転移・再発膵臓がんに対する初回治療、ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用療法を推奨ESMO2023より


  • [公開日]2023.11.10
  • [最終更新日]2023.11.20
この記事の3つのポイント
転移再発膵臓がんを対象とした第2/3相のJCOG1611-GENERATE試験
・ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用療法、FOLFIRINOX療法、S-IROX療法を比較
・FOLFIRINOX療法、S-IROX療法は、ナブパクリタキセル+ゲムシタビン療法に対して有意性を示さず

2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)にて転移性/再発膵臓がん患者に対するファーストライン治療としてのナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用療法、FOLFIRINOX(オキサリプラチンイリノテカンロイコボリン+フルオロウラシル)療法、S-IROX(オキサリプラチン+イリノテカン+S-1)療法の有効性安全性を比較検証した第2/3相のJCOG1611-GENERATE試験の結果がOhba A氏らにより公表された。

JCOG1611-GENERATE試験は、転移・再発膵臓がんに対する初回治療として4週を1サイクルとしてナブパクリタキセル125mg/m2+ゲムシタビン1000mg/m2併用療法を実施する群、2週を1サイクルとしてFOLFIRINOX(オキサリプラチン85mg/m2+イリノテカン150mg/m2+ロイコボリン200mg/m2+フルオロウラシル2400mg/m2)療法を実施する群、もしくは2週を1サイクルとしてS-IROX(オキサリプラチン85mg/m2+イリノテカン150mg/m2+S-1 80mg/m2)療法を実施する群に1対1対1の割合で無作為に振り分け、評価項目として全生存期間OS)を比較検証した多施設共同オープンラベルランダム化の第2/3相試験である。

本試験の結果、OS中央値はナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用群で17.0ヶ月(95%信頼区間:14.5-18.9ヶ月)、FOLFIRINOX療法群で14.0ヶ月(95%信頼区間:11.4-16.3ヶ月)、S-IROX療法群で13.6ヶ月(95%信頼区間:12.3-16.3ヶ月)と、ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用群に比べてFOLFIRINOX療法群で死亡のリスクが29%増加(HR:1.29,95%信頼区間:0.98-1.70)、ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用群に比べてS-IROX療法群で死亡のリスクが29%増加(HR:1.29,95%信頼区間:0.98-1.70)した。

なお、ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用群に対するFOLFIRINOX療法、S-IROX療法群の全生存期間(OS)の優越性が達成される可能性が極めて低いため(FOLFIRINOX療法で0.73%、S-IROX療法群で0.48%)試験の早期中止に至っている。

一方の安全性として、グレード3以上の非血液関連治療関連有害事象(TRAE)発症率はナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用群で5.2%、FOLFIRINOX療法群で22.8%、S-IROX療法群で27.6%を示し、3剤併用療法は2剤併用療法に比べてTRAEが高率であった。

以上の結果を受けてOhba A氏は、「ナブパクリタキセル+ゲムシタビンは、FOLFIRINOX療法やS-IROX療法と比較して、転移・再発膵がんに対する第一選択薬として推奨されます」と結論付けた。

参照元:
Ohba A, et al. Nab-paclitaxel plus gemcitabine versus modified FOLFIRINOX or S-IROX in metastatic or recurrent pancreatic cancer (JCOG1611, GENERATE): a multicenter, randomized, open-label, three-arm, phase 2/3 trial. ESMO Congress 2023, Abstract 1616O

×

膵臓がんの治験・臨床試験広告


この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン