イミフィンジとの併用療法で用いられる抗CTLA-4抗体薬イジュド、新規由来の抗悪性腫瘍酵素製剤アーウィナーゼなどが薬価収載へ厚生労働省中央社会保険医療協議会にて


  • [公開日]2023.03.16
  • [最終更新日]2023.03.29

3月8日、厚生労働省中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第540回)が行われ、新薬14成分24品目の薬価収載を了承した。うち、抗がん剤関連は、3製剤であった。イミフィンジとの併用療法で用いられる抗CTLA-4抗体薬であるイジュド、新規アスパラキナーゼ製剤のアーウィナーゼ、子宮頸がんに対する抗PD-1抗体薬リブタヨである。薬価収載は3月15日の予定である。

アーウィナーゼ

製品名:アーウィナーゼ筋注用10000
一般名:クリサンタスパーゼ
適応症急性白血病(慢性白血病の急性転化例を含む)、悪性リンパ腫。ただし、L-アスパラギナーゼ製剤に過敏症を示した場合に限る
薬価:17万2931円
会社名:大原薬品

アーウィナーゼは、Erwinia chrysanthemi菌という細菌から分離されたアスパラキナーゼという酵素である。血液がんのいくつかはアミノ酸の1つであるアスパラギンを豪栄する酵素をほとんど持っていない。そのため、外部から補給されたアスパラギンがアスパラキナーゼによって分解されると、がん細胞の増殖に必要なアスパラギンが枯渇し、がん細胞が死滅する。

これまで国内においては大腸菌由来のアスパラキナーゼが使用されていたが、アレルギー症状を起こしやすいため治療継続が困難なケースが一定数あった。本剤は大腸菌とは異なる最近由来のため大腸菌から作られたアスパラキナーゼでアレルギー症状が起こり、治療を中断せざるを得なくなった患者にも使用できる。

イジュド

製品名:イジュド点滴静注25mg、同点滴静注300mg
一般名:トレメリムマブ遺伝子組換え)
適応症:切除不能な肝細胞がん/切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
薬価:21万4801円(25mg/1.25ml/瓶)、231万1819円(300mg/15ml/瓶)
会社名:アストラゼネカ

イジュドは細胞障害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体。CTLA-4の作用を阻害することで、T細胞を活性化させ、がんに対する免疫応答を誘導し、がん細胞の死を引き起こす。

切除不能な肝細胞がんに対しては、一次治療としてイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ(遺伝子組換え)と2剤併用で用いる。

切除不能な非小細胞肺がんに対しては、一次治療としてイミフィンジとプラチナ製剤を含む他の抗悪性腫瘍薬と3剤併用で用いる。

リブタヨ

製品名:リブタヨ点滴静注350mg
一般名:セミプリマブ(遺伝子組換え)
適応症:がん化学療法後に増悪した進行または再発の子宮頸がん
薬価:45万437円
会社名:サノフィ

子宮頸がんは、世界において女性のがん死亡原因の第4位にあたり、35~44歳が後発年齢のがん腫である。進行または再発の子宮頸がんにおける治療選択肢は限られている。

リブタヨは免疫チェックポイント阻害薬の1つである抗PD-1抗体薬。T細胞の表面にあるPD-1を標的とする。がん細胞はPD-1経路を介してT細胞の活性化を抑制しているが、リブタヨがPD-1と結合しこの抑制を解除する。

参照元:
厚生労働省中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第540回)

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