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MASTER KEYプロジェクトの成果によってBRAF V600E遺伝子変異陽性固形がんに対するがん種横断的治療薬が承認

[公開日] 2023.12.01[最終更新日] 2024.10.10

国立がん研究センター中央病院は11月24日、同施設で実施中の希少がんの産学共同プロジェクト「MASTER KEYプロジェクト」の一環として行われたがん種横断的な共通の特性がある希少がんを対象とした臨床試験(Rare Oncology Agnostic Research、以下ROAR試験)の結果に基づき、BRAF V600E遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発固形がんに対する分子標的薬のダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法の有効性と安全性が示されたことを発表した。 ROAR試験は、MASTER KEYプロジェクトのプラットフォームを活用したノバルティス ファーマ株式会社との協働の元で行われた試験であり、多施設共同試験として13か国27か所の地域の病院・施設から、BRAF V600E遺伝子変異のある成人の希少がん患者さん215名が登録され、ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法の有効性と安全性が評価された。 主要評価項目である研究者評価による奏効割合(有効性)の評価結果は以下の通り。 甲状腺がん(登録数=36):56% 胆道がん(登録数=43):53% 消化管間質腫瘍(登録数=1):0% 小腸腺がん(登録数=3):67% 低悪性度の神経膠腫(登録数=13):54% 高悪性度の神経膠腫(登録数=45):33% 有毛細胞白血病(登録数=55):89% 多発性骨髄腫(登録数=19):50% なお、同試験の結果の詳細は米国学術雑誌「Nature Medicine」に掲載されている。 更に、ROAR試験では検討されなかった希少がん以外のがん種での有効性・安全性については、「遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく複数の分子標的治療に関する患者申出療養(NCCH1901;BELIEVE試験/受け皿試験)の結果が参考にされ、成人におけるダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法が、希少がんに限らないBRAF V600E固形がんの臓器横断的治療薬として11月24日に承認に至った。 今後の展望として、プレスリリースでは「MASTER KEYプロジェクトが大規模な臨床試験の実施が難しい希少がんにおける治療開発の実現に向けた土台となり、日本における希少がんの治療開発への更なる貢献が期待されます」と述べられている。 参照元: 国立がん研究センター プレスリース
ニュース 固形がん MASTER KEY プロジェクト

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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