進行再発大腸癌の二次治療に困っていませんか?なぜなら、2016年5月にサイラムザ(ラムシルマブ)「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の効果効能で承認されましたから。

これまで、この治療ラインにはアバスチン(ベバシズマブ)、アービタックス(セツキシマブ)、ベクティビックス(パニツムマブ)の3つの分子標的治療薬が選択肢としてありました。

これら3つの使い分けは、RAS野生型/変異型か?経口レジメン併用か?投与間隔2週/1週か?のように、使い分ける基準は明確でした。

しかし、この3つの分子標的治療薬に4つ目の分子標的治療薬であるサイラムザ(ラムシルマブ)が加わると、なかなか使い分けが難しくなります。

なぜなら、サイラムザ(ラムシルマブ)はアバスチン(ベバシズマブ)と同じ作用機序である抗VEGF抗体薬だからです。アービタックス(セツキシマブ)、ベクティビックス(パニツムマブ)など抗EGFR抗体薬を使うか?アバスチン(ベバシズマブ)の抗VEGF抗体薬を使うか?のように明確な使い分け基準がありません。

もちろん、使い分け基準がないわけではありません。一般的に言われているサイラムザ(ラムシルマブ)とアバスチン(ベバシズマブ)の使い分け基準は、薬価、併用する抗がん剤レジメンの2つになります。

薬価

薬価はサイラムザ(ラムシルマブ)よりもアバスチン(ベバシズマブ)の方が圧倒的に安いです。例えば、身長165cm体重60kgの人で1ヶ月分(4週間)薬価を計算しますと、

サイラムザ(ラムシルマブ):体重60kg×容量8mg/kg=480mg=355,450円
アバスチン(ベバシズマブ)(A):体重60kg×容量5mg/kg=300mg=125,214円
アバスチン(ベバシズマブ)(B):体重60kg×容量10mg/kg=600mg=242,418円

約10〜20万円も違います。

併用する抗がん剤レジメン

併用する抗がん剤レジメンはサイラムザ(ラムシルマブ)はFOLFIRIのみですが、アバスチン(ベバシズマブ)はFOLFOXでもXELOXでもSOX、FOLFIRIでもXELIRIでもIRISでもなんでも可能です。

なぜサイラムザ(ラムシルマブ)がFOLFIRIとの併用に限定されるかといいますと、サイラムザ(ラムシルマブ)の有効性を示したRAISE試験のデザインが1次治療でオキサリプラチンベースとベバシズマブの併用療法を受けた患者かつ2次治療のレジメンはFOLFIRIに固定したからです。

ラムシルマブはこの固定条件により有効性を示し、薬剤の承認を取りましたので、この試験デザインとは異なる使用場面で使用することは現在のところ推奨されていません。

ですので、一次治療にイリノテカンベースの治療をしていた場合、二次治療に経口抗がん剤レジメンを選択する場合にはラムシルマブを使う場面がないのです。

まとめ

以上のように、ラムシルマブとベバシズマブを使い分ける明確な基準は薬価、併用する抗がん剤レジメンです。

しかし、使い分け場面はあくまでも一次治療にオキサリプラチンベースの治療をしていた場合に限ります。つまり、なんでもかんでもアバスチン(ベバシズマブ)の時代はまだまだ続きそうです。

サイラムザ(ラムシルマブ)の添付文書情報

製品名

サイラムザ

一般名

ラムシルマブ(ramucirumab)

用法用量

2週間に1回、ラムシルマブとして1回8mg/kgを点滴静注する

効能効果

治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌

主な副作用

好中球減少症、鼻出血、口内炎、血小板減少症、高血圧

製造承認日

2015年6月(治癒切除不能な進行・再発の胃癌)

サイラムザ(ラムシルマブ)の作用機序

ラムシルマブ

ロハス・メディカル

サイラムザ(ラムシルマブ)はヒトVEGFR-2に対する特異的な抗体であり、VEGFリガンド(VEGF-A、VEGF-C、VEGF-D)のVEGFR-2への結合を阻害することで、VEGFR-2の活性化を阻害し、内皮細胞の増殖、遊走及び生存を阻害し、腫瘍血管新生を阻害します。

サイラムザ(ラムシルマブ)の最新情報

1)Ramucirumab versus placebo in combination with second-line FOLFIRI in patients with metastatic colorectal carcinoma that progressed during or after first-line therapy with bevacizumab, oxaliplatin, and a fluoropyrimidine (RAISE): a randomised, double-blind, multicentre, phase 3 study

概要

FOLFOX+アバスチン(ベバシズマブ)併用療法後に増悪した再発難治性大腸癌の二次治療としてFOLFIRI+サイラムザ(ラムシルマブ)併用療法、又はFOLFIRI+プラセボ併用療法を投与し、OS(全生存期間)を比較検証した第三相試験。結果は、プラセボよりもサイラムザ(ラムシルマブ)併用療法の方が有意にOS(全生存期間) を改善することがわかりました。

出典

The Lancet

配信日

2017年4月11日

サイラムザ(ラムシルマブ)の口コミ

医師のコメント

参照
1)日本イーライリリー株式会社プレスリリース
2)大腸癌治療ガイドライン


この記事に利益相反はありません。

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