この記事の3つのポイント
・ホルモン受容体陽性乳がんを対象とした第3相のKEYNOTE-756試験
・術前化学療法および術後内分泌療法に対する抗PD-1抗体薬ペムブロリズマブの追加における有効性、安全性を検証
・ペムブロリズマブの追加により病理学的完全奏効率が有意に改善
2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)にてホルモン受容体陽性早期乳がんに対する術前化学療法および術後内分泌療法に対する抗PD-1抗体薬ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の追加による有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-756試験(NCT03725059)の結果がThe Royal Marsden NHS Foundation Trust and Institute of Cancer ResearchのStephen Johnston氏らにより公表された。
KEYNOTE-756試験は、ホルモン受容体陽性早期乳がんに対する術前療法として3週を1サイクルとしてペムブロリズマブ200mg+化学療法を実施し、術後療法として3週を1サイクルとしてペムブロリズマブ200mg+内分泌療法を実施する群、もしくは術前療法としてプラセボ+化学療法を実施し、術後療法としてプラセボ+内分泌療法を実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として病理学的完全奏効率(pCR)、無イベント生存期間(EFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性等を検証した第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるpCRは、ペムブロリズ上乗せ群の24.3%に対してプラセボ群で15.6%(95%信頼区間:4.2%-12.8%,P=0.00005)、ペムブロリズ上乗せ群で8.5%の有意な改善が見られた。もう1つの主要評価項目であるEFSは、イベント未到達のためデータが未成熟であった。
一方の安全性として、術前療法フェーズにおけるグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、ペムブロリズ+化学療法群の52.5%に対してプラセボ+化学療法群で46.4%を示した。
以上のKEYNOTE-756試験の結果より、Stephen Johnston氏らは「pCRの改善は示唆に富むものである一方で、術後のEFSの延長を予測するものであるかどうかはまだわからない」と述べている。
参照元:
KEYNOTE-756: Phase 3 study of neoadjuvant pembrolizumab (pembro) or placebo (pbo) + chemotherapy (chemo), followed by adjuvant pembro or pbo + endocrine therapy (ET) for early-stage high-risk ER+/HER2– breast cancer. ESMO Congress 2023, LBA21
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