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多発性骨髄腫と共に明るい未来を生きる:新薬「タービー」の登場とその意義 ヤンセンファーマ

[公開日] 2025.09.09[最終更新日] 2025.09.09

9月5日、ヤンセンファーマ株式会社主催の「再発又は難治性の多発性骨髄腫における最新治療薬『タービー』が患者さんにもたらす意義」と題したセミナーが実施された。 これには、先日新薬タービー(一般名:トアルクエタマブ)が、移植の適応・非適応に関わらず使用可能になった背景がある。
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多発性骨髄腫(MM)は、抗体を産生する形質細胞のがん。伊藤薫樹先生(岩手医科大学内科学講座 血液腫瘍内科分野)によると、一部のMMでは、長期寛解状態が達成できるものの治癒は難しく、大部分は再発を繰り返し、最後にはどの薬に対しても抵抗性を示すようになる。また現在の標準治療では、初回および2次治療までに、3クラスの薬剤(プロテアソーム阻害剤、免疫調整剤、抗CD38抗体)を使い切るケースが多く、再発後の治療選択肢が少ないことが課題だ。米国でのデータでは、3クラスの薬剤を使い切ったあとの再発後治療の成績は、全奏効率(ORR)が約3割、全生存期間の中央値が12.4ヶ月であり、予後の改善が長らく求められてきた。 このような背景の中、新しい治療法としてキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法や二重特異性抗体、抗体薬物複合体(ADC)などが開発されてきた。今回のセミナーで取り上げられたタービーは、2025年8月14日に発売されたばかりの二重特異性抗体。既に二重特異性抗体としては、骨髄腫細胞のBCMA(B細胞成熟抗原)とT細胞のCD3を標的としたエルレフィオ(一般名:エルラタマブ)とテクベイリ(一般名:テクリスタマブ)が承認されているが、タービーは骨髄腫細胞のGPRC5D(Gタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD)とCD3を標的とする初の薬剤である。 臨床試験において、主要評価項目であるORRは7割を超え、従来の約3割を大きく上回った。その中でも特に完全奏効(CR)以上の効果が得られた症例が3割以上(日本人コホートでは半数近く)を占め、効果の高さだけでなく、深さも期待できることを伊藤先生は強調した。また、CAR-T療法の適応とならない患者さんやBCMA標的療法後に再発した患者さんでも使用できること、毎週投与に加えて隔週での投与も可能であることなどもタービーを使用する上でのメリットとされている。 安全性に関しては、薬剤の標的であるGPRC5Dが正常なB細胞にはほとんど発現していないため、がん細胞への特異性が高く、今までの二重特異性抗体の課題であった感染症の発症をコントロールしやすい。一方で、味覚障害や爪・皮膚障害などが代表的な有害事象として発現する。「治療開始から副作用について患者さんにしっかり説明し、その都度対処をしながら長く治療を続けていくことが大切です」(伊藤先生) 現在は、新しい薬剤を併用して使う治療法の開発も進んでいるとのこと。伊藤先生は、今後MMの更なる予後の改善が期待できるとして、講演を締めくくった。 伊藤薫樹先生(岩手医科大学内科学講座 血液腫瘍内科分野) 続いて、MMを実際に経験している平山美穂さん(現在も再発後の治療を継続中)が自身の経験を話した。 診断された時は、医師から出てくる言葉が怖いものばかりで、頭は真っ白、目の前は真っ暗だと感じた、と当時を振り返る。しかし、伊藤先生からセカンドオピニオンを受け、MMをうまく飼い慣らしながら人生を楽しむことが大切、治療を続けることでこの先に出てくる新薬の恩恵を受ける可能性もどんどん高まる、という言葉に背中を押されて治療開始に踏み切れたと話す。また再発に関しては、覚悟はしていたもののやはりショックだった、と平山さん。そんな焦りの中でも、伊藤先生のもとで治療を再開し、現在は治療をしながら仕事も続けている。 新薬の登場について平山さんは、「新薬の登場は、再発を繰り返す多発性骨髄腫患者にとって、命に直結する希望の光です。治療の選択肢が広がることで、自分が使える治療が後に控えているということを知るだけでも大変心強く、安心感や今の治療への励みになります」と話した。 いつかはまた再発する時が来る、と平山さん。それでも今はできるだけ患者であることを忘れ、仕事やゴルフ、一緒に頑張っている家族への恩返しなど、できるだけ自分の人生を楽しみたいと想いを語った。「余命3年と言われてもう12年。平均寿命まで生きたいという欲が出てきました。目標が山ほどあるので、これからも治療を精一杯続けていきます」(平山さん) 最後に平山さんは、「この12年間で、新薬や検査法が次々に登場し、上手に治療しながら楽しい人生を送ることができる時代になってきました。苦しい治療を乗り越えた先には明るい人生があると信じて一緒に頑張りましょう」と、同じMM患者さんに向けて力強く呼びかけた。
ニュース 多発性骨髄腫 GPRC5D/CD3タービートアルクエタマブ

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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