この記事の3つのポイント
・HER2陽性転移性胃がん/食道胃接合部がんを対象とした第3相のKEYNOTE-811試験
・抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブと標準治療であるトラスツズマブ+化学療法の併用療法の有効性安全性を検証
・標準療法にペムブロリズマブを追加することで無増悪生存期間を有意に改善
2023年10月20~24日、スペイン・マドリードにて開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)にて、HER2陽性転移性胃がん/食道胃接合部がんに対する初回治療としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)と標準治療であるトラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)+化学療法の併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-811試験の第3回解析結果がthe University of LeipzigのFlorian Lordick氏らにより公表された。
KEYNOTE-811試験は、HER2陽性転移性胃がん/食道胃接合部がんに対する初回治療としてのペムブロリズマブ+標準治療を実施する群、もしくはプラセボ+標準治療を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した第3相試験である。
本試験は初回解析にて、PFSに中央値はペムブロリズマブ+標準治療群の10.0ヶ月に対してプラセボ+標準治療群で8.1ヶ月と、ペムブロリズマブ+標準治療群で病勢進行または死亡リスクを28%改善することが示されている(HR:0.72,95%信頼区間:0.60-0.87,P=0.0002)。
また、PD-L1陽性(combined positive score ≥1)群では、PFSの中央値がペムブロリズマブ+標準治療群の10.8ヶ月に対して、プラセボ+標準治療群で7.2ヶ月と、ペムブロリズマブ+標準治療群で病勢進行または死亡のリスクを30%改善することが示されている(HR:0.70,95%信頼区間:0.58-0.85)。
今回公表された結果は、フォローアップ期間中央値38.5ヶ月のもの。病勢進行または死亡のイベント606件時点における結果である。客観的奏効率(ORR)はペムブロリズマブ+標準治療群の73%に対してプラセボ+標準治療群で60%、病勢コントロール率(DCR)はペムブロリズマブ+標準治療群で92%に対してプラセボ+標準治療群87%、奏効持続期間(DOR)中央値はペムブロリズマブ+標準治療群で11.3ヶ月に対してプラセボ+標準治療群で9.5ヶ月を示した。
以上のKEYNOTE-811試験の第3回解析結果について、Florian Lordick氏らは「HER2陽性転移性胃がん/食道胃接合部がんに対する初回治療としての抗PD-1抗体薬ペムブロリズマブ+標準治療は、本疾患の治療成績を変革する可能性が示唆されました。持続的な奏効、PFSの改善は患者さんの生活の質を向上させます」と述べている。
参照元:
Pembrolizumab plus trastuzumab and chemotherapy for HER2+ metastatic gastric or gastroesophageal junction (mG/GEJ) adenocarcinoma: Survival results from the phase 3, randomized, double-blind, placebo-controlled KEYNOTE-811 study. ESMO Congress 2023, Abstract 1511O
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