みというサイクルを3週行います。

なお、I~IIA期以外でPSが3-4の場合は、状態に応じて薬物療法が中心となります。

■参照
・オンコロBOOKシリーズ「小細胞肺がんと診断されたら知っておきたい治療のはなし」
・特定非営利法人日本肺癌学会「肺癌診療ガイドライン2019年版

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