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非小細胞肺がんや肝細胞がんに対するイジュド+イミフィンジ併用療法など計7製剤が承認へ

[公開日] 2022.12.02[最終更新日] 2022.12.02

目次

11月28日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、審議項目として6製品の審議を行い、うち抗がん剤関連は4製品であった。また、報告事項として3製品を報告し、すべてががん関連であった。

報告事項:医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階において、承認して差し支えないとされ、部会では審議せず報告のみでいいと判断されたもの。

審議品目

イジュド点滴静注25mg、同点滴静注300mg(一般名:トレメリムマブ(遺伝子組換え))

効能・効果:切除不能な進行/再発の非小細胞肺がんおよび切除不能な肝細胞がん

申請企業:アストラゼネカ

イジュドは、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体。CTLA-4の作用を阻害することでT細胞の活性化を促し、がんに対する免疫反応が高まる。これによりがん細胞の死を引き起こす作用を持つ。

非小細胞肺がんに対しては、ファーストライン治療として抗PD-L1抗体薬のイミフィンジとプラチナ系抗がん剤との3剤併用で投与する。

肝細胞がんに対しては、ファーストライン治療としてイミフィンジとの併用療法(STRIDEレジメン)で投与される。

リブタヨ点滴静注350mg(一般名:セミプリマブ(遺伝子組換え))

効能・効果:がん化学療法後に増悪した進行または再発の子宮頸がん

申請企業:サノフィ

リブタヨは、T細胞の表面に発現しているPD-1を標的とするヒトモノクローナル抗体。PD-1に結合することで、T細胞の活性化の抑制を解除し、免疫反応を誘発する作用を持つ。

子宮頸がんは、大部分がヒトパピローマウイルス(HPV)感染によるものであり、組織型は約8割が扁平上皮がん、他は腺がんである。進行/再発子宮頸がんの治療選択肢は限定的であり、アンメットメディカルニーズが高い。

今回の承認は、プラチナベースの化学療法中に病勢進行を認めた再発/転移性子宮頸がん患者を対象にリブタヨ単剤と化学療法の有効性と安全性を比較検証した第3相試験の結果に基づくもの。同試験の結果、全生存期間の延長が認められた。

イミフィンジ点滴静注120mg、同点滴静注500mg(一般名:デュルバルマブ(遺伝子組換え))

効能・効果:治癒切除不能な胆道がん

申請企業:アストラゼネカ

イミフィンジは、PD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体。PD-L1に結合し、PD-L1とその受容体であるPD-1とCD80の相互作用を阻害することで、がん細胞の免疫逃避機能を抑制し、抗腫瘍免疫反応を誘発する。

胆道がんは、胆管、胆のう、十二指腸乳頭部から発生する病勢進行の早い希少がんである。早期では無症状のことが多く、診断時にはすでに進行期になっている上に治療選択肢が限られている。

今回、ゲムシタビンとシスプラチンとの3剤併用療法で承認を取得した。

イムブルビカカプセル140mg(一般名:イブルチニブ)

効能・効果:原発性マクログロブリン血症およびリンパ形質細胞リンパ腫

申請企業:ヤンセンファーマ

イムブルビカはブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤。BTKはB細胞が成熟して抗体を産生するように指示するための重要なシグナル伝達の役割を担い、特定のがん細胞の増殖や進展のために必要と考えられている。イムブルビカはこのBTKを阻害することでがん細胞の生存や進展を抑制する。

原発性マクログロブリン血症およびリンパ形質細胞リンパ腫は、B細胞リンパ腫の1つで、白血球の一種であるB細胞が成熟する過程で悪性化し、悪性のB細胞が増殖し続けることで発症する。進行が遅いが治癒困難、患者数の少ないがん腫である。

今回の承認は、イムブルビカ単剤療法ならびにリツキシマブとの併用療法で有用性を認めた臨床試験に基づくもの。

報告品目

カルケンスカプセル100mg(一般名:アカラブルチニブ)

効能・効果:慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫も含む) 申請企業:アストラゼネカ

カルケンスは、次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤。カルケンス単独投与または同時に承認されたガザイバとの併用で投与する。

慢性リンパ性白血病(CLL)は、骨髄中の造血幹細胞が異常なリンパ球となって過剰に増殖することで発症する。B細胞受容体におけるBTKを介するシグナル伝達は、CLLの異常細胞の増殖における基本的な経路の1つである。

ガザイバ点滴静注1000mg(一般名:オビヌツズマブ(遺伝子組換え))

効能・効果:CD20 陽性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫も含む) 申請企業:中外製薬

ガザイバは、幹細胞や形質細胞以外のB細胞の表面に発現しているCD20というタンパク質に結合する抗CD20モノクローナル抗体。標的とするB細胞に対して、体内の免疫系とともに直接攻撃し、破壊するよう設計されている。

未治療の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫も含む)に対してカルケンスとの併用療法で用いられる。

イミフィンジ点滴静注120mg、同点滴静注500mg(一般名:デュルバルマブ(遺伝子組換え))

効能・効果:切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんおよび切除不能な肝細胞がん

申請企業:アストラゼネカ

非小細胞肺がんに対しては、ファーストライン治療として同日承認を取得した抗CTLA-4抗体薬イジュドとの併用療法で投与可能となる。

肝細胞がんに対しては、ファーストライン治療としてイジュドとの併用療法のほか、イミフィンジ単剤投与でも用いることが可能となる。

参照元:
厚生労働省 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)
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