➀院内がん登録2022年 登録例集計
国立がん研究センターは、2018-2022年の5年間継続してデータ提供を行った749施設、5,112,915件のデータをもとに、院内登録数の推移を解析。2018-2019年の2か年平均と比較して、2020年の登録数は96%まで減ったものの、2021年には回復し、2022年も横ばいであった。また、月別登録数の推移を見ると、新型コロナ感染者数の影響だけでは説明できない減少も見られ、新型コロナに対する治療や社会の考え方など様々な要因が関与している、と石井氏は説明した。
➁院内がん登録2011年 10年生存率集計
国立がん研究センターは、341 施設363,521 例(前回316 施設341,335 例)の院内がん登録データを用いて10 年生存率を集計。全がんのネット・サバイバルは53.5%(前回53.3%)という結果であった。 詳細は、国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」報告書ページにて公開されている。 記者会見の中では、今回初集計であった小児・AYA世代がんの結果について報告があった。 まず小児がんでは、5年生存率と10年生存率の数値に大きな差は見られないことから、5年以降の生存率低下はあまり見られず、長期予後が良好であることが示された。 一方AYA世代がんに関しては、5年から10年にかけての生存率の低下はがん種によるばらつきが見られた。AYA世代がんで最も多い乳がんと子宮頸がんにフォーカスすると、乳がんの生存率はAYA世代と40歳以上で大きな差は見られない一方、子宮頸がんではAYA世代でより早期(I期)の割合が多い傾向が見られ、それが良好な生存率にもつながっているようだ。 これらの結果を受けて、生存率の高い小児がんにおいては、晩期の合併症などの長期フォローアップが重要になる、と石井氏。またAYA世代では、40歳以上と比較して病期の内訳や併存症などの状況が異なる場合があり、それが生存率の差に影響し得る、と説明した。 これまで小児・AYA世代がんの予後に関するデータが十分でなかったことから、同データ解析が小児・AYA世代がんの対策を考える重要な資料のひとつになる、と石井氏は今後の期待を語り、説明を締めくくった。「院内がん登録における小児AYA集計報告書を発表:がん種の分布や性差が明らかに」
参照元: 『院内がん登録2022 年登録例集計 公表:2022 年のがん診療連携拠点病院等におけるがん診療の状況』 『院内がん登録2011 年10 年生存率集計 公表:小児がん、AYA 世代のがんの10 年生存率をがん種別に初集計』