この記事の3つのポイント
・早期非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・術前療法としてイミフィンジ+化学療法、術後療法としてイミフィンジ単剤療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証
・無イベント再発期間はイミフィンジ+化学療法併用群は未到達に対して化学療法単独群は25.9ヶ月であり、病勢進行・再発・死亡リスクを32%減少
4月16日、アストラゼネカ社のプレスリリースにて切除可能な早期非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術前療法としての抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)+化学療法、術後療法としてのイミフィンジ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のAEGEAN試験の結果が公表された。
AEGEAN試験は、ステージIIA-IIIB非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術前療法として3週を1サイクルとしてイミフィンジ1500mg+化学療法を4サイクル投与し、切除後4週を1サイクルとしてイミフィンジ1500mg単剤療法を最大12サイクルを投与する群(N=366人)、もしくは3週を1サイクルとしてプラセボ+化学療法を4サイクル投与し、切除後4週を1サイクルとしてプラセボ単剤療法を最大12サイクルを投与する群(N=374人)に無作為に振り分け、主要評価項目として病理学的寛解率(pCR)、無イベント再発期間(EFS)、重要な副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性などを比較検証した国際多施設共同二重盲検下プラセボ対照の第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である病理学的寛解率(pCR)はイミフィンジ+化学療法併用群17.2%(N=63人)に対して化学療法単独群4.3%(N=16人)、両群間の差は13.0%(範囲8.7–17.6%)を示し、化学療法単独群に比べてイミフィンジ+化学療法併用群で統計学的有意に改善した(P=0.000036)。
もう1つの主要評価項目である無イベント再発期間(EFS)中央値はイミフィンジ+化学療法併用群未到達(95%信頼区間:31.9ヶ月-未到達)に対して化学療法単独群25.9ヶ月(95%信頼区間:18.9ヶ月-未到達)、化学療法単独群に比べてイミフィンジ+化学療法併用群で病勢進行、再発、死亡(EFS)等のリスクを32%(HR:0.68、95%信頼区間:0.53-0.88、P=0.003902)統計学的有意に改善した。
一方の安全性として、これまでのイミフィンジで報告されていた安全性プロファイルと一致しており、術前療法、術後療法を実施することでの新たな安全性シグナルは観察されなかった。グレード3、4の有害事象の発生率は、イミフィンジ+化学療法併用群42.3%に対し、化学療法単独群43.4%であった。
以上のAEGEAN試験の結果より、この成果をAACR(米国癌学会)年次集会で発表を行ったThe University of Texas MD Anderson Cancer Center in HoustonのJohn V. Heymach氏は「切除可能な非小細胞肺がん患者さんの大半は再発し、治療成績は良好ではない。術前療法、術後療法として抗PD-L1抗体薬イミフィンジを追加投与することで、本疾患の治癒率が上昇する可能性が示唆されました」と結論を述べている。
Imfinzi-based treatment before and after surgery reduced the risk of disease recurrence, progression events or death by 32% in resectable non-small cell lung cancer in the AEGEAN Phase III trial(AstraZeneca PressReleases)
「切除可能な非小細胞肺がんに対する周術期治療としての抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+化学療法、無イベント生存期間を改善」