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難治性の硬化性慢性移植片対宿主病に対するJAK阻害薬ジャカビ、症状の改善を認める

この記事の3つのポイント
・ステロイド抵抗性の硬化性慢性移植片対宿主病を対象とした第2相試験
・JAK阻害剤ジャカビ単剤療法有効性安全性を検討
・ジャカビが効果的な治療オプションとなり得る結果を示す

2024年8月16日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、ステロイド抵抗性かつ1ライン以上の全身療法の治療歴がある難治性の硬化性慢性移植片対宿主病(cGVHD)に対するJAK阻害薬であるジャカビ(一般名:ルキソリチニブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT03616184)の結果がUniversity of Nebraska Medical CenterのVijaya Raj Bhatt氏らにより公表された。

本試験は、ステロイド抵抗性かつ1ライン以上の全身療法の治療歴がある難治性の硬化性cGVHD患者に対して、6ヵ月以上ジャカビ単剤療法を投与し、主要評価項目として皮膚、関節の完全奏効(CR)/部分奏効(PR)を検証した多施設共同シングルアームの第2相試験である。

ジャカビ治療期間中央値11ヶ月時点において、主要評価項目である皮膚、関節のPR率は49%(95%信頼区間:34%-64%)、また皮膚、関節の12ヶ月奏効持続率は77%(95%信頼区間:48%-91%)を示した。Lee Symptom Scaleを用いた症状スコアの改善は38%に認められた。治療無効例の累積発生率は20.8%(95%信頼区間:10.0%-34.1%)、非再発死亡率は2.2%(95%信頼区間:0.17%-10.3%)、12ヵ月無再発生存率は77.1%(95%信頼区間:61.3%-87.0%)を示した。

ジャカビは、全体的に忍容性が高く、新たな安全性の問題は認められなかった。

以上の結果よりVijaya Raj Bhatt氏らは、「硬化性cGVHD患者に対するJAK阻害薬ジャカビ単剤療法は、比較的高い奏効を認め、有効な治療選択肢となり得る」と結論付けた。

参照元:
A Multicenter Phase II Trial of Ruxolitinib for Treatment of Corticosteroid Refractory Sclerotic Chronic Graft-Versus-Host Disease(Journal of Clinical Oncology 2024 doi:10.1200/JCO.24.00205)

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